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 日本群読教育の会 会報 65号          2005.10.26
    
        日本群読教育の会HP  http://gundoku.web.infoseek.co.jp
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 ☆目次☆ 
      
      ★随想「金木犀の頃」              重水 健介
      ★会員のみなさんからのお便り     
      ★来年の全国大会は「東京お台場」で
      ★高知学習会の報告              松本 順子さん
      ★書籍紹介                  加藤 征子さん
      ★群読Q&A                 姫野 賢一さん
      ★家本先生の群読DVDのご案内
            ★無料群読講座は終了しました
      ★事務局より
      
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 ◆随想 「金木犀の頃」 ◆             重水 健介
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  外出するとき、金木犀の香りがするようになった。この季節になると、教育
 実習をいつも思い出す。5週間、同級生5人で一部屋を借り、実習に励んだ。
  30年近く前のことである。
  その頃、教師のしごとは、教科の専門知識と子どもへの情熱があればやって
 いけると思っていた。だが、新任教師として、教壇に立ち、学級担任として子
 どもと向かい合ううちに、その考えはすぐに吹っ飛んだ。
   
  私語や忘れ物、予定通り進まない授業、遅刻、掃除さぼり、けんか、いじめ、
 行事に対して盛り上がらない子どもたち、とうまくいかないことばかりだった。
  何より、一部の子どもとの良好な関係をつくれないことがいちばんつらかっ
 た。わたしが話すと、あからさまにいやな顔をする、耳をふさぐ、近づくとわ
 たしから机を離そうとする、廊下すれ違うときも避けるよう距離をとるという
 調子だった。わたしも、廊下の向こうにその子の姿をみたら、階下を通ってい
 たり、その子が欠席だと一日気楽に過ごしたりしたものだった。

  当時は何事にも注意を繰り返し、ときに威圧的ないい方をし、あげくは「ま
 ったく困った子どもたちだ」と責任転嫁していた。その都度、先輩教師に解決
 法を聞いき、それでも足りずに、先輩の後に続いて、一杯飲みながら、愚痴を
 聞いてもらい相談にのってもらっていた。そんなわたしを「先輩の先生に泣き
 ついている」と子どもは冷やかした。

  そういう時代から25年以上過ぎた。先輩教師や同僚とよく飲み、よく語っ
 てきた。サークルで学び続けた。書物からいくつものヒントをつかんだ。
  なにより、子どもたちの声をよく聞くようにしてきた。保護者からの助言も
 ありがたいものだった。

  わたしが考えたことは
  ・子どもの声を聞く
  ・子ども同士が互いに働きかける活動を増やす
  ・実践にねらいをもつ。「ここでは男女の仲を深めよう」「リーダーの力を
   育てよう」というようにである。
  ・わたし自身が楽しいと感じる実践をする
 というようなことだった。いまもこの考えはかわらない。

  教師のしごとは、すればするだけその教師自身が高まっていけるよいしごと
 だと思う。なぜなら、教育は未来をつくる子どもを育てるしごとだからである。
  教師のしごとを楽しみたいと思う。金木犀の頃は、毎年こんなことを考える。

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 ◆会員のみなさんからのお便り◆
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 ●文化祭で「平家物語」にとりくみました       神奈川 山口 聡さん
  
  お忙しいなか、群読会報64号、ありがとうございました。
  今年は文化祭で縦割り集団のステージ発表で「平家物語」にとりくみました。
  この一場面では壇ノ浦の戦いを群読で発表しました。古典の群読については
 詳しく分からなかったのですが、中学3年生の子どもたちが、言葉のリズムを
 楽しんでいる様子が分かって、やってよかったな、と思いました。

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  ●愛知万博の群読を見てきました           富山  毛利 豊さん

 「平家物語を原文で読む会」の例会で、愛知万博では開会式のオープニングだ
 けではなく今も毎日群読をしているという情報を聞きつけ、運動会の代休日に
 車をとばして見てきました。
  群読というよりは、群読を使った演劇でした。
  コーラスを効果的に使った舞台配置で面白かったです。身のこなしや発声の
 明瞭さも際立ち、さすがに訓練されたセミプロのワザは素晴らしいものがあり
 ました。最後は、機械仕掛けの大がかりな効果に、口あんぐりと見上げました。
  ただし、声の重ね方や技法の豊かさ、ストーリーの確かさ、テーマの有意味
 性などは、本会の群読の方が優ると感じました。皆さんからますます吸収して
 いこうと思います。よろしくお願いします。

