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 日本群読教育の会 会報 61号          2005.6.25
    
       日本群読教育の会HP  http://gundoku.web.infoseek.co.jp
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 ☆目次☆
 
      ★随想「教師は話しすぎ!」        古関 勝則さん
      ★会員からのお便り・近況報告     
      ★富山大会情報             大会実行委員会
      ★群読・朗読資料紹介          坂尾 知宏さん
      ★群読Q&A 松本 順子さん
      ★群馬で「親子群読講習会」開催
      ★群読無料講座のお知らせ
     ★事務局より                      
 
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◆ 随想 「教師は話しすぎ!」 ◆             古関勝則さん
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 5月29日、運動会が行われました。運動会のための練習は、とても少なく
なっています。全校生で行う開会式や閉会式、綱引きなどのための3時間の練
習ですみました。時間がないので、子どもたちも真剣にやります。
 それにしても強く感じたことは、先生の話の長いこと、長いこと。ひとつの
ことを指示するだけなのに、姿勢(フラフラしないこと)、態度(上級生がし
っかりしないと真剣にやらないと下級生もだらける)、精神(真剣にやること
で、見に来てくれた人が感動する)、いろいろなことが出てきます。聞いてい
る方もつらいだろうなあと思ってしまいます。

 高学年の子どもたちは、「もう分かっているよ」と言った表情でうんざりし
ています。教員は、話が下手なわけではないので、話している内容は、よく分
かるのです。我慢して聞いていると、なるほどなあと思います。しかし、長い
のです。子どもが話を聞けなくなったと言われますが、教師の責任も大きいの
ではないかと思います。
 ひとつの指示を出し、うまくいったら評価する、課題があればどうすれば良
くなるかを話す、それだけでいいのではないかと思います。
 
 しかし、教師の話術については、家本先生以外きちんと研究された方はいな
いように思います。ひじょうに大切な指導方法でありながら、おろそかにされ
てきたのではないかと思うのです。
 そして、自分がていねいに詳しく話すことで「指導をしている」「指導が入
った」と思い違いをしている教員が多くいるのではないでしょうか。子どもは
教師の話を聞くことに嫌気がさしているのかもしれません。少なくとも高学年
の子どもたちは、教師の話を聞くことに魅力を感じていないように思います。
 
 私たちは、話のうまい家本先生や坂本光男先生などに学びながら、子どもを
引きつけるような話の仕方を身につけないと、これからの指導はますます困難
を極めるように思います。
 今日の会議でも、もそもそと何を言いたいのか分からないような話し方をす
る先生と一緒でした。決めるまでに時間がかかりました。決めたかと思うと、
元に戻ってしまいます。実に効率が悪く、後味の悪い会議でした。私たちの話
術をもう一度見直さなければならないのではないでしょうか。

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 ◆会員からのお便り・近況報告◆                 
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★富山の先生に感謝★             ひまわり社 松本衆子さん
 いつも充実した会報ありがとうございます。
 富山大会で、中・高は配布が進んでいるとは素晴らしいですね。毛利先生を
はじめとする富山の先生方のお力ですね。


★子どもたちからすすんで・・・★        ホークアイ@愛知県さん
 知的障害をもつとされる4年生・5年生のお子さん達といっしょに勉強して
います。今は、「きりなしうた」谷川俊太郎と「わたしと小鳥とすずと」金子
みすヾの群読に取り組んでいます。面白いのは、お子さん達が特に指示しない
のに、いろいろな工夫をし始めたことでした。

「きりなしうた」では、おかあさん役2名、子ども役2名に分かれて掛け合い
をするわけですが、おかあさん役の子たちは妙に威圧的ですし、子ども役の子
たちは、妙に言い訳がましいですし、「まだしゅくだいが すんでない」の後
では、おかあさん役の子から「あらまー」という間投詞が自然に付け加えられ
るようになりました。

