∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
 続編ニュース 04号      2004.1.7 

 ◆目次◆
    編集委員の紹介
    中学校 「第1章 授業のなかの群読・中学校」 毛利豊先生の原稿
    原稿執筆者を募集
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
●編集委員の紹介

 片桐史裕先生、澤野郁文先生、毛利豊先生に編集委員をお引き受けいただきました。ありがとうございます。本ができあがるまでのすべての過程で、編集委員の方を中心にして動いていきます。よろしくお願いします。
 もちろん、家本芳郎先生に逐次相談し、助言していただき、高文研の山本さんとも連絡を密接に取り合いながら、全会員の力でいい本をつくりたいと思います。

 
●毛利先生からさっそく原稿が届きました。

 原稿送信のメールには、次の言葉が添えてありました。お忙しい中をありがとうございました。


(毛利先生からのメール)
 冬休みに原稿を書く人も多いだろうと思い、私の見本を急いで仕上げました。といっても、まだ第1次原稿で、これからしばらく寝かせて熟成させ、磨いてから、推敲をしなくてはなりません。したがってあくまで未定稿です。ただ、雰囲気は伝わると思うので、みなさんに提示して下さい。
 冬休みももうほとんどなくなってからで、本当にごめんなさい。

(原稿本文)
 中学校 「第1章 授業のなかで使われている群読・中学校」
 古典にいどむ―――扇の的・『平家物語』から――【 第 1 稿 】
 富山県・滑川市立滑川中学校  毛 利  豊

《解説》
 中学校国語科の定番教材として『平家物語』がある。一年生はお伽話で古典学習に導入し、その発展として、口承文学であり比較的現代語に近い『平家物語』が二年生に配列されることが多い。この群読実践も、中学二年生を対象に『平家物語』を学習し、その後に発展学習として行ったものである。
 しかも、研究授業という場を借り、教師の集団思考と生徒の集中を生み出しやすくした。

《演出ノート》
1 『脚本集』にある家本芳郎氏原作「那須の与一」は、あまりにも長大で授業では持て余す。そこで教科書で原文を示している「山場」だけにし、約三分の一に切りつめた上で潤色して脚本化した。
2 三つの生活班を一学習グループにして、教室にA・B二つの学習グループを作った。一グループは一七名程度となった。
3 読み方は、
 くっきり・かっきりと読む「楷書読み」
 〈ぞー連体形〉を強調する「係り結び」の強調
 大仰に気どって読む「気どり読み」
 固有名詞を特にくっきりと読む「固有名詞の楷書読み」
 矢が軌跡を描いて扇に命中する部分の「追いかけ読み」
 に留意させた。
4 普通の音読の発声法とは違うので、あらかじめ「歌舞伎」「池上中学校の古典群読」などを録音テ ープで聞かせ、参考にさせた。

《群読脚本》     家本芳郎氏 原案   毛利 豊 潤色

語り手全員 「平家物語」 巻の十一より 「那須与一」

効 果   ほら貝の音

語り手1  ころは二月十八日の酉の刻ばかりのことなるに、
+語り手2 をりふし北風激しくて、磯打つ波も高かりけり。
語り手3  舟は、揺り上げ揺りすゑ漂へば、
語り手4  扇もくしに定まらずひらめいたり。
平家方   沖には平家、舟を一面に並べて見物す。
源氏方   陸には源氏、くつばみを並べてこれを見る。
+平家方  いづれもいづれも晴れならずといふことぞなき。
語り手5  与一目をふさいで、
与一    「南無八幡大菩薩、我が国の神明、日光の権現、宇都宮、那須の湯泉大明神、願はくは、あの扇の真ん中射させてたばせたまへ。これを射損ずるものならば、弓切り折り自害して、人に二度面を向かふべからず。いま一度本国へ迎へんとおぼしめさば、この矢はづさせたまふな。」
語り手5  と心のうちに祈念して、目を見開いたれば、
語り手1  風も少し吹き弱り、
語り手2  扇も射よげにぞなつたりける。
語り手5  与一、かぶらを取つてつがひ、よつぴいてひやうど放つ。小兵といふぢやう、十二束三伏、弓は強し、
語り手3  浦響くほど長鳴りして、
語り手4  あやまたず扇の要ぎは一寸ばかりおいて、
語り手1  ひいふつとぞ
語り手2  ひいふつとぞ
語り手3    ひいふつとぞ
語り手4      ひいふつとぞ
語り手12 射切つたる。
源氏・平家方 射 切 つ た る 。
語り手1  かぶらは海へ入りければ、
語り手2  扇は空へぞ上がりける。
語り手3  しばしは虚空にひらめきけるが、
語り手4  春風に一もみ二もみもまれて、
語り手1  海へさつとぞ散つたりける。
語り手全員 かぶらは海へ入りければ、扇は空へぞ上がりける。しばしは虚空にひらめきけるが、春風に一もみ二もみもまれて、海へさつとぞ散つたりける。
語り手1  夕日(せきじつ)のかかやいたるに、みな紅の扇の日出だしたるが、白波の上に漂ひ、
語り手2  浮きぬ
語り手3  沈みぬ
語り手4  揺られければ、
平家方   沖には平家、ふなばたをたたいて感じたり、
源氏方   陸には源氏、えびらをたたいてどよめきけり。
 
