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 続編ニュース 23号                      2004.5.1
 
 ◆目次◆     
 澤野 郁文先生の原稿  第3章 教師たちの群読 
    毛利 豊 先生の原稿 「川崎 瑞枝先生の実践に学ぶ」
    整理表

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こんにちは。続編ニュース23号をお届けします。

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 ◆澤野 郁文先生の原稿  第3章 教師たちの群読 ◆
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第3章 教師たちの群読 

学年終いの集会で、教師集団の群読を披露!

<解説>
 約130名、4クラスの小学2年の学団に所属したときの実践である。明るく楽しく意欲的に活躍してきた2年生の学年末に、学年まとめの学年集会を開くこととなり、子どもたちはそれぞれクラス毎に出し物とする寸劇や合唱奏に取り組んでいた。
 そんな中、最後に一つ、子どもたちをあっと言わせるものをみせて「先生たちはやっぱりすごい!」と感動させようではないか!そうだそうだ!と5人の学団教師集団は思わぬ盛り上がりを見せ始め、「でもなにを?」「2年のみんなはこの一年とてもがんばった。勉強も行事の取り組みも。中でも一番がんばったのは、文化祭と音楽集会の取り組みだった。だから、その2つのパフォーマンスに勝るものを考えよう!」と話は進んでいったのであった。
 2年生は、文化祭ではボディーパーカッションを取り入れた歌声、音楽集会では学年全体の群読を見事に成功させていた。(この学校は、音楽集会で全学年が群読に取り組むという素晴らしい伝統を持っていた!)従って、教師集団のパフォーマンスは「ボディーパーカッションと群読の組み合わせで、子どもたちのパフォーマンスを上回るもの」ということになった。ううむ、厳しい。
 原作は山田今次の「雨」に決定。リズミカルな詩なので、ボディーパーカッションによく合いそうだという理由で選んだ。時すでに学年終い集会の2週間前。合わせて学年末超多忙時期である。しかし、なんとしても子どもたちの喜ぶ顔をみたいとがんばる教師集団5名は、毎日16時30分からの30分間を練習時間と設定し、創作への挑戦を始めたのであった。そして、教師というのは人にやらせるのは
専門だが、なかなか自分でやろうとすると思うようにいかないということと、体を動かしながら声を出す難しさを痛感しつつも、少しずつ群読は完成に近づいていった。

<演出ノート>
1 ドン タ ドド タ というボディーパーカッションのリズムを基本とした。
  ドンとドドは足踏み、タは手打ち。
2 ソロ1名、アンサンブル2名、コーラス2名という構成。
  人数が少ないので、一人ひとりがしっかり声を出さねばならない。
3 詩の合間(C、E)にボディーパーカッションをアレンジしたダンスを少々はさみ、変化を持たせ
  た。
4 Aの部分は「乱れ読み」一人ずつ雨の降り始めの雰囲気を出しながら立ち位置に着く。
  Bの部分は、ソロとの掛け合いでリズムを出していく。
  Dからは、5人がボディーパーカッションにてリズムをキープしながら、群読を重ねていく。
5 Cは、4人の手拍子にのせて、ソロがアドリブでボディーパーカッションダンスを見せる。アドリ
  ブを終えたらカウントを出してDへ進む。
6 Eは、ボディーパーカッションのソロとのかけあい。途中から足踏みを両足のジャンプに変える。
  ジャンプで一気に立  ち位置を換えて見栄えをよくした。
7 Fは、趣を変え、指うちでリズムをキープしながらヒップホップ調の雰囲気をねらう。サングラス
  とニット帽を装着。「しきりにたたく」のユニゾンでポーズをとり、少々ストップモーションで間
  をとる。
8 カウントでGに入るが、テンポをアップして激しい雨の雰囲気を出す。
9 Gの「ざかざか」の繰り返し部分で、若手二人が側転で場所替え。ちょっと派手な動きを入れた。
10 I は、おいかけの技法でたたみかけるように。
11 Jのラスト「あめ!」で、全員でポーズを決める。
12 拍手の中でもう一度ボディーパーカッションによるリズムを初め、メンバー紹介をしながら一人一
芸。
  合図でJを繰り返して、あらたにポーズを決め終了。

