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続編ニュース 30号 2004.5.5
◆目次◆
編集前記
深澤英雄先生より 実践記録中の脚本の修正
U群読指導のポイント 古典研究部 毛利豊先生の原稿
整理表
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◆編集前記
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こんにちは。続編ニュース30号をお届けします。
「実践のポイント」は8日(土)の〆切に向けて、各部着々と進んでいます。
執筆者のみなさんへ
・整理表を見ていただいて、間違いがありましたらすぐにお知らせください。
・個人データをお願いします。5/2に「執筆者のみなさんへ」というメールでお知らせしたとおりです。データがないとやり取りができませんので、至急メールしてください。
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◆深澤英雄先生より 実践記録中の脚本の修正 ◆
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深沢 英雄先生より、実践記録中の脚本を、よりわかりやすく改良したものをお送りいただきました。
ありがとうございました。なお、実践記録はニュース16号で紹介しています。
〈群読脚本〉
コーラス(ABCD) いっぱい
ソ ロ 谷川俊太郎 作
《省略》
かえるのたいそう 鶴見正夫 作
《省略》
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◆U 群読指導のポイント ◆古典研究部
毛利豊先生の原稿
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A 既成の脚本を使用する場合(初級)
1 学習者に投げかける段階でのポイント。
○「動機付け」を充分にする。
古文は読む障害から内容の理解が難しく、群読するには困難を伴う。そのため、例えば、以下のように興味をもたせ意欲を引き出すことが重要となる。
・ 国語授業などでの既習教材やそれと関連のある文章をとりあげる。
・ 郷土の歴史などにまつわる地域教材をとりあげる。
・ テレビ、マスコミなどでの流行をとりあげる。
・ 先輩や他校の先行実践を聞かせる、見せる。(ビデオ録画、テープ録音)
・ プロの群読、歌舞伎を聞かせる、見せる。(ビデオ録画、テープ録音)
また、古典学習の歴史や慣習にもふれ、声に出して読むことの意義を下記のようにガイダンスする。
・ 漢籍の素読の伝統
・ 口承文学として発展してきた歴史
・ 百人一首や句会などでも、最後には読み上げる慣習
・ 「古典は習うより慣れろ」親しむことの重要性
さらに、最近の大脳研究の成果を紹介するのも、動機づけになるだろう。
2 練習段階でのポイント
○ 一斉音読を全員で繰り返し、古文音読に習熟する。
学習者の状況によって、指導者が区切りながら音読してみせ、学習者に続けて発音させるような、口写しの指導が求められる。この初めの段階から、「楷書読み」や正しい発音を意識させるとよい。
さらに、習熟するには、形態を変えて、いろいろな読みを織り込むと良い。例えば、ペアによる1文交互読み → 一人での早読み、暗唱読み、など。
○ 役割分担を決めて、それぞれのところをパート別・個人的に練習する。
分読は、学習者の声質と文章の内容とが合うように、話し合って決める。例えば板東武者は男声、女性を含む平家勢は女声でというようにである。
○ みんなで「合わせ」て、お互いに気づいたところを批評し合う。
良いところ、悪いところを指摘し合う。こんなふうに読んだらどうかという提案も歓迎する。
その場合は、理由を添えること、実際に自分がやってみせることなどに留意すると、具体的で建設的な話し合いとなる。
・くっきりと発音する「楷書読み」になっているか。
・係り結びを強調しているか。
・出だしの「高出し」、おわりの「さげ」、途中の抑揚など。
・イントネーション、アクセント、発音の善し悪し。
・擬音語の工夫。
○ 複数グループが同じ脚本でやるときは、別室に分かれて練習を重ねる。
同じ部屋でやるとお互いの練習が聞こえて、気が散ってじゃまになることがある。また、あとでお互いに発表し合う場合でも、発表前にどういうものか大体わかるので興味をそがれる。別室でやると、他のグループへの期待感が高まり、同じ脚本でもまるで雰囲気の違うものになることが実際にわかって感動する。そして、お互いに「違い」から学びあえるのである。国語科教室とかなくても、会議室や空き教室・特別教室を使えばよいだろう。
