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 日本群読教育の会 会報 68号           2006.1.25
    
        発行者アドレス          sakunayo@ngs2.cncm.ne.jp    
        日本群読教育の会HP  http://gundoku.web.infoseek.co.jp
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 ☆目次☆ 
    ◆ 随想「子どもはちょっと難しいのがお好き?」   日置 敏雅先生
    ◆ 会員のみなさんからのお便り     
    ◆ 東京大会の骨子                             
   ◆ 群読冬期研修会の報告         
    ◆ 群読実践の紹介
            「2学期まとめの群読」 松本 順子先生
           「雨ニモマケズ」        鈴木 京子先生
◆ 群読教室     「ミクスト・ボイシーズ」    家本 芳郎先生
    ◆ 群読の理論学習 「群読の分類法と発展の可能性」 毛利  豊先生
    ◆ 群読Q&A   「日本群読教育の会とは?」       事務局 
    ◆ 書籍紹介    『群読をつくる』        深澤 英雄先生
    ◆ 事務局より
      
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◆ 随想「子どもはちょっと難しいのがお好き?」     
              
          日本群読教育の会 事務局次長 日置 敏雅先生
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  今年は、3,4年生の算数を教えている。私の授業の進め方はほぼパターン
 化している。はじめは復習問題。これは一つ下の学年でも解けるような問題。
  早くできた子から順番にノートを持ってこさせる。
 「今日は先着15名!」なんて言うと子どもは急いで書いて持ってくる。
  ぼんやりしていた体が一気に活性化していく瞬間だ。

  その後、教科書をデジカメやプロジェクターを使って教科書の基礎問題を説
 明し、次に教科書にあるような非常に単純化した基本的な問題を解かせる。
 「じゃ、同じような問題」として次々と『非常によく似た問題』を出す。
  子どもは「簡単!」と言いながら解く。
 「じゃ、ちょっとだけ難しいのを出すよ」と少しずつ変化をつけていく。
  結構たくさんの子どもができる。「なんだ、簡単ジャン!」って声も聞こえる。
 
 ここで、少し揺さぶりをかける。
 「くやしいから、もう少しむずかしいのだしちゃおっか!」
 「え〜っ!でも、簡単じゃないの?」
 「これは、難しいからこのクラスでは、5人もできないんじゃないかな?」
  こういう挑発にも子どもは燃えてくる。今度もできると意気込んでいる。
 「できるよぉ!」という声も聞こえてくる。

 「じゃ、これ」そういうと指導要領からちょっとはみ出した問題を提示する。
 「え〜っ!あっ、できるかもしれん!できるよ!」子どもは挑発されて一気に
 頭が働き出す。助走がついているとできる子どもが多い。
 「悔しいなぁ。では、これは普通の○年生では解けない問題だよ。△年生(一
 つ上)レベルの問題だよ。これなら解けないだろ。降参するのは今のうちだよ」
 しばらく流れる沈黙の後…。

 「あっ!これ、できる!」一人が大声を出すと、にわかにクラスが騒がしくな
 る。「あっ、ホントだ!」という声も聞こえる。
  子どもは「ちょっと難しい」という言葉に弱い。やる気が出ると脳が活発に
なる。そして、楽しさを感じながら結構ハイレベルなことも身に着けていく。
  子どもは「ちょっと難しい」が好きである。これは人間の本能かもしれない。

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 ◆会員のみなさんからのお便り◆
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 ★今年もよろしく                 鹿児島 村末 勇介先生
  群読会報、ありがとうございました。東京での冬季学習会も充実したようで、
 良かったですね。名前ばかりで、なかなか仕事が出来ませんが、今年もどうぞ
  よろしくお願いいたします。
 
