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 続編ニュース 32号                          2004.5.5
 
 ◆目次◆  
お便り
       書名案の追加
       河野邦房先生の原稿 
       U群読指導のポイント 物語研究部   
       整理表

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こんにちは。続編ニュース32号をお届けします。

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 ◆お便り◆   
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*会員の方から次のメールをいただきました。このようなお便りをいただくと大きな励みになります。ニュースを発行してよかったと思う瞬間です。ありがとうございます。

26号
加藤征子先生の原稿は、は、子どもの躍動感が伝わるようでした。斉藤洋はすきな児童文学者の1人ですが、この脚本はじつにおもしろそうですね。また、加藤先生の学級のこどもたちが、自ら「「朗読劇にしよう」とか「劇にしよう」というような声が返ってきた。」のや、「ライオンやクロヒヨウの言葉が長いので、やりたい希望者が多くて配役決めが大騒ぎになる」のが、いかに加藤先生が日頃、ご指導なさっているかがよくわかりました。

27号
福澤紀子先生のお原稿は、すっと素直に心にはいってくる、優しい書き方だと思いました。基本的で、初心者でも、これならまねをしてなれそうだと思いました。でも、よく勉強なさっていらっしゃるのですね。

毛利先生の原稿は、すごいの一言です。博学毛利先生です。毛利先生のあとがきはよみやすくて、よく分かりました。

28号
海上先生のは、ぜひ井上ひさしのを読みたいと思わせる、ゆかいで少しシニカルで、人間賛歌で、楽しい気分になりますね。

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 ◆こんな書名案を送っていただきました◆  
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「だれでもできるよ群読」心をつなごう! みんなで群読」
「心をつなごう! 楽しい群読」
「レッツ トライ! みんなで群読」
「みんなで楽しく ぐんぐん群読」
「たのしいね 群読」
「群読ぐんぐん」
「ぐんぐん どんどん 楽しい群読」
「群読をたのしもう!」
「みんなで群読 ぐんぐん群読」
「よめばひびくよ群読」
「だれかとだれでも群読」
「あなたとみんなで群読」
「こえがひびけば群読」
「だれでもひろがる群読」
「どうしたどうたかな群読」

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 ◆ 河野 邦房先生の原稿 ◆   第3章 教師たちの群読 
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★日本群読の会湯布院大会開会セレモニー「いつでもどこでも群読」
               大分県・杵築市立杵築小学校  河野 邦房

〈解説〉
 我々は、いろいろな研究会や実践講座に自主的に参加することが多いが、逆にそれらを主催する立場に立つこともある。たいていの研究会には、開会行事なるものがあり、いろいろな方の挨拶や研究の概要報告などが参加者に伝えられる。それらの多くが「硬いなあ」と感じることが多い。研究の概要や趣旨をもっと柔らかく参加者に伝えることはできないか。特にワークショップを取り入れたような参加型実践講座の場合、参加者のアイスブレイキングができれば最初からいい雰囲気でその研究会もスタートできるのではないか。と考え、日本群読の会湯布院大会では、ボイスパーカッションの手法を取り入れた開会挨拶と群読を織り交ぜた寸劇で大会の趣旨説明を試みてみた。
 
オープニング挨拶の「いつでもどこでも群読」は、大分の首藤政秀さんに依頼し、脚本を立ててもらった。3つの異なったテンポで声を掛け合わせていくことは、音楽的感覚でつくっていくのがいいかもしれない。次に寸劇「いつでもどこでも群読」は、3人のメインキャストのキャラクターづくりを明確にしようと考えた。群読というものを初めて知る2人をリードしながら即興で群読をつくっていく国語教師。掛け合いのタイミングもいるので少し根を詰めた練習がいるかもしれない。脚本は、「いつでもどこでも群読」という大会テーマから、群読というものの紹介と「理科の元素記号」や「歴史年号」など学校で子どもたちが唱えて覚えているものを題材に気軽に群読はつくれるものだという内容にしてみた。

 最後に会場のあちこちに散らばっていた実行委員が、ABCの3チームに分かれ「いつでもどこでも・・・」と唱えながら集まり、「群読!」とビシッと決める。その際、さりげなく本の紹介も入れた。これは、全国から集まった実行委員が、オープニングも含め、前日1時間くらいの練習で合わせることができた。



