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 続編ニュース 37号                  2004.5.19
 
 ◆目次◆
     編集前記
音の受け付け終了
     福澤 紀子先生の修正原稿
     海上 和子先生の修正原稿
     整理表
 
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 ◆編集前記◆  
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こんにちは。みなさんお元気ですか。ニュース37号をお届けします。
執筆者の方で、個人データを未提出の方は至急お願いします。下記の整理表でお確かめください。

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 ◆音の受け付け終了◆
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録音をお送りくださったみなさんありがとうございました。
34号でお知らせしたように、先週の15日までの山本さん(高文研)への到着分をもって、音の受付をうち切らせていただきす。

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◆福澤 紀子先生の修正原稿◆   第2章 学級・学年・全校活動の中の群読(小学校)
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はじめての群読(1年)
          鳥取県・三朝町立東小学校 福澤 紀子
〈解説〉
 東小学校は、全校児童75名という小規模校である。児童は明るく元気で素直である。児童集会、ランチルーム発表(給食時間の発表)、学芸発表会、朗読会など大勢の前で発表する機会も多いが、その経験を通して堂々と発表できる児童が増えてきている。
 今年度一年生を担任し、学級発表で何を発表しようか考えたときにすぐ浮かんだのが群読である。昨年度6年生を担任した時に、「ヤダくん」「なまけ忍者」「早口言葉の歌」「むかしむかしのおかしな話」「祭りだ わっしょい」「平和を願う(創作)」を学芸発表会で発表した。追いかけ読みや乱れ読み、異文平行読みなどを取り入れた群読で、読み手にも聞き手にも群読の楽しさ、おもしろさ、迫力などを分かってもらおうと考えた。熱心に練習しながら子どもたちが、より良い読みをめざしてがんばったことや気持ちを一つにしていくことの大切さを感じながら堂々と演技できるようになった様子を見て、私自身「群読っていいなあ」と魅力を感じていった。通勤の車の中で毎日、家本先生のCDを聞いていたので自然と詩も覚えてしまった。次に担任した学級でもぜひ群読に挑戦しようと考えていた。
 しかし、今年度は入門期の一年生。一人ひとりの読みにも表現力にも個人差がある。難しい読み方はできない。そこで難しい技法は取り入れずに楽しく言葉遊びをするつもりで取り組んだ。この「あいうえお・ん」は、50音の読み書きをすべて終わった2学期から始めた。「CDブック・家本芳郎と楽しむ群読」にもあるように「詩の各連の冒頭の文字をつなげて読むと『あかさたな・・・』、各連の2行目の冒頭の文字をつなげると「おこそとの・・・」になること。また、各行とも4,4,5音という技巧を凝らした詩であることから韻を生かしてリズミカルに読むことができること」が、ちょうど子どもたちに合うと考え取り組んでいった。
 以下は、ランチルーム発表会で、全校児童の前で発表した「あいうえお・ん」の脚本である。


〈読み手、演出ノート〉

読み手 9人 全員がコーラス兼ソロ。
        ソロの所は、一人が一連ずつ受け持つ。ソロ以外の人がコーラスになる。
1 *印のところで「ポン」とウッドブロック等で音を入れるとリズムを整えることができ、聞いている方も楽しめる。
2 自分の番が来たら、一歩前に出て読む。
3 全員で読む「ア イ ウ エ オ」のところでは、一音一音、区切ってはっきりと読む。
4 リズムにのって楽しく読む。

〈群読脚本〉
「あいうえお・ん」鶴見 正夫作  家本 芳郎編(「CDブック・家本芳郎と楽しむ群読」より)

《省略》



<発展>
「あいうえお・ん」を練習し始めると、すぐに覚えてみんなで「ア・イ・ウ・エ・オ  *」というところはとても元気のいい声が出せるようになった。「*」のところで私が、「パン」と手をたたくとそれも真似しながら、みんなが笑顔でできるようになっていった。本番では、少し恥ずかしそうにしながらも、ウッドブロックでリズムをとりながら、ソロとコーラスに分かれて一生懸命に発表した。
 きいていた他学年の児童も「大きな声で読んでいてよかったです」「音読に楽器が入っているのを初めて聞きました」などの感想を述べてくれた。
 この経験から、みんなの前で発表することが苦手な子どもたちも少しずつ自信がついてきたようで、その年の秋に行われた学芸発表会では「寿限無」の劇を堂々と演ずることができた。
 また、12月の全校朗読会では、他の学年は、「教室はまちがうところだ」「どいてんか」「えらいこっちゃ」「生きる」「雨にも負けず」などの発表をした。
 1年生は、「リズムにのって楽しく読む」というめあてを持ち、「おむすびころりん」に取り組んだ。
 ソロの部分にコーラスの声が重なるところが合唱のようだったと講評をいただいた。次は、どの作品に取り組もうかなと考えていくのもまた楽しい。