★よろしくお願いします             神奈川 松澤 美奈子先生
  はじめまして。都立高校で国語を教えています。今年で丸12年になりますが、
 2度の産休・育休で実質経験は10年に満たない若輩者です。今年度は育休から
 の復帰、異動、10年経験者研修と、一遍に重なり、大忙しでしたが、充実した
 1年でした。
  演劇部の顧問をしており、今年初めて部の練習に群読を取り入れてみました。
  新設校なので、1年生ばかりの19名の部員がコミュニケーションを深めるの
 に、とても有益でした。文化祭のオープニングセレモニーで「生きる」をやっ
 てみてなかなか好評でした。
  私にとっても今年度は「群読元年」という記念すべき年になりました。今後、
 国語表現の授業などでも群読をやってみたいと考えています。しかし指導力不
 足は深刻で、脚本片手に生徒とともに立ち往生してしまうこともしばしばです。
  是非皆さんの勉強の輪に加えていただきたく思います。
  よろしくお願いいたします。

 ★各教室から群読の声が             滋賀県 植田 美佐子先生
  いつも楽しい会報をありがとうございます。お便りをと思いつつなかなか出
 せなくてすみません。昨年の夏に校内研修で、家本先生に「出前講座」に来て
 いただきました。お年を感じさせない若々しさとパワーに圧倒されつつ、様々
 な群読を体験させていただきました。
  遠くは、京都から、そして近隣の小学校からも家本先生ファンが集まり、
 みんなで群読の学習ができました。その後の、先生の引退のお知らせには大変
 驚きました。その節は、お世話になり本当にありがとうございました。
  本校では、2学期以降、各学級から朝の群読の声が聞こえるようになり、
 わたし自身も全校集会で、「おおきなかぶ」の群読に取り組みました。
  これからも、本会で勉強させていただいて実践を積んでいきたいと思ってい
 ます。今年もよろしくお願いします。
 
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◆ 第5回 日本群読教育の会全国研究集会 東京大会計画案  ◆
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  下記のような計画で準備を進めています。日程や学習内容について、今後
 さらに検討し最終的な大会要項・参加申込書を2月中につくる予定でいます。

1 全国大会を行う趣旨・目的
  声の文化活動である群読の楽しさを伝え、普及することをねらいとして、
 日本群読教育の会は全国各地で群読実技講座を開催しいます。また年に一度、
 全国規模の学習会を開いています。本大会は第5回全国大会です。全国から
 群読教育・群読研究に関心をもつ方々にご参集いただき、群読の理論や技法
 を楽しく学びます。また、学習を通して参加者の親睦を深め、実践や資料の
 相互交流を深めます。
 
2 場所 東京都港区立港陽小学校
     東京都港区台場1丁目1−5
    *ゆりかもめ   「お台場海浜公園駅」下車  徒歩6分
     都バス(虹01)「お台場海浜公園駅」下車   徒歩6分
     臨海副都心線 「東京テレポート駅」 下車  徒歩12分

3 日時・日程  
   2006年7月30日(日) 9:00〜17:00 
    ● 受   付         9:00〜 9:30
    ● 開 会 式         9:30〜 9:45
  ● 学 習 T         9:50〜11:50
     a 入門講座 (群読とはじめて出会う方へ〜群読の意味と技法を学びます)
     b 中級講座 (群読脚本つくりにチャレンジしましょう)
    c 実践報告 (群読を活用した楽しい実践を紹介します)  
● 昼   食        11:50〜12:50
● 学 習 U(a〜dは1時間目と2時間目は同じ内容の入れ替え制)  
★1時間目         12:50〜14:30
      a詩 
      b物語 
      c古典 
      d二人読み 
      eことば遊び 
      
     ★2時間目         14:40〜16:20
      a詩 
      b物語 
      c古典 
      d二人読み 
      e中高生向けの群読 
     
    ● 閉 会 式        16:30〜16:45
● 懇 親 会 18:00〜20:00

4 参加費  3000円 資料費とも 懇親会費は別
5 今後の計画
 2005年10月 会場予約 
  2006年 2月  大会ビラ完成、役員に郵送、役員は各自増刷して情宣する
        5月  大会役割分担決定
         第1回参加集約
       6月  紀要原稿締め切り、資料製本
      第2回参加集約
      講師団研修会(東京)
        7月  最終参加集約
      会場準備
      実行委員会
       8月  研究集会総括

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 ◆ 群読冬期研修会の報告 ◆          日本群読教育の会事務局
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  12月23日(金)に東京飯田橋のセミナールーム「スキャット」にて日本群読
 教育の会冬期研修会を開きました。16名のみなさんのご参加で、楽しく充実し
 た研修会を実施することができました。
  
