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 続編ニュース 33号                    2004.5.7
 
 ◆目次◆  
糸井利則先生の原稿
       河野 邦房先生の修正原稿
       整理表

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こんにちは。続編ニュース33号をお届けします。
すべての原稿が届きました。これから次の作業に入ります。

追って次からの作業内容と日程をお知らせします。ご多忙の中、いろいろとお願いすることも多くなると思いますが今後ともよろしくお願いします。
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 ◆糸井利則先生の原稿◆ 第1章 授業のなかで使われている群読 高学年
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チャレンジする心(5〜6年生)
                   大阪府・大阪市立平野小学校教諭 糸井利則
  
<解説>
 5年生30人の学級である。4月の学級開きで「教室はまちがうところだ」という詩を紹介し、全員で声を合わせて読ませた。他に、授業のはじめや、学級活動の時間に、学級のみんなで斉読に取り組んできた。取り上げた題材は、「エジソンの20000回の実験話」や論語「過ちては即、改むるにはばかることなかれ」である。「学校はまちがえてかしこくなるところ、この1年、失敗をおそれずにチャレンジしていこう」と伝えたかったからである。
「5年生になって」という作文を書かせたとき、多くの子どもが、「先生が、教室はまちがうところだと言ってくれたので、今はまちがえても、ぜんぜんドキドキしなくなった」「わたしはいつもずっと自信がもてなかった。でも、今はなんか自信がもてるような気がする」と書いてきた。
 その後、子どもたちの意見で、5年1組の学級テーマは「教室はまちがうところだ」となった。
 5年生2学期より、朝の「健康観察」をこの群読で行なってきた。30人の子どもたちが座席順に読んでいく。毎日続けていると、少しずつ声も出るようになってきた。声の小さな子もいるが、昨日よりも声が出たことをほめるよう心がけてきた。1ヵ月に一度の席替えで、読むところはかわっていくので変化もある。こうして、この詩は、どの子も暗唱できる程学級の中に浸透していった。


<読み手・演出ノート>
@ ソロは1〜30 クラス30人全員に一行ずつ読む。( )の部分
A アンサンブル10人×3 座席のかたまりで、クラスを3つに分けている。教室では、1号車、2号車、3号車と呼んでいる。
B アンサンブルA男子全員14人 B女子全員16人

<群読脚本>

《省略》


<発展>
 5年生のはじめから一貫して「教室はまちがうところだ」をクラスの合言葉にしてきた子どもたちを持ち上がりの6年生で担任している。はにかみも出てくる中でも、小学校最後の1年を、自分の目標に向かって一歩前に出ようとする子どもたちの様子がうかがえる。
 教師が語るだけでは、このように子どもたちに前向きな気持ちを育てることはできなかったと思う。
 くり返しくり返し音読し、暗唱し、群読することによって、失敗をおそれずにチャレンジする心、仲間の失敗を笑わず認める心がしぜんと身についてきたのだと思う。


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 ◆ 河野 邦房先生の修正原稿 ◆   第3章 教師たちの群読 
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★日本群読の会湯布院大会開会セレモニー「いつでもどこでも群読」
         大分県・杵築市立杵築小学校  河野 邦房

〈解説〉
 我々は、いろいろな研究会や実践講座に自主的に参加することが多いが、逆にそれらを主催する立場に立つこともある。たいていの研究会には、開会行事なるものがあり、いろいろな方の挨拶や研究の概要報告などが参加者に伝えられる。それらの多くが「硬いなあ」と感じることが多い。研究の概要や趣旨をもっと柔らかく参加者に伝えることはできないか。特にワークショップを取り入れたような参加型実践講座の場合、参加者のアイスブレイキングができれば最初からいい雰囲気でその研究会もスタートできるのではないか。と考え、日本群読の会湯布院大会では、ボイスパーカッションの手法を取り入れた開会挨拶と群読を織り交ぜた寸劇で大会の趣旨説明を試みてみた。
 
オープニング挨拶の「いつでもどこでも群読」は、大分の首藤政秀さんに依頼し、脚本を立ててもらった。3つの異なったテンポで声を掛け合わせていくことは、音楽的感覚でつくっていくのがいいかもしれない。次に寸劇「いつでもどこでも群読」は、3人のメインキャストのキャラクターづくりを明確にしようと考えた。群読というものを初めて知る2人をリードしながら即興で群読をつくっていく国語教師。掛け合いのタイミングもいるので少し根を詰めた練習がいるかもしれない。脚本は、「いつでもどこでも群読」という大会テーマから、群読というものの紹介と「理科の元素記号」や「歴史年号」など学校で子どもたちが唱えて覚えているものを題材に気軽に群読はつくれるものだという内容にしてみた。

