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 続編ニュース 38号                    2004.5.22
 
 ◆目次◆
     編集前記
深沢 英雄先生の修正原稿
     整理表
 
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 ◆編集前記◆
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こんにちは。みなさんお元気ですか。ニュース38号をお届けします。
深沢先生には、原稿を修正して少しスリムにしてもらいました。お忙しいところ、さっそく取りかかっていただきました。ありがとうございました。

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◆深沢 英雄先生の修正原稿◆   第1章 授業のなかで使われている群読 小学校低学年
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 詩「いるか」の授業から、「かえるのたいそう」の群読へ

< 解説 >

 2年生の教科書に詩「いるか」がのっている。作者は谷川俊太郎である。授業の発展として、参考詩の「かえるのたいそう」(鶴見正夫)を選んで群読することにした。
 どちらもリズミカルな詩で2年の子どもたちは、ことばあそびとして楽しむであろうと考えた。班が7班で、1つの班の人数が、4人か5人であった。

< 読み手、演出ノ−ト>
 ソロとコ−ラス(3人から4人で)で構成した。

1 一列にならんで発表する。
2 身体で演技しながら大きな声で読む。
  @ 題名読みでは、それぞれが違った体操をする。
  A「ぴょ−ん ぴょん」では両手を伸ばしてとびあがる。
  B「のっそ のっそ」「す−い すい」では、ユ−モラスなかっこや楽しく泳ぐ様子を工夫させた。

< 群読脚本 >

 かえるのたいそう 鶴見正夫作  深沢英雄編

《省略》



 《発展》
 A子は、ほとんどしゃべらない子である。1年生の時は、とても親しい友人にだけ話をするだけで、A子の声を聞いた子はほとんどいない。2年生になっても、同じであった。1学期の教材の「お手紙」では、班の中で、がまくんとかえるくんと地の文を役割読みをさせた。A子は一言も声を出さずにいた。
 授業の最後に学級の友達に手紙を書かせた。同じ班のB子がA子に「なんでしゃべらないの。わたしは、しゃべってほしいなあ。だって、きれいな声って聞いたから。わたしはちょっとでもいいから、しゃべってほしいな。きれいな声としんじとうよ」と手紙を書いた。返事は、「なんでしゃべれないかというと、わたしはだれかひとりやったらしゃべるよ」と書いてあった。
 2学期の11月。友達の支えがあり。少ししゃべれるようになってきた。3学期には、「おはよう」というと「おはよう」とささやくような声だがかえってくるようになった。音読でも、一文ほどの短い部分なら小さな声で読めるようになってきた。
 3学期に「かえるのたいそう」などの群読を班でとりくませた。ソロとコ−ラスに分かれる。どの班も立候補で決めていた。
 学級群読発表会がはじまった。A子のいる3班の登場である。1つ目の詩はA子はコ−ラスである。
口は動いていた。声は他の子の声にまぎれて聞こえてこない。
 ソロとコ−ラスの場所を交替している。2つ目の詩では、ソロの場所にA子が立っている。声は出さないが、見ている他の班の子も大丈夫かなと不安げな表情をしている。
 A子が詩の題名と作者名の声をだした。大きな声ではないが、後ろの席の子までとどく声でソロの部分を読み進んでいった。最初、元気な声で読んでいたコ−ラスもA子の声に合わせて、しぼった声で読みはじめた。つまりながらも、最後まで読み切ったA子に拍手が送られた。みんなの前でこれほど声を出したのは初めてだ。 あとで、A子に「どうだった。ソロで読んでみて?」と聞いた。「ドキドキしたけど、うれしかった」と答えてくれた。
 班長のN君にどうして決めたのとたずねてみた。「ソロをきめるとき、順番にやりたいかどうか聞いていくと、A子さんはうんと答えたから、ほんまにえ−んと聞くとうんと言ったから、ソロになったよ」と教えてくれた。
 1年間、声を出す機会をできるだけつくってきた。詩の教材を中心に音読、群読を楽しんできた。2学期からは、「音読・群読係」ができて、帰りの会でも、声を出してきた。A子も学級の友だちとの交流の中で、少しずつ自分で自分の扉を開けたのだろう。
 A子の変化に群読という教育活動の生命力を感じた。


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***2004.7.29 東京日本青年会館 第3回群読大会を成功させましょう****

 重水 健介(日本群読教育の会事務局)
 
  日本群読教育の会 http://gundoku.web.infoseek.co.jp

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