〈読み手・演出ノート〉
*ボイスパーカション「いつでもどこでも群読」
 アンサンブルA,B,C(各3名以上)

 1 アンサンブルCから入り、4小節後にアンサンブルB、その4小節後にアンサンブルAが入る。
 2 A脚本からB脚本への移行は、テンポも変わるので、リーダーの「1234!」の合図を使う。
 3「いつでも どこでも」「ぐんどく」の言葉が明瞭に聞こえるように一人ひとりが歯切れよく言うことにも留意する。

*寸劇「いつでもどこでも群読」
ソロ1(国語教師の設定)ソロ2(理科教師の設定)ソロ3(社会科教師の設定)
アンサンブルA,B,C(各5名くらいは欲しい)
 全は、ソロとアンサンブルの全員

 1 ソロ123の掛け合いは、テンポの良さを心がける。
 2 アンサンブルAからは入り、続いてアンサンブルB、アンサンブルCが加わっていく。
 3 ソロ1とアンサンブルA、ソロ2とアンサンブルB、ソロ3とアンサンブルCがペアーで音を
   重ねていく。


〈群読脚本〉
 オープニング挨拶「いつでもどこでも群読」 作 :大分県庄内町立西庄内小 首藤政秀

 寸劇・群読『いつでもどこでも群読』脚本

(3人の教師が別々の方向から登場、一心不乱に手元の本を見ている。前中央でぶつかり、持っていた本を落とす)

ソロ123 あっ失礼! すいません。(落とした物を拾いながら、口々に)
ソロ2   ちょっと本に目がいってて、すいません
ソロ1   あっそれ、元素番号ですね。なつかしいな。私も学生の頃覚えましたよ。たしか、スイ
      ヘイリーベー、ボクノフネ…、だったかな
ソロ2  そうそう、今も子どもたちには、そうやってますよ。やってみますか?
ソロ13  はい
ソロ2  スイヘイリーベー、ボクノフネ。ソーマガルシップス、クラークカ!
ソロ13  スイヘイリーベー、ボクノフネ。ソーマガルシップス、クラークカ!
ソロ1  これって群読みたいですね
ソロ3  群読ってなんですか?
ソロ1  うーん、詩の朗読とかあるでしょう。それを一人でやるのでなく、みんなでつくりあげるんですよ。一人の声にみんなの声を重ねあわせたりしながらね。するとみんなの声につつまれ実に楽しいんですよ。子どもたちも大好きで、しぜんと目でうなずきあったり、体でリズムを刻んだり、個人の朗読にはないハーモニーがうまれる、そんなものです。
ソロ2  ちょっとやってみたいな
ソロ1  じゃーさっきの「スイヘイリーベー」で…。やってみますか。さん、はい!
ソロ2   スイヘイリーベー、ボクノフネ
ソロ13  スイヘイリーベー、ボクノフネ
ソロ2   ソーマガルシップス、クラークカ!
ソロ13  ソーマガルシップス、クラークカ!
ソロ2  スイヘイリーベー、
ソロ1  スイヘイリーベー、
ソロ3  スイヘイリーベー、
ソロ123 ボクノフネ
ソロ2   ソーマガルシップス、
ソロ123 (2拍の間)クラークカ!

ソロ2  いいですねー

ソロ1 (突然)祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり
ソロ3  それ『平家物語』ですね
ソロ1  そう。今子どもとやっているんですよ。「スイヘイりーべー」ってやっているうちになんか
      口に上ってしまって…
ソロ2  それもやってみません
ソロ1   いいですね。それでは、さん、はい!

ソロ1   祇園精舎の鐘の声
ソロ3  諸行無常の響きあり
ソロ2  沙羅双樹の花の色
ソロ123 盛者必衰の理をあらわす
ソロ1  おごれる人も久しからず
ソロ3  ただ春の世の夢のごとし
ソロ2  たけき者も遂には滅びぬ
ソロ123 ひとえに風の前の塵に同じ