 最後に会場のあちこちに散らばっていた実行委員が、ABCの3チームに分かれ「いつでもどこでも・・・」と唱えながら集まり、「群読!」とビシッと決める。その際、さりげなく本の紹介も入れた。
これは、全国から集まった実行委員が、オープニングも含め、前日1時間くらいの練習で合わせることができた。



〈読み手・演出ノート〉
*ボイスパーカション「いつでもどこでも群読」
 アンサンブルA,B,C(各3名以上)

 1 アンサンブルCから入り、4小節後にアンサンブルB、その4小節後にアンサンブルAが入る。
 2 A脚本からB脚本への移行は、テンポも変わるので、リーダーの「1234!」の合図を使う。
 3「いつでも どこでも」「ぐんどく」の言葉が明瞭に聞こえるように一人ひとりが歯切れよく言うことにも留意する。

*寸劇「いつでもどこでも群読」
ソロ1(国語教師の設定)ソロ2(理科教師の設定)ソロ3(社会科教師の設定)
アンサンブルA,B,C(各5名くらいは欲しい)
 全は、ソロとアンサンブルの全員

 1 ソロ123の掛け合いは、テンポの良さを心がける。
 2 アンサンブルAからは入り、続いてアンサンブルB、アンサンブルCが加わっていく。
 3 ソロ1とアンサンブルA、ソロ2とアンサンブルB、ソロ3とアンサンブルCがペアーで音を重ねていく。


〈群読脚本〉
ここに楽譜が入ります。楽譜だけ添付しました。

(3人の教師が別々の方向から登場、一心不乱に手元の本を見ている。前中央でぶつかり、持っていた本を落とす)

ソロ123 あっ失礼! すいません。(落とした物を拾いながら、口々に)
ソロ2   ちょっと本に目がいってて、すいません
ソロ1   あっそれ、元素番号ですね。なつかしいな。私も学生の頃覚えましたよ。たしか、スイヘイリーベー、ボクノフネ…、だったかな
ソロ2  そうそう、今も子どもたちには、そうやってますよ。やってみますか?
ソロ13  はい
ソロ2  スイヘイリーベー、ボクノフネ。ソーマガルシップス、クラークカ!
ソロ13  スイヘイリーベー、ボクノフネ。ソーマガルシップス、クラークカ!
ソロ1  これって群読みたいですね
ソロ3  群読ってなんですか?
ソロ1  うーん、詩の朗読とかあるでしょう。それを一人でやるのでなく、みんなでつくりあげるんですよ。一人の声にみんなの声を重ねあわせたりしながらね。するとみんなの声につつまれ実に楽しいんですよ。子どもたちも大好きで、しぜんと目でうなずきあったり、体でリズムを刻んだり、個人の朗読にはないハーモニーがうまれる、そんなものです。
ソロ2  ちょっとやってみたいな
ソロ1  じゃーさっきの「スイヘイリーベー」で…。やってみますか。さん、はい!
ソロ2   スイヘイリーベー、ボクノフネ
ソロ13  スイヘイリーベー、ボクノフネ
ソロ2   ソーマガルシップス、クラークカ!
ソロ13  ソーマガルシップス、クラークカ!
ソロ2  スイヘイリーベー、
ソロ1  スイヘイリーベー、
ソロ3  スイヘイリーベー、
ソロ123 ボクノフネ
ソロ2   ソーマガルシップス、
ソロ123 (2拍の間)クラークカ!

ソロ2  いいですねー

ソロ1 (突然)祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり
ソロ3  それ『平家物語』ですね
ソロ1  そう。今子どもとやっているんですよ。「スイヘイりーべー」ってやっているうちになんか口に上ってしまって…
ソロ2  それもやってみません
ソロ1   いいですね。それでは、さん、はい!