3 発表段階でのポイント。
○ 音響、視覚効果を演出する。
出だしやどこか音をそろえるところで拍子木を活用するとよい。本物でなくても、ホームセンターで小さな角材を買ってくれば、それらしい音が安価で用意できる。最近では、100円均一ショップで小さいものが売り出されている。剣道場や町内会から借用してくるのも一法である。三味線、笛などの和楽器ももし準備できれば少しなら入れると味が出る。
源平の争乱を描くなら、装飾として赤旗・白旗などを準備したい。マフラーやハチマキ、帽子、トレイナーなどでもよい。
○ 発表隊形を工夫する。
並び方も、机とイスで作った雛壇の上に並んだり、「鶴翼の陣」形で並んだりすると、晴れ舞台に立ったようで気合いがでるし、見栄えもする。
(「鶴翼の陣」の図 )
○ 互いの良さを取り入れて、修正群読(2回目)をもう一度させる。
時間が許せば、下のように相互評価し合った後に、他のグループから学んだことを
生かした2回目群読をもう一度おこなうチャンスを与えると良い。1回目を中間発表、2回目を本番と銘打っても良い。教材を変えておこなう方法もあろう。
4 評価・保存・発展化段階でのポイント。
○ 相互批評は、プラス志向で。
けなしあうより、ほめ合う方が気持ちが良いし、やる気も出る。実際、学ぼうと思えば、どんなに下手な発表からでも学ぶことはある。もし何も見つからないようなら、それは自分の「学ぶ力」が弱いと反省する方がよい。けなすのは簡単だが、向上しない。学習者が気づかないときは、指導者が指摘してやるとよい。
○ ビデオ録画、テープ録音をする。
家庭用ビデオカメラやデジカメの動画などで簡単に録画でき、テレビに接続すれば、その場で再生して自分たちの群読をみんなで鑑賞できる。最近では専用の機械もできた。録音テープやでの記録も簡単に再生でき、自分たちの読みを客観化できる文明の利器は大いに活用したい。
○ 映像・音声記録を、ライブラリー化し、次の指導に生かす。
次の学習者のために映像・音声記録として残すことをすすめる。具体的な映像・音声として見聞できれば、後進は、先達が到達したところから、ただちに先に進めるからである。同年代の者の姿は、大きな影響力をもつ。
B 与えられた古文で学習者が脚本をつくる場合(中級)
1 原文を与える段階でのポイント。
○ 原文選びが、全てを決める。― 内在する音楽律を彫り出せ! ―
古典の場合は、どんな文章でもよいというわけにはいかない。文章選びがきわめて重要である。
「その原文には、『内在する音楽律』があるか否か」これがポイントとなる。声に出してリズムを生みそうな文章に注目し、それを掘り出すつもりで凝視するとよい。(下の2を参照)
○ 音声として口承されてきた文学や芸能を選ぶ。
一般に、口承されてきた文学や芸能に、音楽的リズムのあるものが多い。例えば、 「軍記物」「歌舞伎」「浪曲」などである。それらには、七五調や五七調、対句や反復など、声に出せば自然にリズムを生むものが多い。逆に、書き言葉(文字)で伝えられたものには、一部の名文を除いて、群読に適さないものが多いようである。
(例)「軍記物」― 平家物語・源平盛衰記、保元物語、平治物語、太平記、明徳記
「歌舞伎」― 白浪五人男、三人吉三郭初買、盲長屋梅加賀鳶
「浪曲」― 森の石松・金毘羅代参、森の石松三十石道中、壷坂険記、佐渡情話
○ 内容の理解、技法や記号の理解が大前提となる。
これらは、古文の内容が理解でき、群読の技法やそれを表す記号が一通り理解できることが、大前である。そうでない場合は、内容学習や、技法の学習から始めなくてはならない。
2 脚本をつくる段階でのポイント。
○ 既成脚本の「模写」や「改作」から始めると、コツを会得しやすい。
絵画製作の上達法に「模写」がある。名作をそっくりそのまま自分の手でコピーする方法である。その過程で、多くの学ぶことがあるからであろう。古典群読も同様、先行実践(脚本づくり)をなぞって
みることで、多くの気づきと学びを得る。ただし、全く同じでは単調なので、登場人物の人数を変えた
り、文章を短縮したりして、条件を変えた「改作」に取り組むとよい。その作業の中で、群読技法を詳
述した理論書(例:家本芳郎著『群読をつくる』高文研)にさかのぼって学習する。その中で、なぜこ
こはこうしてあるのかの「読解」ができるのである。詳しい理論書を1頁から順に読むのは気骨が折れ
ると敬遠する人でも、必要に応じてあちこち探し読みするのなら、案外と主体的に読める。
○ 対句に注目する。
2つのフレーズがペアになっているところはどこか。それは当然、別の人(グループ)が読むことになろう。そこで、分読が必然的に一つ決まる。