  内容は、@会務 A学習T(入門講座)B学習U(中級講座)でした。
  @では、本会の活動方針、役員構成、出版計画、第5回全国大会(東京大会)
 計画について協議しました。
 「群読の楽しさを広める」「群読の研究を深める」という基本的な考えを確認
 した後、本会の活動をさらに大きく発展させるために活発に意見交換をしました。
 
  ABでは、重水と澤野郁文先生が講師役になり、「群読とは何かという理論
 学習」「いろいろな群読の実習」「群読の技法について」「脚本のつくりかた」
 についてワークショップ形式で楽しく学習しました。会の後「基本にかえって、
 群読の意味や技法を学習できて有意義だった」という声をいただきました。

  今後も内容を工夫して研修会を計画していきたいと思います。
  年末のご多忙な時期に、ご参加いただいたみなさんにお礼申し上げます。
  ありがとうございました。

 ★参加者の感想                 神奈川  長塚 松美先生
  23日の冬期研修会は、ありがとうございました。また、その後のノミニケ
 ーションも楽しいひと時でした。合わせてお礼申し上げます。
  会運営の方針や来年度の全国大会の件では、白熱した論議でしたね。
  家本先生ご引退後の会をいかに継続発展させるべきか、皆が一丸となって盛
 り上げようという姿勢の現れだったように思いました。特に、重水先生を初め
 多くの皆さんが、遠路にも関わらず、手弁当で結集なさったこと、本当に頭が
 下がります。
  今後も心一つにして、よりよい方向に発展させて参りましょう。およばずな
 がら、わずかな力ではありますが、自分の力を磨くためにも、私も一員として
 力を尽くすつもりです。共にがんばりましょう。
  重水先生の入門講座は、今夏の全国大会に続いて拝聴させていただきました。
  自分ではわかっているつもりでも、人に伝えるとなるとたいへんなご努力を
 なさっていることに、改めて感心させられました。そして、一つひとつ確認の
 メモをとりながら拝聴でき、見落としていた部分もあったことに気づかされま
 した。ありがとうございました。

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 ◆ 群読実践の紹介 「2学期まとめの群読」◆    高知 松本 順子先生
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 ●解説
  下記の文を終業式の前日に「2学期は、どんなことあった?」と聞き、「壁
 にはってあるきらきらの星(今まで学級でやれた取り組みを書いているもの)」
 を見ながら教師がリードして、子どもたちと一緒に文を つくり上げ黒板に書
 いておきました。(個人面談の時に保護者に見えてよいですよ)終業式の後、
 ソロをやる子の立候補を募りました。10人の子どもが「やりたい」と言ったの
 だけれど、ソロは、少ない人数でやりたかったのでジャンケンで3人に決めま
 した。(声の小さい子が2人だったので、ソロの配役は先生が決めました)
  通知表を渡す前に、みんなで一回、下記の文の群読をし、通知表を渡した後
「2学期のまとめをしよう!」と呼びかけ、群読をし"さよなら"で別れました。