ソロ1   祇園精舎の鐘の声
ソロ3  諸行無常の響きあり
ソロ2  沙羅双樹の花の色
ソロ123 盛者必衰の理をあらわす
ソロ1  おごれる人も久しからず
ソロ3  ただ春の世の夢のごとし
ソロ2  たけき者も遂には滅びぬ
ソロ123 ひとえに風の前の塵に同じ

ソロ2   じーんときますね
そろ1  いいでしょう。
ソロ3  こんなのもどうでしょうか。いい国(1192)つくろう鎌倉幕府、白紙(894)に戻った遣唐使
ソロ2  やった。やった。歴史の年代の語呂合わせ
ソロ1  私も必死に覚えましたよ
ソロ3   これもみんなで群読にできませんか
ソロ1  じゃーやってみましょうか。いきますよ。さん、はい!

ソロ3  いい国つくろう鎌倉幕府
ソロ12  いい国つくろう鎌倉幕府
ソロ3  白紙に戻った遣唐使
ソロ12  白紙に戻った遣唐使
ソロ3  大化のあとに645(むしご)匹
ソロ1  794(なくよ)うぐいす平安京
ソロ2  710(なんと)きれいな平城京
ソロ3  1867(いばるな)慶喜 大政奉還
ソロ123 1867(いばるな)慶喜 大政奉還
ソロ3  建武の新政1334(ひとさみし)
ソロ1  1549(いごよく)栄えたキリスト教
ソロ2  1932(いくさに)つながる五・一五
ソロ3  彼氏が1904(いくわよ)日露の戦争
ソロ123 彼氏が1904(いくわよ)日露の戦争

ソロ2  いつでもどこで群読ってできるんですね
ソロ1   いつでもどこでも気軽に楽しめるそれが群読だよ
ソロ3  いつでもどこでも群読、これがキーワードですね

アンサンブル A    (突然)いつでもどこでも、いつでもどこでも、・・・(繰り返し)
アンサンブル BC        いつでもどこでも、いつでもどこでも、・・・(繰り返し)
ソロ123           な、なんだー?(少しの間困惑する3人)
ソロ1   (気を取り直して)皆さんもやりたいんですね。それじゃーみんなでやりますか。
                さんはい!
全員             いつでもどこでも、いつでもどこでも、・・・
               (繰り返しながらだんだん小さく)


ソロ2            スイヘイリーベー、ボクノフネ、
アンサンブル A        スイヘイリ−ベー、ボクノフネ、
ソロ2           祇園精舎の鐘の声
アンサンブル B        祇園精舎の鐘の声
ソロ3           いい国つくろう鎌倉幕府
アンサンブル C        いい国つくろう鎌倉幕府
アンサンブル A        スイヘイリーベー、ボクノフネ、ソーマガルシップス、クラークカ
アンサンブル B        祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり
アンサンブル C        いい国つくろう鎌倉幕府、白紙に戻った遣唐使
全員       (一斉に)いつでもどこでも、いつでもどこでも、いつでもどこでも、・・・
          (繰り返しながらステージ正面へ移動し、並んだところで)
全員             いつでもどこでも、群読!

ソロ2          「いつでもどこでも群読」これってどこかで見ましたよね
ソロ           なんかどこかで見た本のタイトルだったような?
書籍販売           後ろで販売しています!
全員            いつでも、どこでも、いつでもどこでも、いつでもどこでも、いつでもどこでも、よろしく!

〈発展〉
 オープニングでボイスパーカッションの手法を取り入れての挨拶は、参加者に「この研究会はひと味違うぞ!」と感じさせられたのでないかと思う。さらにセレモニーの寸劇では、「群読」を身近に気軽に感じさせながらも、(意図的なものではなかったが)失敗もあったりしてかなり場を和ますことができ、その後の講座に参加者がすぐに入ることができたと感じている。これは、各講座で楽しそうに群読をつくっている参加者の様子や夜の宿泊者交流会でも劇のリクエストが起こったことからもそうではないかなと主催者側では思いたいところでもある。
 これらは、学校でのいろいろな行事やクラスのイベントでも使うことができると思う。例えば、焼き芋集会という行事の開会宣言を「ぐんどく」の言葉を「やきいも」と変えてみんなで合わせつくってみたり、クラスの誕生会でその子の名前をみんなで唱えながら、それにかぶせるようにその子のキラッと光るいいところを合わせて言う「お誕生日群読」というように発展できるのではないだろうか。


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U 群読指導のポイント 第1章 詩 の 第三稿(まとめ 澤野 郁文先生)
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1)原文を選ぶ段階でのコツ!
○ 気に入った文章なら何でもOK!
「どんな教材が群読に適していますか?」「この詩を群読にしてみたいと思うのですけれどもできるでしょうか?」というような質問をよく受ける。そんな質問にはこう答えることにしている。「あなたが気に入っていればどんな文も群読になりますよ!」。群読はメロディーのない合唱と同じ。作曲家が詩をみて楽譜を書き出すように、どんな詩でも群読にアレンジしていけるのだ。臆さないでどんどん挑戦してみることである。

