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 日本群読教育の会 会報 89号     2007.9.25
    
    発行者アドレス          sakunayo@ngs2.cncm.ne.jp 
   
    日本群読教育の会      http://gundoku.web.infoseek.co.jp
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 ☆目次☆       
     ★ 編集前記
★ 会員のみなさんの声
★ 神奈川大会情報    〜場所・日時が決定〜
★ 毛利豊先生の群読教室  6  群読(古典) −  短歌  −
★  楽しい群読実践 〜学年びらき〜   重水健介
★  群読学習会のご希望をお知らせください
★ 事務局より  〜日本群読教育の会のお知らせ〜
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★編集前記  
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会員のみなさん。お元気ですか。お体大切にお過ごしください。

北海道大会からもうすぐ2ヶ月が過ぎます。みなさまのおかげで、とてもよい大会に
なりました。さて、来年は神奈川大会です。実行委員長に海上和子先生、副委員長に
長塚松美先生にご就任いただき、着々と準備をすすめています。みなさんと一緒に神
奈川大会を成功させましょう。

これまで会報を日置敏雅先生のご尽力でメーリングリストを通してお送りしてきまし
たが、迷惑メールに困っているとの声を多数お聞きしました。そこで、日置先生にご
連絡をし、片桐史裕先生のお世話で、新たに、会報送信の仕組みを作っていただきま
した。

会報はみなさまのお手元に会報が無事届いていますでしょうか。「届いた」とのご返
信をいただくと、安心します。同時に、近況等教えていただくとたいへん励みになり
ます。
今後ともよろしくお願いします。
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★ 会員のみなさんの声  
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◆大分 中山香代さん
87号、88号と会報の作成・配信ありがとうございます。私や山田さんの学習に関
しても気配りをいただき感謝いたします。ただ、事前学習会にも参加できなかったも
のですから、いろいろな方に会計の仕事をお任せすることになり、お手数をかけた点
が多かったと思います。みなさんに助けられての会計の仕事です。
ありがとうございました。
当日は、会計の仕事だけに専念させてもらいましたので、逆に動きやすかったとい
うのが感想です。また、写真撮影で全分科会を見学できましたので、そういう面では
得をしたと感じています。
地元実行委員会の方も丁寧に会計記録をしてくださり、頭の下がる思いです。会計簿
をみながら、大分大会のことを思い出しました。大分大会の時も地元実行委員会で集
まり、いろいろ話し合いましたが、1回目の東京大会を見た人がほとんどいないた
め、初めての地元開催によく見えない全体像に不安になったことを覚えています
(笑)。事前の会場下見に来てくださった家本先生と帰りにフランス料理を食べたこ
とも思い出します。・・・・
すでに6回目の全国大会を終え、次の7回目に向けて動き始めているなんてはやい
ですね。

◆鳥取 福澤紀子さん
鳥取の福澤です。ごぶさたしています。暑い日が続いていますが、お元気ですか?
北海道大会、行きたかったぁ!今度は、鳥取に近いところであるといいな
あ・・・。
今年度、私の学校では、「全校群読」に取り組んでいます。やり方は、えっ!と驚
かれると思いますが、
1ヶ月それぞれの学級(11学級)で詩の群読練習をします。クラスや学年ごとに受け
持ちを決め、自分たちの担当部分は、特にしっかりと練習します。
毎朝、それぞれのクラスから、元気な声が響いてきます。合わせるのは、1ヶ月後の
児童朝会です。合わせるのは1回きりで、その次は、また、1ヶ月新しい詩の練習をし
て次の児童朝会で合わせます。
読む速さや間が、クラスごとに違っていることがありますが、おかしいときは、担任
の先生に「○○は、○○・・って読んでね」とお願いします。1学期は、1年生ががん
ばれる「あいうえおのうた」「あいうえお ん」の二つに取り組みました。
合わせると、「あれ〜!!こんなはずでは・・・。」とがっくりしちゃうこともあり
ます。(^^;)