ソロ2   じーんときますね
そろ1  いいでしょう。
ソロ3  こんなのもどうでしょうか。いい国(1192)つくろう鎌倉幕府、白紙(894)に戻った遣唐使
ソロ2  やった。やった。歴史の年代の語呂合わせ
ソロ1  私も必死に覚えましたよ
ソロ3   これもみんなで群読にできませんか
ソロ1  じゃーやってみましょうか。いきますよ。さん、はい!
ソロ3  いい国つくろう鎌倉幕府
ソロ12  いい国つくろう鎌倉幕府
ソロ3  白紙に戻った遣唐使
ソロ12  白紙に戻った遣唐使
ソロ3  大化のあとに645(むしご)匹
ソロ1  794(なくよ)うぐいす平安京
ソロ2  710(なんと)きれいな平城京
ソロ3  1867(いばるな)慶喜 大政奉還
ソロ123 1867(いばるな)慶喜 大政奉還
ソロ3  建武の新政1334(ひとさみし)
ソロ1  1549(いごよく)栄えたキリスト教
ソロ2  1932(いくさに)つながる五・一五
ソロ3  彼氏が1904(いくわよ)日露の戦争
ソロ123 彼氏が1904(いくわよ)日露の戦争
ソロ2  いつでもどこで群読ってできるんですね
ソロ1   いつでもどこでも気軽に楽しめるそれが群読だよ
ソロ3  いつでもどこでも群読、これがキーワードですね
アンサンブル A    (突然)いつでもどこでも、いつでもどこでも、・・・(繰り返し)
アンサンブル BC        いつでもどこでも、いつでもどこでも、・・・(繰り返し)
ソロ123           な、なんだー?(少しの間困惑する3人)
ソロ1   (気を取り直して)皆さんもやりたいんですね。それじゃーみんなでやりますか。
                さんはい!
全員             いつでもどこでも、いつでもどこでも、・・・
               (繰り返しながらだんだん小さく)

ソロ2            スイヘイリーベー、ボクノフネ、
アンサンブル A        スイヘイリ−ベー、ボクノフネ、
ソロ2           祇園精舎の鐘の声
アンサンブル B        祇園精舎の鐘の声
ソロ3           いい国つくろう鎌倉幕府
アンサンブル C        いい国つくろう鎌倉幕府
アンサンブル A        スイヘイリーベー、ボクノフネ、ソーマガルシップス、クラークカ
アンサンブル B        祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり
アンサンブル C        いい国つくろう鎌倉幕府、白紙に戻った遣唐使
全員       (一斉に)いつでもどこでも、いつでもどこでも、いつでもどこでも、・・・
          (繰り返しながらステージ正面へ移動し、並んだところで)
全員             いつでもどこでも、群読!

ソロ2          「いつでもどこでも群読」これってどこかで見ましたよね
ソロ          なんかどこかで見た本のタイトルだったような?
書籍販売          後ろで販売しています!
全員           いつでも、どこでも、いつでもどこでも、いつでもどこでも、いつでも
              どこでも、よろしく!

〈発展〉
 オープニングでボイスパーカッションの手法を取り入れての挨拶は、参加者に「この研究会はひと味違うぞ!」と感じさせられたのでないかと思う。さらにセレモニーの寸劇では、「群読」を身近に気軽に感じさせながらも、(意図的なものではなかったが)失敗もあったりしてかなり場を和ますことができ、その後の講座に参加者がすぐに入ることができたと感じている。これは、各講座で楽しそうに群読をつくっている参加者の様子や夜の宿泊者交流会でも劇のリクエストが起こったことからもそうではないかなと主催者側では思いたいところでもある。
 これらは、学校でのいろいろな行事やクラスのイベントでも使うことができると思う。例えば、焼き芋集会という行事の開会宣言を「ぐんどく」の言葉を「やきいも」と変えてみんなで合わせつくってみたり、クラスの誕生会でその子の名前をみんなで唱えながら、それにかぶせるようにその子のキラッと光るいいところを合わせて言う「お誕生日群読」というように発展できるのではないだろうか。


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 ◆U 群読指導のポイント「物語」◆  物語の研究部 ( まとめは松本順子先生)      
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 1 原文を選ぶ段階でのコツ・留意点

 群読の教材は、日頃使っている国語の教科書の物語教材から選ぶといいだろう。
 選ぶポイントは、

 (ア)文体に音声化するのに適したリズムやうねりがある
  (イ) 複数の人物が登場するもので、ソロ、アンサンブル、コーラスなどが生み出せる可能性がある
 (ウ)表現が説明的であるよりは描写的であり、会話と人物の内言語と描写とがバランスよく組み合わされたもの
 など3点を考えにおき、選ぶといいだろう。
 国語の教科書の中から、教材を選べないときは上記のポイントを含んでいる文学教材や民話の中から選ぶ。