 ●脚本 「2の2の2学期」         作・2の2全員と先生

(ソロ1)9月1日、元気に集まった始業式
(全員) 始業式
(ソロ2)みんなで歌をうたって、
(ソロ3)みんなでゲームをやって
(ソロ1)みんなで群読したよ、
(ソロ2)みんながそろうといいな、やっぱり、学校は楽しいや
(全員)学校は楽しいや
(ソロ3)運動会では、荒馬に挑戦だ!
(全員)ラッセラー、ラッセラー、ラッセ、ラッセ、ラッセラー
(ソロ1)ミニ荒馬大会では、メダルをもらえたよ
(全員)メダルをもらえたよ、やったあ(ピースのポーズ)
(ソロ2)生活科で木曜市にも出かけたねえ
(そろ3)お店の人にインタビュー
(全員)インタビュー
(ソロ1)お店の人にほめられた
(ソロ2)ほめられるっていい気分
(全員)いい気分
(ソロ3)300円の買い物を上手にやろうと考えた
(ソロ1)お店の人に安くしてもらえて、ラッキー
(全員)ラッキー
(ソロ2)かけざんの勉強も始まった
(ソロ3)もう、九九は大丈夫
(全員)*かけざんの九九の歌をみんなで歌う
(ソロ1)ほうら、できるよねえ
(ソロ2)ほうら、やれるよねえ
(全員)イエイ
(ソロ3)音楽会では
(全員)トレロカモミロ、テキーラ
(ソロ1)大きな拍手にアンコール、
(ソロ2)じゅん子先生、たみ先生、ひろし先生、るみ先生、まこと先生、
(ソロ3)なみだをながして喜んでいた
(男子)ぼくらは
(女子)わたしたちは
(ソロ1)心があつくなったよ
(全員)あつくなったよ
(ソロ2)音がそろうとステキだね
(ソロ3)そうそう、けんかもあったね
(ソロ1)けんかは、みんなで話してかいけつできた
(全員)かいけつできた
(ソロ2)先生、いなくてだいじょうぶ
(全員)だいじょうぶ
(ソロ3)2学期は思い出いっぱい、つくれたね
(ソロ1)2006年、1月10日
(ソロ2)始業式
(全員)始業式
(ソロ3)27人、元気にあつまろう
(全員)あつまろう、おう!(握り拳を上に突き上げる)

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 ★ 群読実践の紹介「雨ニモマケズ」 ◆      埼玉県 鈴木京子先生
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●昨年11月にパイオニア研究指定の発表で、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の群
 読に取り組みました。「雨ニモマケズ」は群読に馴染まないのか、実践事例が
 なく、手探りの研修でした。研究授業では、重水先生に送っていただいた家本
 先生の脚本を参考に、グループに分かれての群読脚本作りの練り上げに取り組
 みました。

 『ここは、賢治はきっと、悔いはないという思いで書いたのだと思う』『いや、
 違う、もっと生きたい、悔しいという思いで書いたのだと思うから、この言葉
 はそんな表現じゃないと思う』など、子どもたちの賢治観で練り上げられてい
 く過程は、授業は授業者だけのものではなく、まさに、子どもたちと教師とで
 作り上げていくのだということを、教えてくれました。

  子どもたちの熱い思いは、授業後半のグループごとの中間発表で群読表現に
 込められ、研究授業は終わりました。今更ながら、群読表現のすばらしさを実
 感しました。重水先生、ご支援ありがとうございました。

  今年7月に行われる東京大会,楽しみです。入場券とか、参観申しこみなど
 について、お知らせいただけると幸いです。
                
 *7月30日の東京大会の内容や参加申し込み方法につきましては、詳細が
  きまり次第お知らせします。(事務局)

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 ◆ 群読教室 「ミクスト・ボイシーズ」◆         家本 芳郎先生
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 「ミクスト・ボイシーズ」という用語がある。戦後の群読活動の創始者、
  木下順二氏とともにその活動を支えた酒井誠氏の造語である。木下氏の
  作品を群読の脚本にしたのは、ほとんどがこの酒井氏である。
 
   現在、わたしたちが使っているソロについては、「男声 T…テノール
  B…バス 女声 S…ソプラノ A…アルト」と細かくわけ、記号化した
  のも酒井氏である。
   では、「混声コーラス」は、どう命名したかというと「M…ミクスト・
  ボイシーズ」である。

   その脚本の出だしを紹介してみよう。(創作民話『でれすけほうほう』
  木下順二原文/酒井誠台本)『でれすけほうほう』は、なかなか面白い作品
  で、往きに10人いた仲間が帰りには11人に増えているという話である。
 
   原文


   脚本
      男声 T…テノール B…バス
      女声 S…ソプラノ A…アルト
      混声 M…ミクスト・ボイシーズ


                               
                             <家本 芳郎>
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 ◆ 群読理論学習 「群読の分類法と発展の可能性」 ◆

                  日本群読教育の会 副会長 毛利 豊先生
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  現在、当会の夏の大会では分科会や講座を次のように分けています。
  a「詩の群読」 b「物語の群読」 c「わらべうた」 d「ふたり読み」
  e「古典」   ア「入門講座」 イ「中級講座」 
 