2学期は、どんな詩に取り組もうか考え中です。なにか、いいシナリオはないでしょ
うか・・・??
みなさんいろいろな意見を聞いてみたいです。(全校(260人)で一つの詩を読むと
いうのは、それも、各学級での練習のみで合わせるときは、ぶっつけ本番・・という
のは、難しいですねえ・・。)
(会員のみなさまいろいろなご意見をお寄せください)

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★ 神奈川大会情報    〜場所・日時が決定〜
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◆ 日時・場所がきまりました。まだまだ先のことですが、今から予定に入れて
おいてくださいね。
2008年7月26日(土)9:00〜17:00
会場名; かながわ労働プラザ
住所; 神奈川県横浜市中区寿町1−4
電話; 045−633−5413
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★ 毛利豊先生の群読教室  群読(古典) − 6 
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俳諧や俳句が群読に出来るなら短歌も出来るはずだ、と考えました。ただし、俳句よ
りも長くなるので、分読を先に行い、最後に通して読む「わたり」技法のようにしま
した。

古くは万葉集から、現代では口語体短歌まで、群読化するといっそう味わい深くなる
作品があります。また、それによって理解も深まり、学習班での話し合い・発表に
よって、協力性を育てることもできます。

ちなみに、短歌は現代の若者にも大受けで、NHKでも若者短歌の番組が大繁盛で
す。そこでの歌のやり取りからカップルが生まれた話が放映されていました。それは
まさに現代の相聞歌です。


★ 「万葉集」から「東歌(あずまうた)」 ★
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1 多摩川に さらす手作り さらさらに 何そこの児の ここだ愛しき (大意)
多摩川で織った布をサラサラとさらしていると、更に更に愛おしさ     がつ
のってくるよ。

2 稲つけば かかる吾が手を 今夜もか 殿の若子が 取りて嘆かむ
 (大意)稲搗きで荒れた私の手を、今夜も殿の若様が取って嘆いて下さることで
しょう。

3 信濃路は 今のはりみち墾道 刈りばね株に 足踏ましなむくつ履着け わがせ

 (大意)信濃路はまだ出来たばかりの路です。切り株で足を傷つけることでしょ
う。どうぞ、靴を履いていって下さい。私の愛しい人よ。

解   説:東国農民の素朴な歌が、東歌です。
      一首目は、母親がわが子をいとおしむ気持ちとも、娘が恋人を思う気持
ちとも、言われます。「さらさら」は、水音と、「更に更に」を掛けた言葉です。

      二首目は、農民娘が若殿とのやり取りを想っていますが、労働の厳しさ
に耐えるための単なる希望的夢想にすぎないという味気ない指摘もあります。

      三首目は、旅立つ夫を気遣う妻の優しい心情を歌ったものです。
      当時の路はまだ険しかったこと、裸足で歩く人が多かったことがわかり
ます。
      
これらの歌を群読にしてみましょう。


読 み 手:ソロ1、2、3の三人。ただし、二首目は男女が交じり分担する。
演出ノート:語尾を伸ばし、しみじみとしたいとおしさを表現する。
記 号  :▽は同時に読みます。×も同時に読みます。

1  多摩川に
2  さらす手作り
3  さらさらに
1 ▽さらさらに
2 ▽  さらさらに
3 ▽    さらさらに
1  何そこのこ児の
23  何そこのこ児の
全員  ここだかな愛しき

1   多摩川に さらす手作り さらさらに 何そこの児の ここだ愛しき
女  稲つけば かかるあ吾が手を こよい今夜もか
男  殿のわくご若子が 取りて嘆かむ
女  稲つけば
男  稲つけば
女 ▽かかる吾が手を 今夜もか 
男 ▽        今夜もか  殿のわくご若子が
女 ×殿のわくご若子が 取りて嘆かむ
男 ×         取りて嘆かむ 
女  稲つけば かかる吾が手を 今夜もか 殿の若子が 取りて嘆かむ