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◆海上 和子先生の修正原稿◆   第4章 地域での群読
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公民館活動の一環として 〜「群読を楽しもう」〜                 海上和子

〈解説〉
*会のプロフィール
 2002年7月横須賀市逸見公民館で家本芳郎先生の朗読講座(全2回)が開催された。各回とも参加者50名を越す盛況であった。その後、参加者の中から、もう少し朗読・群読を続けたいという声が上がった。
 有志を中心として、家本先生を講師に迎え10月に「逸見群読の会」が発足した。(詳しくは『いつでもどこでも群読』第4章を参照)その会を2004年4月より家本先生より引継ぎ担当することになった。
 メンバーは男性3名、女性19名の22名であった。年令は50代から80代までとバラエティーに富んでいた。それぞれ、地域のいろいろな会でのリーダー的役割を果たしている方が多かった。また、コーラスや手芸、大正琴、写真、歴史散策、落語、水泳など多趣味でそれぞれの会で活躍されている。
 しかし中には、気がつくと一日中だれとも話をしなくなってしまったとか、お年寄りの介護という問題を抱えている方もいる。しかし、みんなわずかな時間を見つけて、声を出して「心の洗濯に」と会に参加されている。会の活動は、月一回第二金曜日の2時から4時までの2時間である。

*1年間の流れ
 声を出すことの気持ちよさ、声を合わせることの楽しさを求めて集う方たちである。年齢構成や「楽しい声の輪」を作るために、脚本を選ぶポイントとして次の3つに重点を置いた。
@「わらべうた」や「ことば遊び」など、日本語の美しさリズムを持つ既知のものを多く取り上げることによって、取り組みやすいようにと考えた。
A格調高い表現を必要とする作品や、未知の作品も時には取り入れ、変化を持たせるようにした。主としてリズムのある、明るく楽しいものを取り上げていった。
Bそれぞれが、幼いころや子育てのころの思い出を脚本を通して交流しあい、輪を深め、「会に参加することが楽しみ」と思えるように考えた。

●「声の体操(発声練習)」として使った教材
「五十音の歌」   :北原白秋
「早口ことばのうた」:藤田圭雄
「マザーグースのうたよりーこれはジャックのたてたいえ」谷川俊太郎訳
「さよならさんかく またきてしかく」、「あいうえお・ん」、「外郎売の科白」、「寿限無」など

●「群読練習」として使った脚本 
 漢詩「桃妖」、「人間の勝利」:山村暮鳥
「祭りだわっしょい」「和尚さんと小僧さん」:北原白秋 
 ふたり読み:「やまのくちぶえ」「そうだ村の村長さん」「なんておもったら」など

*発表会への参加
 逸見公民館では、例年「公民館のつどい」として、2月中旬に二週間にわたり各サークルのステージ発表や作品の展示がおこなわれる。それぞれ、10年から20年の歴史を持っているサークルが多い。
 7月に、そこに参加してステージ発表をしてみないかというお誘いがあった。会が発足してまだ一年足らずである。みな少ししり込みしたが、「あたってくだけろ」「やってみなくてはわからない」という前向きの意見が多く参加することとなった。
 9月に脚本を決めた。上演者も観客も、一緒に楽しめ元気がわいてくる脚本ということを念頭に置き「和尚さんと小僧さん」「祭りだわっしょい」に決定した。
10月から練習に入った。月一回の例会だと4回しか練習日がないということで、みんな真剣そのものだった。
 11月例会の際、家本先生から30分の持ち時間に二本では少ないのではというアドバイスがあった。朗読か「ふたり読み」を入れることにした。「ふたり読み」の立候補が二組あった。脚本は立候補者に任せた。母子の、ニヤッとさせられるようなやりとりを描いた「うそつき」と、大阪弁をいかした「カマキリ」が取り上げられた。