  しかしよく考えると、これらは各々、異なる視点の分類であることに気づき
 ます。
  a「詩の群読」 b「物語の群読」c「わらべうた」・・T 分野による分類
 c「ふたり読み」・・・・・・・・・・・・・・・・・ U 人数による分類
 d「古典」・・・・・・・・・・・・・・・・ V 文語・口語別による分類
 ア「入門講座」 イ「中級講座」・・・・ W 参加者の指導レベル別の分類
 
  したがって、T分類でゆけば、この他に、
 「文法の群読」「説明文の群読」「俳句の群読」「短歌の群読」「小話や落語 
 の群読」「都々逸の群読」「ことわざ・名言の群読」などがあり得るはずです。
  国語の授業等で、これらの単元をした後の発展学習として試みましょう。
 
  U分類でゆけば、この他に
 「3人での群読」「4人の学習班での群読」「6人の生活班での群読」「学級 
 内紅白試合20人での群読」「40人での学級群読」「壮大な学年・全校群読」
 など、という種類があります。
 
  W分類でゆけば、その発展として
 「上級講座」「超・上級講座」があり得ます。ちなみに「上級講座」は自分で
 素材文を準備しての脚本づくりを含む、「超 ・上級講座」はゼロから詩作や
 創作群読脚本をつくる、となるでしょう。後者は、原文の著作権の点からも、
 今後、急いでめざすべき段階だと思われます。
 
 さらに、この他にも多様な分類による種類が考えられます。
 
  X被指導者の年齢別の分類では、
  「幼児・低学年の群読」「小学生の群読」「思春期の群読」など
    
  Y目的別・場面別の分類では、
  「まとめ・総括をするための群読」「出だしで勢いをつける群読」「困難を
  励まし合う群読」「集団の要求を通すための群読」「儀式を荘厳にするため
  の群読」「人を楽しませ笑わせる目的の群読」など
 
  Z行うのにふさわしい時期別の分類では、
  「1学期の群読」「5月の群読」「学期じまいの群読」「休み中の群読」 
  
  [ 指導技法や指導方法別の分類では、
  「〜法を使った群読」「部分創作をさせる群読」「唱導形式の群読」など
 
  \ 定型か自由かによる分類では、
   「韻文の群読」「散文の群読」
 
   このように分類基準を整理し、今度はそれらを自覚的に組み合わせること
 によって、今までなかった新しいタイプの群読も意図的に創出することが容易
 になります。例えば上の分類基準を次のように掛け合わせるのです。
 
 例1  俳句である × 文語である × 秋である × 学習班である 
    = 歳時記から「秋」の古典俳諧を選び、俳句群読の連作をつくって 
      発表し合う、選択国語の授業。
    
 例2  文法である × 学期末(考査前)である × 学級である × 乱
     れ読みを使う = 品詞分類の見分け方のコツを暗記する学習群読
 
 例3  説明文である × 全校群読である × 文化祭である × 初心者
     である × 唱導形式を柱とする = 『日本国憲法・前文』や『世
     界人権宣言』を全校朗誦するオープニング。
     
  分類によって「種類」はたくさんあり、さらに無限に増やすことができます。
  だれでも新しいタイプの群読を創りながら、指導の順序性を探ることができ
 ます。それらをみんなで交流すると、指導の原則がより高次元で上書きされ、
 逆に多様性もさらに広がることでしょう。
  未来圏から見れば、21世紀初頭は基礎固め作業から百花繚乱の群読文化に
 転じた時期だったね、と回顧されるかもしれません。
 
  さあ! みんなで、レッツ・トライ!! 
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 ◆群読Q&A ◆                日本群読教育の会事務局
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 ★Q
  お尋ねします。日本群読教育の会はどのようなきっかけで始まりましたか。
  また、現在何名ぐらいのメンバーがいらっしゃいますか。教えてください。
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 ★A
  メールありがとうございました。
  次の文は、本会がおととし出版した『続・いつでもどこでも群読』
 (家本芳郎先生+重水+日本群読教育の会著・高文研)のまえがきに、
 重水が書いた文です。日本群読教育の会の活動目的や設立の経緯を書き
 ました。ご参考までに紹介します。