 #ネットで「群読」と検索すると、今では、この群読劇「一粒の種」と本会関
  連の諸情報の2つがたくさん出てきます。万博効果は大きいなと思いました。

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 ●校内で読みの力と表現力の向上を目指しています  青森 工藤 良信さん

  今年度から、本校の校内研では国語を研究教科として取り上げ、特に今年は、
 音読も取り入れながら、子どもたちに読みの力と表現力の向上を目指して研究
 を進め、全校音読集会なども実施しております。
  もちろん、群読も取り入れてきました。
  会報など勉強になることが多く、改めて声を出すことの楽しさや有意義さに
 学ぶことの多い毎日です。

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 ◆来年の全国大会は「東京お台場」で◆                 
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  来年2006年7月30日(日)に、第5回日本群読教育の会全国大会を開
 きます。会場は、東京都港区立港陽小学校です。東京のお台場にあります。
 「ゆりかもめ」に乗り、「お台場海浜公園」駅下車で。徒歩6分という、たい
 へん便利な場所にあります。校舎から数メートルのところに台場の海岸があり、
 その向こうにレインボーブリッジがかかっています。
  歩いていける範囲に、フジテレビや東京ジョイポリス、パレットタウンなど
 があります。東京の観光スポットの一つです。
  
  10月24日(月)には、加藤征子実行委員長と重水が港陽小学校に出向き 
 角田校長先生にご挨拶と正式なお願いをしてきました。全面的なご協力のお言
 葉をいただき感激しました。
    
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 ◆高知群読大会の報告◆                  松本 順子さん
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  10月8日に高知の群読集会を持ちました。今年も昨年同様に重水健介先生
 澤野郁文先生の二人(一人分の費用は高知の会費と本の売り上げでもちました)
 と、とても豪華な講師陣を迎え集会を行うことができました。
  参加者は、昨年より6名減っての34名(講師の3名を含みます)ちょっと、
 人数が少なかったのですが新しい人たちが20名来てくれました。
  
  午前中は群読の基礎である入門講座から始まりました。入門講座では、重水
 先生が群読がどんなものであるかをいろいろな作品を紹介しながら、丁寧に教
 えて下さり、群読が学級でおおいに使えることが分かりました。
  最後に“まつりだ わっしょい”の群読を全員で読みあげた時には、誰もが
 群読をやってみたいと思っているようでした。

  午後からは、詩のワックショップと物語のワークショップ。詩では、澤野先
 生の楽しい語り口調に参加者は引き込まれていきました。そして、参加者でた
 くさんの詩の脚本から やってみたい2つの作品を選び、2チームに分かれて
 練習し、発表会を持ちました。発表のあとは、お互いに評価をしあいました。
  物語の講座は、松本が担当しました。最後の講座だったので、参加者も群読
 のやりかたに慣れ、短時間で深みのある発表ができました。

  PS
  高知では、教育書(群読や学級づくりに関わる本)を扱っている書店が少な
 いせいか(いや、売る人たちの売り方が上手いのかも知れませんが)たくさん
 の本が売れます。今回は85冊の本が売れました。講師の澤野先生の本『5分
 で授業に集中させる遊び41』や今回の日本群読教育の会で出版した家本芳郎
 先生の『CD 群読ふたり読み』の本は、あっと言う間になくなりました。
  おかげで、高知の支部の財源はたすかっています。他のところもおおいに本
 を売りましょう。 


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 ◆ 書籍・CD紹介 ◆                 加藤 征子さん
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 ★「森の暮らしの記憶」    1998年初版      (1500円+税)
    絵ーマーロン・クエリナド  文ーマーロン・クエリナド 清水靖子