「あらまー」の面白い言い方を考えた、とわざわざ報告に来てくれることもあ
ります。「わたしと小鳥とすずと」では、詩の言葉に合わせて、小鳥がはばた
く動作をしたり、鈴の身体をゆする動作をしたりしながら読んでいます。長い
間繰り返して練習していると、子ども達も、「やって楽しい」「聞いて楽しい」
方角を目指して進んでいくのかなあと思いました。以上が、公的な近況です。
 
 次が私的な近況です。「朝型人間」がいいらしいということで目指していま
す。夕食・入浴を早めにすませて、早く床につき、朝4時から5時に起きて、
仕事や自分の時間に使う。身体のリズムがちょうど夜10時ごろまでには入浴
するといいらしいです。また、朝、世の中が静かなうちに勉強や仕事をした方
が集中できてはかどるんだそうです。

 なるほど。なるほどなんですが、夜の10時半から英会話のラジオ講座が聴
きたいので、どうしても入浴が夜11時を過ぎます。なかなか難しいです。
 どうにか英語番組の前に入浴ができるよう、奮闘中です。これがどうしてで
きないか、というと仕事から帰ってきて、夕食をいただくと、即入浴というわ
けにいかず、その場に倒れてしばらく死んだように眠りこけてしまうからでし
た。夕食を少なめにして眠くならないようにすればいいんですね、今気づきま
した。

 そういえば以前この原稿を書かせていただいた時、ペルーに行っていました。
ずっと、ずっと行きたかった憧れの地でした。最近NHKの世界遺産を訪ねる
番組で、謎に包まれた壮大なマチュピチュ遺跡に再会しました。キャスターが
「50数時間もかけて日本からやって来て、今、目頭が熱くなる思いだ」と言
っていましたが、その気持ちがよく分かりました。 


★音楽集会での取り組み★           滋賀県 小林 ひとみさん
  先日、音楽集会を無事に終えることができました。担当している5年生6クラ
ス約230名は、MEGUMI 作詞・川井憲次 作曲 の「まつりうた」に挑戦しま
した。和太鼓・クラベス・木琴・鈴によるお囃子の後、
        ソロ1      まつりだぞー
        ソロ2・3    まつりだぞー
        ソロ4・5・6  まつりだぞー
        ソロ全員     まつりだぞー
        女子       わっしょい わっしょい
        3・4組     わっしょい わっしょい
        1・2・5・6組 わっしょい わっしょい
        学年全員     おまつりだー

・・・という群読(?)呼びかけ(?)を入れました。全校約1200人の中で、
1人で「まつりだぞー」と言ったのは、わがクラスの男子児童でした。
 我ながら惚れ惚れする良い声です。各クラスから選抜されてきた6人の児童
は、数回の練習でタイミングをつかんだのですが、ソロ全員の後の女子がなか
なか・・・。
 わがクラスは4月当初から少しずつ群読に挑戦し始めていたのでノリノリで
したが・・・6クラスも集まると、高学年の女子の中には、声を出すことを恥
ずかしく思う児童が多く、声がそろわず大変でした。
 最後には、ソロの児童の必死な姿に影響されてか、他学年の先生方にも「よ
かったよ」という言葉を頂くことができました。
 学級38人とは違い、約120名の合わさった声・気持ちは、すごい迫力でした。


★声を合わせる心地よさ★              会員 匿名希望さん
 中3担任・国語科を担当しています。
群読ではありませんが,現在各学年での国語の時間に宿題として出しておいた
「コラムプリント」なるものの音読に取り組んでいます。
 各新聞社のコラムを原稿用紙の書式にあわせ200字用紙の横にプリント
(B4裏表1枚)したもの配布し,視写することを宿題として出しています。
授業開始後すぐに3名ほどに音読させ,その後全員音読しています。今は読ま
せることで精一杯ですが,大きな声で皆と合わせて読む心地よさって大事なこ
となんだなあとよく思います。少しずつ勉強していきたいと思います。