2 脚本を作る段階でのコツ・留意点

 群読では劇と違い、せりふもト書きの部分も、行動の主体である登場人物が読む。一つの文でも、主体が変われば読み手も二人で読むことがある。語り手は、人物にかかわらない情景描写を読むことになる。

(1)最初は、教師が作った脚本を用いる。脚本は地の文を生かし、場面の変化や登場人物の行動描写、
  情景描写をとらえながら「分読」「読み手の配分」をする。
(2)子どもたちがグループでの話し合いで脚本原案を作成する。物語を読みあい、情景を思い浮かべ「分読」をきめ、登場人物を確認し、ソロやアンサンブル、コーラスに分け、読みの分担をきめる。

3 子どもなどに投げかける段階でのコツ・留意点

(1)「脚本を読んでみよう」と呼びかけ、最初は一文読みをする。一文ずつ順に回し読んでいく。こうして、全員がどの分も読めるようにする。
(2)回し読みしていくなかで、友だちの声の質が分かってくる。そこで「声質を考え、だれがどの役がいいのか、検討してみよう」と投げかけ、読みの分担をきめる。
(3)ひととおり読めるようになったら「役づくり」をさせる。たとえば「“おむすびころりん”でのソロ役は、どんなおじさん? アンサンブルのねずみは、どんなねずみたち?」と投げかけ「その人になったつもりで読んでみよう」と読ませる。そうすることで、その他大勢のなかに個人が埋没することなく、個性表現も可能になり、読み手も満足するし、表現もぶあつさを増すようになる。
(4)場面を盛り上げる技法を考える。ひとつのグループに練習成果を発表させ、どうすればもっと良くなるのかを話し合わせ、感想を述べ合うなかで、教師はいろいろな技法を指導し、全体のレベルをあげていく。
 どんな技法があるかは「家本芳郎先生著『群読をつくる』高文研」を参考にしたい。

4 練習段階でのコツ・留意点

(1)教師が範読をして見本を示すほかに、子どもたちの力を引き出す教師の指導言が大切。たとえば、「大勢で読み出すときには、今から読むぞ!と心に決意し、眼をいっぱいに見開いて自分のいちばんいい顔をして読もう」「前の人が読んでいるときも、心の中で一緒に読みなさい」というように。
(2)グループ内で評価しあい、個々の良いところを見つける。さらにもっと良くなるところを見つけあい、一人ひとりの課題を教えあうことによって、さらに、挑戦させる。このことで、グループの意欲が高まる。

5 発表段階でのコツ・留意点

(1)隊列を考えさせる。発表する隊列によって、聞き手に与えるインパクトは変わってくる。また、立つ・座る・後ろを向く・中腰になるなどの姿勢、動作を入れることも効果的であることを助言する。
(2)グループのリーダーが、手や目で合図したり、手拍子や足で床をたたいてリズムをとったりして、指揮することを教える。

(3)BGMや効果音、手拍子、楽器や扮装などを効果的に使い、情景描写のイメージを盛り上げる方法を示唆する。

6 評価・保存・発展化段階でのコツ・留意

(1)グループ発表の相互評価では、教師からの観点(取り組み過程でのグループ協力性はどうか、分読分担は適切か、表現はよく工夫されていたか、感動を与えたか)から3つぐらいを挙げ評価する。また、グループでの評価担当制をとる。それは、どのグループの発表はどのグループが評価するかをあらかじめきめておく方法。最初は、2〜3つの良かったところ・発見したところ・こうすればよいことを付け加えて評価させる。その評価について、教師がさらなる評価を加えると、子どもたちの鑑賞力が伸びていく。
(2)群読は、音声言語表現の特徴として読み上げれば瞬時に消えてしまう。実際に眼や耳で受け止めたものにはかなわないが、ビデオやカセットテープ、MDに録画をして保存する。ビデオやMDは、自分たちの練習や発表を即見ることができ、自己評価に役だつことで、群読のレベルアップを図ることができる。
(3)発展として朝のミニタイムや日常の学級活動、学年や全校の児童会活動にも拡げ、子どもたちの表現学習として位置づけたい。


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***2004.7.29 東京日本青年会館 第3回群読大会を成功させましょう****

 重水 健介(日本群読教育の会事務局)

  日本群読教育の会 http://gundoku.web.infoseek.co.jp

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