〈読み手・演出ノート〉

読み手(16名)
   題名読み・効果音  1名
   ナレーター     3名
   和尚さん      1名
   小僧さん       3名
   コーラス       8名


並び方:前列 コーラス8名 椅子に座る(中央にコーラスリーダー 木魚)、
    下手に題名読み・効果音1名
 
    後列 中央 和尚さん、上手に小僧さん 3名、下手にナレータ 3名

ナレータ    和尚さん  小僧さん
○  ○  ○  ●  ○  ○  ○
            ◎  ○ ○ ○ ○ ● ○ ○ ○
       題名読み・効果音    コ ー ラ ス



@ リズムにのったコーラスとナレーターの語り、そして和尚さんと小僧さんの狂言的な掛け合いの面白さを出すように読む。

A 声の効果音で山寺の静けさを表現する。また、三つの場面を一つずつ際立たせるために、効果音と次の出の間をじゅうぶん取るようにした。

B コーラスは同じことばの繰り返しのためリズムが乱れがちである。コーラスリーダーを中心に置き、その速さとリズムに合わせるようにした。

C 小さな身体表現をつけ雰囲気を出しやすくした。

コーラス・・手で木魚を打つまね、もちに息をふきかけるまね、餅が煮えるまねなど
小僧さん・・和尚さんに呼ばれたときは、一歩前に出て和尚さんの方を見て返事をする。
      最後の「ごちそうさまー」は揃って一歩前に出て深くお辞儀をする。

〈群読脚本〉

「和尚さんと小僧さん」 北原 白秋作                    海上和子編

《省略》



〈発展〉
 12月の練習では、まだまだリズムに乗り切れず、また自分のパートのみ気になり、間をとることまでに配慮できないことが多かった。前の台詞をしっかり聞き取ることと、一拍あけるか二拍にするか、トンやトントンと手で軽く調子を取ってから発声するようにした。また、台詞は少し間違えても、自信を持ってしっかり声を出すことと、他のパートへ渡すことを意識するようにしていった。
 特に、和尚さんと小僧さんの掛け合いを演劇的な要素を取り入れ、軽く顔を見合わせることやおじぎをすることによって、言い回しや間がしっかり取れるようになった。
 家にあるからと、木魚を持ってきてくださる方もいた。木魚の音が入ることによってリズムがとりやすくなり、それを機に、、雰囲気も盛り上がってきた。
 他のサークルとのかねあわせから、舞台を使ってのリハーサルが一度もできなかった。舞台の様子についても知っている方は2名で当日のイメージを描きにくかったが、そこは年の功、当日の出入りはぶっつけ本番でも充分落ち着いて対応することができた。参加者100名ほどのホールで、声もしっかりと届いていた。
 年度当初22名だった会員が、他の会とのかねあわせや体調不良等で16名での発表となったが、ひとりひとりが公民館活動の一員として、単なるお稽古事としてではなく「作り上げていこう」と思われているのが何よりの力であった。

反省会の声より
・子ども時代の、学芸会を思い出してどきどきした。
・みんな前向きなのがとてもよかった。
・舞台に立ったことなんてなかった。はじめは不安だったができたんですね。
・間の取り方が、とても難しかった。           
・練習期間が短かったのによくできた。
・胸がときめきました。    
・みんなの声がバラエテェーに富んでいてよかった。
・自分の発音が気になったが、前の人をしっかり受けて言うようにした。伝えることが分かった今年度は、用意された脚本を練習するだけでなく、次のような方針で、活動を発展させてみることにした。

@それぞれがなるべく自分が読みたい詩や文を持ち寄り、みんなで群読をつくる勉強もしていく。
A全体での発声練習の後に、二人ずつ「気に入った詩・エッセイなど」を持ち寄り朗読発表をする。
B公民館での練習と、「つどい」での発表だけでなく、保育園や幼稚園、老人ホームなどを訪問して一緒に群読を楽しんでもらう機会を一回ぐらいつくり、地域に群読を広める。
C所属している町内会の会合の折などに、仲間に呼びかけて健康法の一つとして群読をしてみる。

 発足して間もない会だが、会員の前向きの姿勢に支えられ、第一回目の発表会でつけた力をさらに充実させ、発展させていきたいと思っている。       


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***2004.7.29 東京日本青年会館 第3回群読大会を成功させましょう****

 重水 健介(日本群読教育の会事務局)
 
  日本群読教育の会 http://gundoku.web.infoseek.co.jp

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