《発展》
 A・B両グループが前に出て発表しあった。そして、お互いに良いところ=学びたいところを、「知・徳・体」の三観点から指摘しあった。その後で、授業者の私が、録画映像をその場で再生して見せながら、生徒の気づかなかった良さを指摘して、今後の参考にさせた。
 授業の終わりの「振り返りカード」には、次のような感想があった。
「古典の群読は難しいけど、みんなで一生懸命やると、楽しかった」
「『へいけ』はくっきり読めたが、固有名詞の楷書読みがまだよくできていなかった」
「僕はまだ恥ずかしさがあって、気取って読むのが足りないと思う」
 普段は授業妨害ばかりしている生徒が、録画機器の片づけなどを自主的に手伝い、リーダーの生徒と肩を並べて職員室まで運んでくれる後ろ姿を、不思議な思いで眺めた。また、それ以後、国語の授業に私が顔を見せると、他の問題を抱えた生徒が「へ・い・け物語!」と叫んであいさつ?をしたりした。
 今後の教訓として残ったのは、読解学習での音読段階から「へ・い・け」と楷書読みを意識させた方が効率がよいこと、『歌舞伎遊び』などをした後で群読をした方がよいこと、他の教室に出ている国語科教師と合意できればどの学級でも行い、選抜チームを組んで予餞会などで発表すると、もっと高度な群読に仕上がる可能性があること、などである。


●原稿執筆者を募集

 原稿の書式は、1頁46字×17行。

 内容としては、
 1 解説:この群読を行うようになった経緯や場面設定の説明を書く
 2 読み手、演出ノート:何人で分読するか、群読で工夫した点を書く
 3 群読脚本:群読した脚本をそのまま載せる
 4 発展:群読によって授業や行事がその後、どう変わっていったか、
   また、学級・学年・全校にどの ような成長がみられたかを書く
 この4点を書きます。

 昨年の本と同様です。上記の毛利豊先生の原稿を参照してください。

 脚本は、オリジナルのものか、どなたかが脚色したものかを明記します。原作がある場合は、原作者名を明記します。実践は、昨年版と同じパターンで同じ群読脚本を使用することは避けてください。発展の形での同脚本の使用は、比較を入れる形であれば可ということにします。長いものは編集部で調整させていただく場合があります。

 執筆原稿の分量は、上記の1〜4をあわせて4〜10頁位でお願いします。

 原稿を募集します。執筆料は、原稿1編10,000円の買い取り制とします。V 資料は1編ごとに1,000円とします。ぜひ、ふるってご参加ください。
 編集委員が責任をもって、執筆の相談にのっていきたいと思っています。ご自分の勉強のつもりでお書きいただければ幸いです。

「書いてみるよ」というご返信の際は、、第1章小低、第2章中というようにお知らせください。なお、録音についてはカセットテープや、ビデオテープの録音・録画をつけてください。


***2004.7.30 東京日本青年会館  第3回群読大会を成功させましょう****

 重水 健介(日本群読教育の会事務局)


 日本群読教育の会
http://gundoku.web.infoseek.co.jp

**********************************************************************