1  信濃路は
2  今のはりみち墾道
3  刈りばね株に 足踏ましなむ
1 ▽足踏ましなむ 刈りばね株に
2 ▽       刈りばね株に 足踏ましなむ
3 ▽            足踏ましなむ 刈りばね株に〜。
全員 くつ履着け わがせ背
1  信濃路は 今のはりみち墾道 刈りばね株に 足踏ましなンむ くつ履着け 
わがせ背



★ 近代短歌から ★
・・・・・・・・・・
4 くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふる
 (大意)薔薇の若芽のほの紅いトゲの先がやわらかく、そこに静かに春雨が降っ
て、つやつやしている。

5 みちのくの母の命を一目見ん 一目見んとぞただにいそげる
 (大意)故郷・東北におられる母の最期に一目会いたい、一目会いたいという一心
で私は急いだ。

解   説:どちらも教科書にもある代表的な近代短歌です。
      第4首目の写生主義の子規と、それを更に深めた第5首目の茂吉の作。
授業の発展として、少し時間をとれば扱えます。

読 み 手:ソロ1、2、3、4の四人。
演出ノート:叙景歌と抒情歌を対比的に並べました。
記 号  :+は、前の人に付け加わっていく、の意。
      −は、前の人から引いていく、の意。

全員  正岡子規 
1  くれなイゐの     
+2  二尺伸びたる    
+34 薔薇の芽の     
―1  針やワはらかに    
―23 春雨の降る
 1  くれなイゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やワはらかに春雨のふる
 
全員  斎藤茂吉                  
1  みちのくの母の命を一目見ん
2 ▽母の命を一目見ん 一目見ん 一目見んとぞ
3 ▽    一目見ん 一目見ん 一目見んとぞ
4 ▽         一目見ん 一目見んとぞ
1  ただにいそげる
2 みちのくの母の命を一目見ん 一目見んとぞただにいそげる



★ 現代短歌から ★
・・・・・・・・・・               
                           俵 万智

  (大意)空気は冷たい冬でも、言葉をかけると返っる心の通いに、心が温かく
なった。

さあ、これは児童・生徒の皆さんに問いかけてみて下さい。
ふたり読み形式の脚本で簡単につくれると思います。なかには凝って、いろいろな装
飾的フレーズや、繰り返し、コーラスなどを付ける子どももいるかもしれません。面
白い試みです。それをみんなで声に出して読んでみて、どんな感じがするか話し合っ
てみましょう。ひろがりや発見が生まれると思います。こうでなくてはならないとい
う「正解」はありません。


蛇足ですが、短歌の授業は、鑑賞よりも、いきなり創作から入ります。
文語で書かれた近代短歌の解説をくどくどと聞かされるよりも、57577で思いを
綴る作業の方が、生徒には取っ付きやすいようです。それを披露し合い共感が広がる
中で、級友の意外な一面を発見し、つながりが生まれます。

表現技法の解説もそこでの生徒作品を例にして行います。そして最後に、教科書教材
の近代短歌で大意や技法を確認します。その方が、短歌づくりで高まった言語感覚を
元に、自然にスッと理解できるようです。


宿泊学習の後、国語授業で歌会をしました。
初めての作歌で頭をひねっていましたが、提出された作品をみると実にユニークなも
のが混じっています。一覧プリントにし、気に入った作品に投票しました。
数日後、「朝のスピーチ」原稿が教室に掲示してありました。「国語で短歌を作っ
た。この学級のみんなは、感情豊かな人が多いと思った」情操教育にもなったでしょ
うか。

いつか、「群読短歌」づくりにも挑戦させたいと思います。
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★ 楽しい群読実践 〜学年びらき〜   重水健介
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4月、初めての学年集会を学年びらきととらえ、子どもたちに1年間の見通しを示す
とともに、「よし、がんばるぞ」という意欲を引き出すために群読をした。教師も自
己紹介だけでなく、抱負を群読で示し、その後「四季の歌」の合唱を披露した。教師
のやる気や仲のよさや団結の強さを伝えることができたと思う。

◆ 演出ノート
新年度、十分練習時間が取れなかったので、前日に数回練習するだけでぱっとできる
ような脚本にした。「背筋を伸ばしたよい姿勢と笑顔で、言葉がはっきりと子どもた
ちに伝わるように」ということを心がけて読んだ。
◆読み手
A〜Gは学年職員のソロ
全はみんなで読む。

