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 続編ニュース 44号                    2004.6.1

 ◆目次◆
     編集前記
新田実践に学ぶ  毛利 豊先生の原稿
     川崎実践に学ぶ  毛利 豊先生の原稿
     整理表
 
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 ◆編集前記◆
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こんにちは。ニュース44号をお届けします。

毛利先生には、すでに「学ぶ」原稿をすべて提出していただきましたが、さらに修正を加えてお書きくださいました。わかりやすく、かつ、実践のよい点を十分に引き出して書いてくださいました。ありがとうございます。

澤野先生も、すべての原稿提出後、微修正の執筆中です。ご苦労様です。よろしくお願いします。明日には、すべてご紹介できると思います。

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 ◆新田実践に学ぶ(号に掲載)◆毛利 豊先生の原稿
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 一般社会における自主的な群読活動を、敬意をも
って読ませていただいた。学ぶことはいくつもある。
 第一に、文化活動の発展化についてである。
 初めは手身近かに楽しめる「早口言葉」から始め、
「ふたり読み」に進み、掛け合いや物語性のある
「一茶」、さらに古典群読へと発展させている。簡
単な早口言葉でも、充分に笑いと緊張、知的刺激と
身体的鍛錬が得られ、楽しめる。「江戸バカ囃子」
になると、出だしを高らかに歌い上げ、ハーイの合
図を呼びかけるようにし、「始まり始まり」は会場
に語りかけるように声に表情をもたせて高度なワザ
に発展している。次第にグレードアップする題材配
列を学びたい。
 第二に、集団の発展化についてである。
 初めは老人会での月例会の行事だったが、年二回
の発表の機会を得て、ついには独自の「群読クラブ」
結成を望むまでに成長した。たえず多くの人々が参
加できるようにし、そこからエネルギーを汲み取り
ながら専門家集団を生みだす手法を学びたい。
 第三に、その集団に年齢的階層性がある点である。
 ともすれば引きこもり自らを疎外しがちな高齢者
を、群読という文化活動の楽しさでつなぎ、仲間を
つくり、新しいコミュニティを作っておられる。
 文化の発信側に立つことは、体力・知力・情意力
を保つ効果を生む。子どもたちと共にすれば、異年
齢の交流が生まれて、さらに活性化するかもしれな
い。
 第四に、手だてや物の準備が用意周到で緻密な点
である。機材・道具・楽器・ビラやカードが、きめ
細かく効果的に配置されている。相手を慮った気遣
いを学びたい。
 なお、擬音語ばかりの脚本は、古典以上に高度な
のではないかという気がした。人間の脳は、物語ら
れる「ストーリー」に最も良く反応し、次いで説か
れる「論理」に、最後に「物質音」に対してなので
はなかろうか。最も専門性の高い群読である。
 超高齢社会の中で、疎外されがちな受動者をつな
ぎ、居場所と出番をつくる新時代を望む実践である。

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 ◆川崎実践に学ぶ(号に掲載)◆毛利 豊先生の原稿
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 またまた、驚いた。
 幼さの残る小一が、中学生でも難しい「気どり」
読みをノリノリで鮮やかにやってのけた。青息吐息
で中学生を指導している私は、いっそう青くなった。
 学びたい第一は、普段から子どもと一体になって
彼らの世界に溶けこみ、片言・つぶやきなどを聞き
のがさない教師の姿勢である。
 そこから、テレビ文化の影響を感じ取り、この子
らにも古典群読は可能だと直感したのである。
 教師としてのアンテナを日ごろから磨いておく大
切さを感じる。
 第二は、楽しんで子どもと共に取り組んでいる点
である。終始一貫して、楽しむために群読をし、そ
れを総括の中心においている。普段の「わらべうた」
遊びの楽しみの延長だったのかととらえれば、この
ようなみずみずしい実践が生まれた謎がとける。
 第三は、教師の学ぶ力と積極果敢な姿勢である。
 古典研究部の私に時々問い合わせが来たので、知
るだけの情報提供と感想を述べたに過ぎなかった。
 しかしその後に送られてくる録画映像や報告は私
の思惑をはるかに超えて先に進んでいるのが常であ
った。率直に知識を問い素直にすぐやる純粋さと、
自分で付け加えてゆく主体性を学びたい。
 第四は、有志活動から始めて、それを学級全体に
しぜんに広げていく運動論ある。全員への暗唱強制
などからは、けっして生まれなかった展開である。
 第五は、動作化・小道具・顔の装飾などで、興味
づけを図っている点である。「見得を切る」「セリ
フで前を向く」、拍子木や傘、「隈取り」など、面
白そうな仕掛けが満載である。セリフの五分割も、
白浪五人男の縮小版として、子どもの身丈に合って
いる。
 第六は、詩・物語・わらべうたなども、文種が
「文語」であれば、同時にすべて「古典群読」たり
得るという、多様な分類軸(視点)の存在の暗示で
ある。
「わらべうた」遊びを素地にして、低学年群読のウ
イングを古典領域にまでも広げ、分類再編の可能性
をも孕む、実践史に画期をもたらす秀作である。

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***2004.7.29 東京日本青年会館 第3回群読大会を成功させましょう****

 重水 健介(日本群読教育の会事務局)

  日本群読教育の会 http://gundoku.web.infoseek.co.jp

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