< 脚本 >
別に、exelファイルで添付しています。

<発展>
 忙しい時期の短い練習期間ではあったが、持ち前のチームワークで何とか完成にこぎつけ、本番は子どもたちから大きな拍手をもらうことができた。ただし、シナリオを暗記することはできなかったので、本番前日に会場の天井(子どもたちの位置からは死角になる)にシナリオを拡大コピーして貼っておいた。
 集会全体も大成功に終わり、感想に「先生たちがカッコよかった」「先生たちのような群読をしてみたい」という声が多かった。
 年度があけて、新学期。新たな職員を迎える歓迎会の中で、もう一度この「雨」の出番がやってきた。
 飲み会の余興という俗っぽい話で恐縮だが、「いつでもどこでも群読」を信条としているのでお許し願いたい。先の2学団4人が指導陣として入り、新たに教頭先生を筆頭に7名がメンバーに加わる。総勢11名。ソロ1名、アンサンブル4名、コーラス6名という構成である。指導陣のおかげでスムーズに練習は進んだが(付属CDの音源はこのリハーサル)、たった3回しか練習できなかったので本番はずいぶんミスが出た。それでも好評を得ることはできた。観客側はシナリオを知らないのでミスに気づかなかったのであろう。(それともアルコールのおかげかな?)
 その後職員室では「ざんざか」が流行し、「さあ、ざんざかざんざか仕事しようか」とどこかで誰かが気合いを入れている日々がしばらく続いた、等という話は、別に発展という項に書くほどのことでもない。「今年は全校群読に取り組んでみましょうか」と、若手の教員が2次会の席で語ってくれたことがとてもうれしかった。

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 ◆毛利 豊 先生の原稿 「川崎 瑞枝先生の実践に学ぶ」◆

(川崎実践は、ニュース14号に掲載しています)
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 川崎実践に学ぶ            毛利 豊

 
 またまた、驚いた。
 年端もいかぬ小一が、中学生でも難しい「気どり」読みを、ノリノリで鮮やかにやってのけた。青息吐息で中学生を指導している私は、いっそう青くなった。私たちはここから何を学べばよいのだろうか。
 第一は、指導者のビジョン(夢)である。中学校で古典群読に苦戦していると聞き、「小学生から古典になじませればよい」と考えたという。普通はそんなことは考えない。常識にとらわれない着想力が起点となった。「楼閣は空中に建てるものだ、さあその下に土台を建てよう」(ソロー)を思い出した。
 第二は、楽しんで子どもと共に取り組んでいる点である。終始一貫して、楽しむために群読をし、それを総括の中心においている。普段の「わらべうた」遊びの延長だったのかもと思えば、謎はとける。
 第三は、教師の学ぶ力と積極果敢な姿勢である。古典研究部の私に時々問い合わせが来たので、知る限りの情報提供と感想を述べたに過ぎなかった。しかしその後に送られてくる録画映像や報告は私の思惑をはるかに超えて先に進んでいるのが常であった。第四に、マスコミ(テレビ番組)に上手く乗っている点である。子どもの流行に敏感で、機を見るに敏な教師の観察眼が生み出した実践ともいえよう。
 第五は、有志活動から始めて、それを学級全体に自然に広げていることである。全員への暗唱強制などからは、けっして生まれなかった展開である。
 第六は、動作化・小道具・顔の装飾などで、興味づけを図っている点である。「見得を切る」「セリフで前を向く」、拍子木や傘、「隈取り」など、面白そうな仕掛けが満載である。これならおもしろい。
 第七は、詩・物語・わらべうたなども、文種が「文語」であれば、同時に「古典群読」たり得るという、分類軸(視点)の多様さへの示唆である。「わらべうた」遊びを素地にして、低学年群読のウイングを古典領域にまでも広げ、分類再編までをも予言した、実践史の画期を成す実践である。


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***2004.7.29 東京日本青年会館 第3回群読大会を成功させましょう****

 重水 健介(日本群読教育の会事務局)

  日本群読教育の会 http://gundoku.web.infoseek.co.jp

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