※お便りをお送りください
 会報の感想やみなさんの近況報告をお送りください。35字×30行以内で
す。短くても長くてもかまいません。気楽にお書きください。「会員からのお
便り」コーナーを会員相互の交流の場・情報交換のページにしたいと思います。
匿名希望でも結構です。その旨お知らせください。よろしくお願いします。

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 ◆全国大会(富山大会)情報◆           富山大会実行委員会
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★大会要項・申込書を添付しています。
 会報に、大会要項・申込書を添付しています。必要事項を記入して、メール
で( 白野淳先生宛  shinseijohn@nsknet.or.jp  )送信すれば手続き完了
です。 申込書を印刷して、白野淳先生宛にFAXを送っても結構です。


★講師団研修会を下記の要領で開きます。

 ●日時:2005年7月2日(土)午前10時〜午後5時まで。
 ●場所:東京 日本青年会館303会議室 
        東京都新宿区霞岳町15 03-3401-0101
     *JR信濃町駅あるいはJR千駄ヶ谷駅,地下鉄銀座線外苑前下車。                 
     いずれも徒歩10分。神宮第2球場と国立競技場の間にある建物。

 ●内容 午前10時〜午前11時 富山大会準備
     午前11時〜午後3時  入門・中級・詩・物語・古典・わらべ歌
                 二人読みの順に学習内容の研修。
     午後3時 〜午後5時  録音作業「群読活動入門」に収録する
                 群読脚本の録音

 会員の方は、この研修会に参加して学習することができます。会員の方で、
参加希望の方は、「参加します」と重水までメールでお知らせください。
なお交通費宿泊費は自己負担となります。
 連絡先 重水 健介 日本群読教育の会事務局 sakunayo@ngs2.cncm.ne.jp


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◆ 書籍・CD紹介 ◆   日本群読教育の会 事務局次長 坂尾 知宏さん
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 詩の群読をつくろうとする際には、詩の構造について理解しておく必要があ
る。詩の構造を理解して群読脚本づくりに取り組むことで、不自然、不適切な
役割分担を避けたい。今月は、そんな教材分析に役立つ本を紹介する。

★「子どもと心を見つめる詩 詩の読み方・味わい方」
 1996年初版。文芸研の西郷竹彦先生の編著。(黎明書房 2200円+税)

 この本が優れている点は、以下の目次のように、詩の技法や形式について項目
ごとに分類し、具体例をもとに分かりやすく説明されているところにある。
(目次・内容)
 T 誰かになって(作者、話者、人物)
 U たとえてみると(声喩、比喩、活喩)
 V いろいろな見方・考え方(類比、対比、条件、相関、連環、矛盾)
 W ことばのふしぎさ(展開、ファンタジー、ユーモア・アイロニー)
 X ことばとかたち(言語・文字、方言詩、文語詩、詩の形)

★「小学校 詩の鑑賞指導 ガイドブック」(国土社 2200円+税)
 1995年初版。畑島喜久生先生の著作。学年ごとに具体例を示しながら、詩
の鑑賞の際のポイントについて詳細に説明されている。ここまでじっくり分析さ
れている本はなかなかない。教材解釈の仕方について教師が学習するのに最適な
本である。
 
★「詩ってなんだろう」(筑摩書房 1300円+税)
 2001年初版。谷川俊太郎さんの著作。あとがきに「長いあいだ詩にかかわ
ってきた経験を通して、自分なりのおおざっぱな詩の見取り図を書けるのではな
いかと思いました」とあり、子どもから大人まで、詩の歴史や、形式について、
楽しく読みながら理解できる本である。       

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◆ 群読Q&A ◆    回答 日本群読教育の会 副会長 松本 順子さん
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Q子どもたちは本を読ませても発表させてもなかなか大きい声が出ません。
ボソボソと話します。休み時間は大声が出るのですが。どうしたら大きな声
 を出すことができるでしょうか。