○ 一から原文を探すなら
 群読に挑戦してみたいのだがどの文が良いのだろうとお悩みの時は、まず気に入った詩を探してみなければならない。そんな時は、市販の脚本集をまず開いてみよう。(もちろん本書もイケる)そして小さな声で良いからリズムに乗ってつぶやいてみよう。自分のクラスの子どもたちや発表の場をイメージしながら。「この台詞、いつも元気な○○君が読んだらいいカンジだな」等と考えながら探すのだ。それだけでワクワクしてくる。原文にあたり、脚本を自作してみたいときは、何をねらうかをはっきりさせて選定に当たると良い。

 ねらいは次の2点に大別される。
 ア リズムやハーモニーを楽しむための群読
 イ 教師の思いを伝えるための群読

 それぞれの選定の視点は、以下の通りである。

<アの場合の選定の視点>
  ・ オノマトペがたくさん使われている詩
   (例)おがわのマーチ
  ・ 七五調、五七調の詩
   (例)地引あみ
  ・ 途中でリズムの変化が楽しめる詩
   (例)祭りだわっしょい
  ・ 人称変化が多い詩(登場人物がたくさんの詩)
   (例)大きなかぶ
  ・ 言葉遊びができる詩
   (例)あいうえお・ん
  ・ 早口で言うとおもしろい詩
   (例)早口言葉

<イの場合の選定の視点>
  ・ 教師の伝えたいことがストレートに表現されている詩
   (例)教室はまちがうところだ
  ・ 1回範読したら、すぐに子どもに読ませることができる詩
   (例)学級開きで使う詩

2)脚本をつくる段階でのコツ!
○ 日常に見つけられる多くのヒント
 TVのCMや番組のBGM・台詞の中に商品名のリフレインやリズムの取り方等多くのヒントがある。ちょっと気をつけて観ればどんどんアイディアが浮かんでくる。合唱曲や交響曲等の名曲からクラブ系のポップスまで音楽は勿論アイディアの宝庫である。また、演劇もしかり。取り組む原文を決めたら、常にアレンジのヒントを探しながら生活すればいくらでも情報を手に入れることができるということである。

○ リズムを出すか出さないか
 詩の場合、前述の通り大きくリズミカルかそうでないかの2つに分かれる。リズムを出す場合、どの言葉でどんなリズムにするかをまず練る。詩の中にある言葉をリフレインしても良いし、擬音・擬態語を挿入しても良い。
 次に、テンポや繰り返しの回数等を考える。
最後に、詩の本文をどの音符のリズムでのせるかを工夫する。例えば同じ4拍でも「まーつーりーだー」という4分音符のリズムと、「まつりだまつりだまつりだまつりだ」という16分音符のリズムでは、全く違った感じになる。その辺を吟味するとますます楽しくなる。
 リズムを出さない場合は、まずテンポを考える。ゆっくりか?ちょっとはやめか?テンポが変わる場合もある。
 次に、じっくりと一人で読ませたいところ、みんなで大きく斉読したいところを決める。
 さらに、繰り返しや漸増法、追いかけ等の技法を使うと効果的なところを見つける。
 
(例)雨がたたみかけるように降ってくる様子の表現
ソロ つぎからつぎへと
+アンサンブル ざかざかざかざか
+コーラス   ざかざかざかざか   (漸増法)

語り手1 つぎからつぎへと ざかざかざかざか ざかざかざかざか 
語り手2          つぎからつぎへと ざかざかざかざか
語り手3                   つぎからつぎへと・・
                   (追いかけ)
 工夫のしどころであるが、技法は使えばよいというものではないので、あくまでも詩の内容を訴えたり表現したりするときに有効かどうかで厳選しなければならない。

○ ノッてきたら自由に創作!
 リズムや技法を使ってどんどん楽しく工夫したいと思っても、なかなか原文の中からきっかけがつかめないというときは、思い切って創作文を挿入するという手もある。原文を役割読みで進め、場面が変わる部分に創作の詩を挿入しリズミカルに群読して変化をつける、というように。


3)読み手に投げかける段階でのコツ!