(例)女声:平家の方には音もせず、
男声:源氏の方には、またえびらをたたいてどよめきけり。
○ 人物のセリフに注目する。
人物のセリフは、地の文(説明・ト書き)とは違う人、○○役のひとがよむ。これで、また一つ分読が必然的に決まる。
○ ト書きの性質に注目する。
同じト書きでも、単なる状況説明と人物の心情や胸の内を述べているものでは性質が異なる。人物の心情はセリフと同じ扱いにする。これで、また一つ必然的に分読が決まる。
○ 係り結びに注目する。
係り結びは強調の技法である。ゆえに、主に読むときに強調するようにしたいものである。その注意を促せるような表記上の記号などがあると親切である。
○ 追いかけ読み、乱れ読み、わたり、などにふさわしいところを探す。
追いかけは次々に何かが起きる場面や、一つの劇的場面を強調したい場合に採用する。乱れ読みは戦闘場面や何かが入り乱れている場面で、わたりは長い文章を分読したあとの仕上げでもう一度強調するようにしたい場面で、それぞれ採用する。これで、また一つ必然的に分読が決まる。
○ こうして、「必然性が、脚本をつくる」。
このように内在するものを彫り出していけば、自然に脚本が仕上がる。作為を捨て、木目に沿って木を割るように、ロダンが大理石の中に埋もれている像を彫りだしているだけだと言ったように、パズルを解くように、順々に分読箇所を決めてゆくとよい。
C 学習者が自分で原文を見つけ、それを群読脚本にする場合(上級)
○ 名文詞華集、既習教材、CD付きの入門書などを活用する。(上級初心者)
簡単に手頃な文章を探そうと思えば、このようなものから始めるのも一法である。
○ 多くのいろいろな古文にアクセスする。(上級中級者)
資料集、古典文学全集、演芸・芸能全集や、ビデオ・テープ・CD・DVDなどの視聴覚媒体、さらにはインターネットなどで、いろいろな古文にアクセスし、読解し、文章の特徴を分析できること
が前提である。
○ 自分で擬古文を作り、それを群読にする。(上級練達者)
膨大な古文に親しむ中で、古文を自分で創作できるようになった練達者にのみ出来るワザである。
この域に達すれば、自分の好みにかなういかなる古典群読も創作可能となろう。
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◆整理表◆ 書名「続・群読」(検討中)*整理表に間違いがありましたら、すぐにお知らせください。
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数字は掲載ニュースの号数
( )は学ぶの担当
○は録音なし
●は録音郵送済み
■は原文済み
□はオリジナルのため原文不要
▲は個人データ済み
はじめに ・・・ 重水 健介
27
目次 ・・・ 編 集 部
群読に使われている記号 ・・・ 編 集 部
T さまざまな場での群読活動
第1章 授業のなかで使われている群読
小学校 低学年 ● 深沢英雄16(澤野) ○ 吉田 靖11(重水) ●伏見かおり21(坂尾)
中学年 ● 加藤征子26(坂尾) ▲ 深澤五郎 (澤野)
高学年 糸井利則 (片桐)
中学校 ●▲毛利 豊8(重水12)
高 校 ○▲片桐史裕14(毛利27)
第2章 学級・学年・全校活動の中の群読
小学校 ●■ 日置敏雅12(片桐) ●▲長塚 松美24(坂尾)○□▲古関 勝則25(重水)
●■▲福沢紀子27(澤野) ● 馬見塚昭久22(片桐)●■▲川崎 瑞枝14(毛利
23)
中学校 ○□ 山口 聡18(毛利) ▲荻原
啓10(澤野)
第3章 教師たちの群読 ● 澤野郁文23 (片桐) ●河野邦房(澤野)本日入稿予定
第4章 地域での群読・・●▲新田茂子19 (毛利) ●■海上和子19(重水)
U 群読指導のポイント
第1章 詩 ・・・ 研究部22←5/7の最終検討後、完成稿入稿
第2章 物語 ・・・ 研究部 ←本日入稿予定
第3章 古典 ・・・ 研究部30
第4章 わらべ歌 ・・・ 研究部29
V 資料 群読脚本 ▲家本芳郎 ●■▲坂尾知宏20 ●■秋元紀之17
●■上村 弘17 ●■海上和子28
松本順子
終わりに(日本群読教育の会の活動について)・・・毛利 豊27
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***2004.7.29 東京日本青年会館 第3回群読大会を成功させましょう****
重水 健介(日本群読教育の会事務局)
日本群読教育の会 http://gundoku.web.infoseek.co.jp
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