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A授業の中で声が出ないのには、何らかの理由があるのだと思います。まず、
その原因を分析しなくてはいけません。休み時間に声が出るということなら身
体的な障害ではなく、子どもたちの体にあったかなりの声がでるはずです。
 もともと子どもたちは、声をだすことが大好きなはずなのです。だから、そ
れ以外の原因を考えなくてはいけません。
 まず一番に考えなくてはいけないのは、学級の子どもたちの関わりは、上手
くいっているのでしょうか。友だちとの人間関係の弱い子の場合は声が出てこ
ないし、表現することを極端にきらいます。自分で表現したことが受け入られ
るという安心感がないと子どもは声を出せません。教室の人間関係に子どもた
ちが心を開くさまざまな手段を考えましょう。
 そして、声を出せるように鍛えなくてはいけません。鍛えなくては声は、で
るようになりません。子どもが、大きな声を出す場面は、群れをなして、遊び
やクラスの仲間と一緒に声を出すときです。ジャンケンをしたり、歌ったり、
囃したりみんなと一緒に声をあわせ、声を掛け合って活動します。
 声を合わせ活動するのは、仲間との連帯が確認でき、遊びに快いリズムをあ
たえ、うきうきしたはずみをつけ、楽しい遊び世界をひろげるのにやくだつか
らです。このように、いろいろな場面で、いろいろな学習で、仲間と一緒に声
を出すことの楽しさ、声を合わせることのおもしろさを分からせる活動が群読
なのです。群読は子どもたちの世界をさらに広げようとする文化活動なのです。
 群読では、みんなでリズムにのって一緒に声を出すから、つられて声を出す
うちに、しだいに身体を開き、その身体をとおして言語を獲得し、能力を高め
ていきます。そして、音声によって自己を表現する能力を育てることもできま
す。群読に取り組むことで、子どもたちの音声表現(音読力・朗読力・発表力)
を伸ばしていこうではありませんか。


※お願い
 群読・朗読にかんするお尋ねや指導上困ったことがありましたら、このコー
ナーで取り上げます。事務局までお知らせください。


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◆群馬群読学習会 ◆    
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 6月23日に群馬県藤岡市立藤岡第二小学校で、1年生の「親子群読講習会」
を開きました。本会常任委員の澤野郁文先生が講師として出張参加しました。
 澤野先生お疲れさまでした。会の企画をした佐藤多佳子先生から、「親子群
読講習会」のようすを次号でご紹介いただけることと思います。

★講師の澤野郁文先生より★
 岩手の澤野です。
 昨日,群馬県藤岡第二小学校の講座に行ってきました。
 暑い体育館の中で参加した皆さんは大変そうでしたし,私は前の晩に飲み過
ぎて声が枯れさんざんでした。2年連続の参加となりましたが,私の昨年の内
容をまねして,4年生の先生が同じような授業を展開していると聞きうれしく
なりました。オリジナルのシナリオで学年群読に取り組んでいるとのこと。
無理を言って録音を送ってもらうことにしました。

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 ◆無料講座のお知らせ◆
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 日本群読教育の会では、群読の普及活動の一環として、無料講座を提供して
います。会員のみなさんは、おおいにこの制度を活用してください。
 経費は不要です。まったくの無料です。参加人数には関係ありません。つい
先日23日は、群馬県で開きました。高知県から講座依頼の連絡がきました。
 会員の方で地域のサークルや校内研の学習で群読学習をやってみたいという
方は遠慮なく事務局まで申し出てください。

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 ◆事務局より◆        
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★富山大会参加申し込みをしてください。
 大会は、7月30日(土)です。 夏の計画を立てる時期になりました。
 みなさん、富山大会に参加しましょう。
 近くには立山黒部アルペンルートや五箇山の合掌創り(世界遺産)など見所い
っぱいです。学習と観光を兼ねて、楽しく大会に参会しませんか。早めに参加申
し込みをしてください。各職場、各地域で、一人でも多くの方に声をかけ、参加
をすすめてください。
 
★アドレス変更のときは事務局まで知らせください