○ 模範は必要!
「もっと強く!」「もっと気持ちを込めて!」という指導言は、分かりづらいもの。初めて群読に挑戦する子どもたちであれば全く理解できない。思い切って教師が模範を示すことは絶対に必要である。といっても、シナリオのすべてを通す必要はない。出だしや、クライマックス等のピンポイントを、びしっと聴かせるのである。

○ 職員群読チームがパフォーマンス!
 全校が相手だったり、取り組み期間が短かったりすると、やはり完璧なお手本が必要になる。本書に付属するCDを活用しても勿論良いのだが、教師集団で練習して披露すると効果抜群。「先生やるなー」と、みんなノッてくること間違いなしである。


4)練習段階でのコツ!

○ まずは斉読!
 意外と大切なのが精読。技法やアレンジなしで原文のまま、あるいはシナリオをみんなで声を合わせて読む。詩の持つ雰囲気やテンポを全員で共有するのである。初めは教師がセンテンス毎に区切りながら読んで復唱させる、声がそろってきたら自分たちだけで通して斉読というように、丁寧に練習したい。

○ グループで工夫してコンクール!
 小グループで練習し、評価し合うというのもお互いの良さや工夫を学び合うことができて効果的。その場合、最終的には全体で取り組むのだからいたずらに競争心をあおるのではなく他グループの良さをどんどん吸収させる方向で進めなければならない。「まつりだ!の部分の読み方は2班と3班のどちらが良かったかな?」「3班の方が勢いがあって良かったと思います」「そうだね。じゃあどの班も3班の読み方をコピーしよう」というように。

○ その他大勢でなく
 コーラスの部分などは、大人数だからといって責任が軽いというわけではない。それぞれに役作りをさせて(名前や性別・性格など固有名詞を考えさせて)一人ひとりの存在感を持たせる。また、同じ言葉の繰り返しが続く場合でも、アクセントの位置、強弱、クレッシェンド等の工夫を常に考えさせながら練習を進めると、主人公意識を持てる。

○ どんどん指揮!
 ダイナミクス(強弱)やテンポの変化は、声の出し手だけではなかなか客観的につかめないもの。だから、遠慮しないで指揮をおく方が効果的である。

5)発表段階でのコツ!

○ 立ち位置で大きく変わる
 お客さんを囲むように立つとステレオ効果が広がる。主人公を一段高い位置に立たせるとそれだけで声が通るようになる。手前から奥に向かって斜めに立つと音に立体的な深まりが生まれる。並ぶ順番を変えるだけで声の大きさが変わることもある。

○ 出だしの工夫
 大きな発表会に緊張は付き物。最初の一声が勝負となる。初めてで自信のなさそうな子どもたちであったら教師が最初の一言を出してあげる等の配慮があっても良い。スタートから全員が声をそろえるのはかなり息が合わないと難しいので(勿論成功すれば最高にカッコいいのだが)題や1フレーズをソロが発声する、指や足で音を立ててテンポをカウントする等の工夫があると安心である。


6)評価・保存段階でのコツ!

○ 的を絞った評価を!
 練習段階ならば、「今日は声の大きさだけを評価」というようにポイントを絞って評価していく方が進歩が見えやすく取り組みやすくなる。発表後のまとめの評価でも、一番がんばったこと一番がんばった人、一番伸びたこと等にポイントを絞ってコメントする。

○ 保存のポイント!
 ビデオに撮るのが一番簡単な保存方法だが、できればステレオマイクを接続して高音質で録音したいところ。単一指向性のマイクを使うと、声を偏って拾ってしまうので注意が必要。MDで生録しながら練習すると、直ぐに自分たちの実力を顧みることができて効果的。

7)その後の発展(今後脚本化できそうな教材)

○ 授業や日常生活の中での群読
 群読の発表が成功したら是非その後の日常を是非群読チックなものにしていって欲しい。というよりもしぜんとそうなっていくものである。掃除の時に「はじっこを掃くときは、サッサッサッサ」とかけ声がリズミカルに湧き上がったり、授業のまとめを簡単なリフレインにしたり。(本書の実践参照)簡単なもので良い。ノリと楽しささえ共有し続ければ次の詩に取り組む時に大きく成長を感じることができる。群読は奥が深いが、けして難しいものでは無いのである。自由に楽しく!共に盛り上がりましょう!


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***2004.7.29 東京日本青年会館 第3回群読大会を成功させましょう****

 重水 健介(日本群読教育の会事務局)

  日本群読教育の会 http://gundoku.web.infoseek.co.jp

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