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 続編ニュース 42号                   2004.5.30

 ◆目次◆
     編集前記
糸井実践に学ぶ      片桐史裕先生の原稿
     日置実践に学ぶ      片桐史裕先生の原稿
     荻原実践に学ぶ      重水の原稿
     整理表
 
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 ◆編集前記◆
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 こんにちは。みなさんお元気ですか。ニュース42号をお届けします。

「実践に学ぶ」もあと数本になってきました。毛利豊先生、片桐史裕先生はすでに終了です。
 ご多忙の中をありがとうございました。
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 ◆糸井実践に学ぶ(31号に掲載)◆  片桐 史裕先生の原稿
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 私は高校教師であるが、4月の授業開きの時に
「教室はまちがうところだ」の詩を必ずプリントし
て配布し、朗読したり、リレー読みしたりする。
 糸井先生はそれを群読で、繰り返しおこなって、
「教室はまちがうところだ」というテーマをクラス
に浸透させている。
 その中で学ぶべき点は3点ある。
 1つ目は、朝の健康観察を群読でおこなっている
点。朝の健康観察はクラス担任にとって重要なこと
であるが、子どもたち一人ひとりに声を出してもら
うことで、ちょっとした変化を発見することができ
る。しかも毎朝子どもたちが読み、この詩が教室に
響き渡るから、すぐに暗唱できるようになる。
 2つ目は群読にこの詩を取り上げた点である。
 群読をする上で、子どもたちの一番ためらう要因
は「まちがう」ことである。しかし詩の中で「まち
がうことをおそれちゃいけない」「笑っちゃいけな
い」と言っている。この詩を群読する時、「まちが
ったっていいや」というという気持ちが起きるだろ
うし、そういう気持ちを持つことによって、きっと
声が大きくなるだろう。
 3つ目はシナリオである。ソロとアンサンブルを
交互に取り入れ、ソロの言ったことをアンサンブル
で繰り返している。
 こうすると、まだあまり群読に自身の持てない時
期に、ソロがおそるおそる言ったとしても、アンサ
ンブルで繰り返してくれるので、ソロにとってみれ
ば、自分の言ったことを認めてくれているような感
じになり、自信が持て、だんだん群読を演ずること
が楽しくなるのではないだろうか。
 この詩を取り上げ、群読することは、人と合わせ
るという群読の技術と、まちがってもいいという表
現する時の気持ちを両方とも育てるということを学
んだ。
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 ◆日置実践に学ぶ(12号に掲載)◆  片桐 史裕先生の原稿
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 大人数での群読活動は、大人数ということだけで
困難がつきまとうという印象があるが、日置先生の
実践から、表現活動には相手意識と目的意識、そし
て学び合いとシナリオの工夫という4点が大きな効
果を生むということを学ばせてもらった。
 1点目「相手意識」であるが、5年生が卒業生に
対して表現するという場の設定が効果を生んでいる。
 具体的に誰に表現するのかという相手がはっきり
することで、子どもたちにイメージが湧き、意欲が
湧いたのだろう。
 2点目「目的意識」であるが、「卒業生に感謝の
気持ちを伝える」という目的も明確であった。感謝
の気持ちを伝えるには、ふざけては伝わらないとい
う態度面や、声を合わせた方がいいという技術面な
どの指導があまりなされなくとも子どもたちは十分
に分かることである。
 3点目「学び合い」は、大集団が共通の目的意識
を持つことによって自然発生するものである。大き
な声が出なかった子の声が出るようになったり、普
段騒いでいる子が卒業生からのメッセージを静かに
聞いたりというのは、まわりの仲間や、卒業生から
学び取った結果であろう。
 そして最後になるが、シナリオに工夫が凝らされ
ている点にも心がひかれた。この群読は4部構成で
ある。第1部から第3部まで、3クラスそれぞれが
担当し、第4部は各クラスの掛け合いがある。
 これは練習時間のなかなかとれない中、各クラス
に1部ずつ割り当てることで、各クラスの時間が空
いた中で練習できるようにしている配慮がうかがえ
る。そして各クラスで各部が完成に近づけば、最後
のクラスでの掛け合いも自然と盛り上がることは確
実である。大集団での群読では、シナリオの工夫も
欠かせない。
 得てして大集団での表現活動には二の足を踏んで
しまうが、日置先生の実践を読み、4点の要素を盛
り込めば可能であることを学んだ。

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 ◆荻原実践に学ぶ(10号に掲載)◆ 重水の原稿
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 4月、群読によって教師の願いを子どもたちに伝
えた実践とその前後の経緯が報告されている。
 この報告から、大きく次の六点を学んだ。
 第一に、教師集団の姿勢と行動力である。学年は
じめの集会というと、教師個々の挨拶や代表者の言
葉ですませる例が多いが、ここでは学年教師の群読
によって思いを伝えた。団結を行動で示し、子ども
を励まそうという教師集団の理念が伝わってくる。
 第二は、子どもたちの群読につながったことであ
る。子どもたちは修学旅行の決意発表を群読で行っ
た。教師の群読をみて、その面白さや迫力を学んで
いたから、しぜんな形で入っていけたのだろう。
 第三に、脚本の作り方である。
 全生徒に書かせた「学年のテーマ詩」から代表作
を選び、それに生徒のオリジナルな表現を加えて脚
本化している。国語科と連携した脚本つくりの手順
として参考になる。
 第四に、脚本の工夫である。
バックコーラスにおける同じ言葉の繰り返しや全
編を通した漸増法と強弱の組み合わせが、津波の押
し寄せるイメージをうまく表現している。また、生
徒群読では学級単位でソロを分担しているが、読み
やすいように、リズム感のある短文にしている。
 第五は、群読の教育的な効果である。
 息をそろえることで仲間意識が高まった、まわり
の声に安心して自らも大声を出せた、ソロを生かす
ためにコーラスが音量を押さえた、等の記述がある。 
 群読は、連帯感や協力性の育成など、教育的な効
果を持つ文化活動であることがわかる。
 第六に、保護者に群読を見てもらい、教師のやる
気を示したことである。このように、日頃から保護
者に教師の活動を紹介し、理解を求めるようにした
いものである。
 教師と生徒が群読によって学年テーマを共有し、
群読で得た力を学級や学年の発展につなぎ、保護者
との輪も深めていく。そうした、教師集団のねらい
が貫かれた実践である。

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***2004.7.29 東京日本青年会館 第3回群読大会を成功させましょう****

 重水 健介(日本群読教育の会事務局)

  日本群読教育の会 http://gundoku.web.infoseek.co.jp

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