 ◆『続・いつでもどこでも群読』まえがきより
  私は中学校に勤務している。先日、子どもたちが、学年教師の結婚を
 祝う群読を、学年集会で行った。また、昨年の文化祭では、全学年から
 群読の出し物があった。今年の選択国語の授業では「声を出す学習」と
 して通年で群読を取り上げるという。
  学校に、群読が根づいてきたことを実感する。
  私がはじめて群読を知ったのは、二四年前である。所属する研究会で、
 家本芳郎先生の実技講座に参加したときだった。群読の意味や技法を学
 び、グループごとに「雨」や「平家物語」を発表したことを思い出す。
  その後、学級や学年の活動、行事などに群読を取り上げてきた。
  しかし、私の群読指導は自己流の域を出ず、指導に行きづまることも
 多かったので、その後も、各地で開かれた家本先生の群読講座に繰り返
 し参加して、学習を続けてきた。
  日本群読教育の会は、そのような群読教育の実践や研究に関心をもつ
 教師が家本先生のもとに集まり、十数年前に発足した。その後会員を増
 やしながら、会則を整え、二〇〇二年七月、東京にて第一回全国大会を
 開催した。二〇〇三年は大分県・湯布院で第二回全国大会を開き、大会
 記念として実践記録集『いつでもどこでも群読』を刊行した。本書は、
 その続編となる位置づけである。
  本書の編集にあたっては、「子どもたちの表現力を高め、各地に楽し
 い群読の声が響き、同時に私たちの指導力も向上していく……」そんな
 願いを込めて、日本群読教育の会の総力をあげて取り組んだ。
  本書を手にされて、群読にたいしていっそうの親しみを感じていただ
 けたら幸いである。
              日本群読教育の会 事務局長・重水 健介


  現在、役員約30名(常任委員・事務局員)会員約150名です。
  群読の研究と普及に取り組んでいます。群読のさまざまな領域での研究
(詩、物語、古典、二人読み、わらべうた) 群読学習会の開催(全国でご
 希望があれば開きます)、全国大会(今年は第5回東京大会です)、群読
 実践や資料の収集と紹介、群読にかんする書物やCD・DVDの出版等の
 活動をしています。当会のモットーは「楽しく学ぼう」「群読を広めよう
 深めよう」です。群読初心者の方や大会初参加の方をいつも大切にする会
 でいたいと思っています。今後ともよろしくお願いします。  

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 ◆ 書籍・CD紹介 ◆
  
『群読をつくる〜脚本作りから発声・表現・演出まで〜』(家本芳郎著・高文研)             

                 日本群読教育の会常任委員 深沢英雄先生
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  群読教育を進めるものにとって必読書がこの本である。家本先生はまえがき
 で、「群読についての基本は『合唱・群読・集団遊び』に書いたので、本書で
 は、主として群読の実践に必要な技術的な側面について深めたつもりである」
 と書いておられる。 

  群読の細かな技法について懇切丁寧に書かれている。群読を実践するものに
 とってこれほどありがたい書はない。かゆい所に手が届く本である。 
  家本先生は群読を「声の文化」ととらえておられる。古今東西の文献に目を
 通され、精通されておられる。この本にはその研究の成果が凝集されている。

  この書は技術書にとどまらず、「声の民族的な文化遺産を自覚的に継承、発
 展」されるための理論書・思想書とも言える。群読に関心のあるすべての教職
 員、父母、市民に読んでもらいたい。

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 ◆事務局より◆
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下記の件、事務局まで、ぜひお知らせください
 
 ◆「会員からのお便り」のコーナーを、会員みなさんの声でいっぱいにしたい
  と思います。「会報届いたよ」の声とともに、みなさんの近況や会報の感想
  などお寄せください。なお、会報掲載時に匿名希望の方はその旨(ペンネー
  ムでも結構です)もお知らせください。
 
 ◆群読・朗読にかんするお尋ねや指導上の悩みや質問点がありましたら、
群読Q&Aのコーナーで取り上げます。お知らせください。
  
 ◆群読の実践や自作の群読脚本をお送りください。
  実践は、概要の紹介でもけっこうです。短くてもかまいません。子どもたち
  の活動のようすや参観者の方々の反応などお知らせください。

  ◆メールアドレス変更の際は、新アドレスをお知らせください。