◆脚本(重水健介 作/編)

 A 3年生のみなさん
 全 こんにちは
 B いよいよ 3年生としての1年間が始まります
 C わたしたちは、みなさんと一緒にスタートできることをとても嬉しく思ってい
ます。
 D 3年の意味を考えてみましょう
 全 3年は最終学年です
 E 義務教育最後の学年です。悔いのないように過ごしましょう
 全 3年は最高学年です
 F 学校のリーダーとなる学年です。下級生を行動でひっぱりましょう
 全 3年は進路を決める年です
G 自分の夢に向かって励みましょう
 A わたしたち3年職員もベストを尽くします
全 みなさん一緒にがんばりましょう 
 全 よろしくお願いします (『四季の歌』へと続く)

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 ★校内研で・サークルでの群読講座 ご希望をお知らせください★
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◆ 日本群読教育の会では、群読の普及活動の一環として群読学習会を開いてい
ます。群読学習会の開催ご希望のときに講師を派遣します。講師派遣につきまして
は、講師の交通費の実費のみ現地でご負担ください。会員の方で地域サークルや校内
研修会での群読学習会をご希望の方は事務局までお知らせください。詳細をご連絡し
ます。一緒に楽しい群読学習会を開いてみませんか。
2007年も、全国各地の学校やサークルから講師派遣の依頼をお受けしています。
申し込み先は、重水健介 日本群読教育の会事務局 sakunayo@ngs2.cncm.ne.jp で
す。

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 ★事務局より★
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◆「文化祭や学習発表会で○○を群読でやってみたいのだが、脚本を誰か持っていま
せんか」というようなお尋ねもどんどんお寄せください。
◆役員・会員の方でアドレス変更がありましたら、その都度お知らせください。会報
にご本人の承諾を得て掲載します。
◆群読の実践や自作の群読脚本をお送りください。
会報でご紹介し、実践研究を交流したいと思います。

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 ★日本群読教育の会について★
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群読の研究をする会です!
  
  群読は「声の文化活動」です。たくさんの声を響き合わせながら、子どもたちの
  心と体を拓いていく新しい文化活動です。国語の授業、学級活動、学年・全校の
行事、儀式や集会などにも、いろいろ活用できるこれからの表現活動です。本会は、
その群読を研究、実践し、普及する活動をしています。


当会の活動内容
  
1.実技講座の開催
    群読を学ぶには、まずやってみることです。実技講座を開催します。開催の
条件は下記をご参照ください。研究団体、学校の研修、サークル、組合などで遠慮な
くお申し込みくだい。
 


◆講師の交通費<実費>の負担をお願いします。謝礼はいりません。
 ◆受講者は15名以上、講座時間は3時間半ほどです。短縮も可。
 ◆会員が開催する場合は、5名以上から可。
 ◆学校の教職員研修の場合、人数は関係ありません。父母の参加も歓迎します。
 ◆会場の確保・準備は現地でお願いします。
 ◆講師には会の役員があたります。
 ◆講座の内容はご相談に応じます。
       〜入門講座のプログラム例〜
       ?みんなで群読
       ?群読の技法の説明と群読の実践例の紹介
       ?教材ごとにグループに分かれて群読づくり
       ?発表会(発表の工夫、評価のしかたも学ぶ)
       ?群読の発展、質疑
       ?まとめ

  2.研究集会の開催
    年に数回、全国各地で群読の群読研究会を開いています。  
    年に1回、全国研究集会を開いています。来年度は神奈川県横浜市で開催し
ます。
   
会員になりませんか  

   入会費、年会費はとっていません。群読に興味のある方ならどなたでも歓迎し
ます。会員に  なるとEメールによる「会報」と「楽しい群読脚本ノート」が送ら
れます。
★本会へのお問い合わせ、会員申し込み、講座申し込みは
事務局長 重水健介sakunayo@ngs2.cncm.ne.jpまで。