  熱帯雨林の最後の楽園パプアニューギニアのゴゴール渓谷の森の暮らしを描
 くこの絵本は、この地に生まれ育った作者のマーロン・クエリナドが実際に見
 たり聞いたりした実話です。
  マーロンさんが13才の時、日本の製紙会社が深い原生林の森を皆伐し始め
 たのです。そして、8万ヘクタールほどの天然材を現地でチップとして、日本
 の釧路に運び段ボールなどの製紙原料としたのです。日本は世界一の熱帯材輸
 入ー消費ー廃棄国です。
  この結果、森に住む人々のみならず動物や川に棲む生き物、川が運ぶ森の滋
 養で育む海の生物は滅ぼされていったのです。それだけではなく、熱帯雨林と
 いわれた所は、長期的 な干ばつが起こり、降水量や飲み水に苦しむようにな
 ってしまいました。
  マーロンさんの絵は、墨一色の筆使いで昔の豊かな森と暮らしの美しさ、風
 のささやきや人々の語らい、子ども達の歓声が聞こえてくるような魅力に溢れ
 ており、森の息吹が私たちの心を包んで癒してくれているようです。

 ★「海にかえった4頭のクジラ」  1995年初版   (1262円+税)
    文ージェルミ・エンジェル  絵ーむかいながまさ

  ニュージーランドのダニーデンという港町のウォリントン・ベイで本当にあ
 った話です。夏の初めのある日、その浜辺に11頭のくじらが打ち上げられ、
 うち7頭が生きていました。太陽が当たってつるつるの皮膚が乾き始め、放っ
 ておけば体温も上がってやがて死んでしまうということで、町のラジオ局が助
 けを放送したところ200名近い人たちが集まってきました。
  バケツリレーでクジラの身体に水をかけ、工事を中止してやってきたパワー
 ショベルでみぞを掘り、海に戻ったクジラを深いところまで運ぶダイバーと、
 子どもから大人までが協力して4頭を海に帰えしたのです。
  ニュージーランドは、今の国民の祖先が数百年前に入植し、今日まで豊かな
 自然は失われ、野生生物の種も絶滅しています。人間以外の生物を絶滅させて
 しまうと、その罰は結局われわれ人類が追うことになるのです。
  このことを痛感しているニュージーランドの人々は、「努力すれば、自然は
 守れる」の気持ちをもって、日常のこととしてボランティアに参加しているの
 です。ニュージーランドは、町々に自然保護局があり、市民参加型の自然保護
 意識を徹底して持っています。
  本当に大切なものは何かを教えてくれる本です。

 *このコーナーのこの3ヶ月の担当は加藤征子先生でした。ありがとうござい
 ました。加藤先生には本会の来年の全国大会(東京大会)の実行委員長をお引
 き受けいただいています。大会準備は着々と進んでいます。
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 ◆ 群読Q&A ◆   回答 日本群読教育の会 事務局次長 姫野 賢一さん
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Q  学級の朝の会で群読をしようと思います。はじめは、どんな詩がよいでし
  ょうか。またそのとき脚本は子どもたちに印刷してもたせるものでしょうか。

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A  朝の会では、元気よく1日のスタ−トをしたい方もいらっしゃれば、しん
  みりと群読をさせたい方もいらっしゃると思われます。また、10分間の朝
  の会でするとなれば、はじめは短めの作品を薦めたいと思います。
   
   特に、いきなり群読をしていこうとするよりは、朗読と群読の中間教材に
  あたる「ふたり読み」(家本芳郎編・脚色 高文研)から始めた方が、朝の
  会にはぴったりだと思います。
 
   さて、元気よくスタ−トしたい作品としては、「早口ことばのうた」(藤
  田圭雄作)や「ドレミファかえうた」(阪田寛夫作)が、軽快なテンポと言
  葉の楽しさが溢れる作品でお薦めです。一度だけではうまく読みづらい言葉
  もあり、しどろもどろになるところがおもしろく、学級に笑いが出てきます。
   また、しんみり派の作品としては、以前、8月に紹介した「ふ−むの歌」
 (新川和江作)や「みえない星」(金子みすヾ作)がお薦めです。しっとりと
  静かに読むことで心が落ち着ける作品です。
 
   脚本については、子どもたちに印刷してもたせてもよいと考えています。
   ただし、初めての群読、ふたり読みであれば、子どもたち一人ひとりに印
  刷したものを持たせるよりは、模造紙に詩を書いて、みんなで一つの作品
 (教材)を見ながら読むことをお薦めします。印刷したものを持たせると、子
  どもたちは、つい印刷物に目をとられて、印刷物に向かって声を出す姿勢に
  なりがちだからです。

   また、今では、模造紙に詩を書かなくても、プロジェクタ−を活用して、
  映し出すこともできます。パソコンで詩の文章を色分けしたり、パワ−ポイ
  ントを使って子どもたちに一文一文を追いながら指導することもできるよう
  になりました。
  
   さいごに、群読のある朝の会を私なりに述べてきましたが、まだま実践途
  中です。会報や全国大会での実践に学びながら群読活動をしていきたいと思
  います。

 *この3ヶ月間、回答を事務局次長の姫野賢一先生にお願いしてきました。
  みなさんからご好評をいただきました。ありがとうございました。

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 ◆家本先生の群読DVDのご案内◆              
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   日本群読教育の会会長 家本芳郎先生の群読講座「群読を楽しむ」のDVD
 をご紹介します。内容は下記のようになっています。

 ★ 群読について 
 ★「地引き網」の群読 
 ★ 言葉入門指導
 ★「おむすびころりん」の群読 
 ★ 江戸時代の群読 
 ★「らいおん」の群読
 ★「祭りだ わっしょい」の群読
  
   栃木県でおこなわれた栃木教育祭での800人の大群読のDVDです。
    両毛群読教育の会によって製作されました。群読の意義、技法の説明、群読
  をつくっていく指導場面が収録されています。

  わたしは、このDVDを繰り返し視聴しながら、思わず一緒に声を出し、群
 読の世界へ引き込まれてしまいました。
 「群読とはどんな活動かな」「学校や地域で群読をやってみたいな」「群読を
 やってみたいのだが、どう指導したらいいのだろう」と、群読に関心をお持ち
 の方におすすめしたい貴重なDVDです。ぜひ、お手許に置き、ご鑑賞ご活用
 いただきたいと思います。

  このDVDは非売品ですが、会員の方にのみ1500円(送料別)で領布し
 ます。在庫があと10部あります。ご希望の方は、DVDの郵送先と「家本先
 生のDVDを希望します」とお書きいの上、重水 までご返信ください。折り
 返し、振り込み先をご連絡します。

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 ◆無料群読講座終了のお知らせ◆
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 ★無料群読講座は終了しました

  日本群読教育の会では、群読の普及活動の一環として、無料講座を提供して
 きました。無料講座の経費は、すべて本会が負担してきました。この経費は、
 本会が出版した『いつでもどこでも群読』『続・いつでもどこでも群読』『ふ
 たり読み』の印税と家本芳郎先生からのご寄付によるものでした。
  本年度は予算を使い切りましたので、ここで無料講座を終了させていただき
 ます。

 ★これからの群読学習会のご案内
  今後の群読学習会につきましては、必要経費を現地でご負担していただくこ
 とになります。講師の交通費・宿泊費の実費+日当(1日7000円)を現地
 でご負担ください。
  会員の方で地域サークルや校内研修会での群読学習会をご希望の方は事務局
 までお知らせください。詳細をご連絡します。
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 ◆事務局より◆
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 ★下記の件、事務局までお知らせください★
  
 ◆群読・朗読にかんするお尋ねや指導上も悩みがありましたら、群読Q&Aの
  コーナーで取り上げます。お知らせください。
  
 ◆群読の実践や自作の群読脚本をお送りください。会報でご紹介し、実践研究
  を交流したいと思います。
 
 ◆「会員からのお便り」のコーナーを、会員みなさんの声でいっぱいにしたいと
  思います。会報は会員のみなさんに一斉送信していますが、無事届いているか
  心配になることがあります。「会報届いたよ」の声とともに、みなさんの近況
  や会報の感想などお寄せください。なお、会報掲載時に匿名希望の方はその旨
 (ペンネームでも結構です)もお知らせください。
 
 ◆メールアドレス変更の際は、新アドレスをお知らせください。