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 日本群読教育の会 会報 55号   2004. 12.23
    

 日本群読教育の会HP http://gundoku.web.infoseek.co.jp
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  ☆目次☆
   随想 「雪の国から」          及川 宣史先生
   お便り「たくさんの『ちんちん』考」   毛利  豊先生
   富山大会の要項発送は1月        富山大会実行委
   新事務局員のご紹介           伏見かおり先生
   会員の近況報告             村末 勇介先生
                       ホークアイさん
   書籍紹介「群読をつくる」
   事務局より
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 ◆随想 「雪の国から」◆ 及川 宣史 先生(札幌市)
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 12月、外はすでに白一色である。今まさにクリスマス・シーズン! 
三角屋根や松の上に積もった白い雪はメルヘン物語に欠かせない要
素である。雪まつりやパウダー・スノーを求めて本州からやってくる
スキー客・観光客!(ニセコ山系でのスキーは最高!)冬の北海道の
雪景色は魅力いっぱいに映ることであろう。
 
 が実際は、冬の北国の生活は相当に厳しい。凍結防止のために外の
水道栓を止める。石油ストーブに使う膨大な量の灯油を確保する。
 車はスノータイヤ、スノーブレードのワイパーに替える。冬期間は
サイドブレーキを引いてはいけない。車輪が凍って動かなくなってし
まうからである。

 しかし、何と言っても大変なのは雪かきである。しばれた朝に、意
を決して外に出る。寝起きの体に寒気と雪の重さがこたえる。湿った
雪や除雪車が置いていく圧雪は特に辛い。「なぜ自分たちだけがこん
な苦労をしなければならないのか」と、ついつい愚痴が出る。ひと汗
かくと出勤前なのに一日が終わったような疲労感を覚える。そして、
ツルツル路面と渋滞との格闘。風が吹けばあたり一面何も見えなくな
る地吹雪に襲われる。 冬の暮しには相当の覚悟が必要である。

 こんな厳しい生活だが、雪国ならではの感動もある。雪は音もなく
降る。"しんしん"と降るという描写の通りに、みるみる積もっていく。
 一晩で30cm以上も降るときがある。三好達治の詩「太郎をねむ
らせ 太郎の家に雪ふりつむ ……」の世界を実感する。一夜にして
世界が変わる不思議さを味わえるは至福の瞬間である。

 昔話にある「あとかくしの雪」も体験することができる。先程まで
の足跡が、景色がみるみる消えていくのだ。そして翌朝、新雪の上に
残る野鳥や野ウサギたちの新たな足跡。新しい一日の始まり!
 中谷宇吉郎博士が「雪は天から送られた手紙である」と述べている
が、気温や湿度の関係で実に様々な雪が降ってくる。大きさも落ちる
速さもみな違うのだ。空を見上げて口を開け、降る雪を夢中でつかま
えた子ども時代をなつかしく思い出しながら雪を見ている。


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 ◆お便り「たくさんの『ちんちん』考」  毛利 豊先生 ◆  
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 前号の随想で家本芳郎先生が富山の面白い方言についてご紹介くだ
さいました。富山大会実行委員長の毛利豊先生からさっそく、次のお
便りをいただきました。
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はい、お答えします。
結論は、家本先生のご明察の通りです。

忘年会の席で、いろんな人にきいてみました。
まず、酔った勢いで?県東部の生まれの、若くて美貌のお母さん先生
に「先生、朝日町の生まれだよね。方言を調べているんだ、教えてよ」
「うちは、標準語です、おほほほほ…」
「うそばっかり。小さい子に対して『ちんちん、かこう』って言う?」
「………」(ちょっと、セクハラの気配が1/3ほど…)
「いやさ、お座りしなさいって意味なんだって。”ちんちんねんま”
なら、正座のことだけど…」(ねんまーねまる・「座る」の名詞化、
「座り」)「(少しムッとして)言いますよお。あぐらを『かく』っ
て言うじゃないですか、 それと同じよ。まあ、言われたら、しょう
がないか…と正座しますよ。逆に、『ちんちんねんま』なんて知らな
い…」

 今でも生活実感をもって使われていること、県の地域で方言が違う
ことが判明。念のため、同じく朝日町から通っている小さい子を持つ
男性教師に聞くと、その人も言うと言いました。やはり「ちんちんね
んま」は知りませんでした。

 聞きつけた、音楽科の教師(富山市)は、「『ちんちんぼんぼ』な
ら言うよ」「ああ、滑川でも言うね。『肩車』のことね。『ぼんぼ』
は『おんぶ』だから、『肩の上で鎮座するおんぶ』の意だね」
 
 県南部の立山町のおばあさん先生は、「それ、先週の『新婚さんい
らっしゃい!』でやっていたよ。その関東からの問い合わせ人は、全
国放送のそれを見たのではないの?」
 「そういえば、以前MMで、桂三枝の話芸のことを書いておられた。
好んで見ておられる番組かもね」
 中年の数学科男性教師は、「それ、ラジオでもやっていたよ」文殊
の知恵を集めると、いろんなことまで分かってしまうということも判
明ー。

家にある『おらっちゃおらっちゃの富山弁』(北日本新聞社1500円)
を参考に整理すると、

「ちん」ー幼児語「鎮座する」の名詞化の、くりかえし。
「かく」ーあぐらを「かく」と同じ=座る。

本田宗一郎語録に「いくらお母ちゃんに叱られたって、面白いことは
やってしまいますよ。『ち〜ん』となんかしておれませんよ。」云々
というセリフがあったと記憶しています。けだし、同じ「ちん」であ
ろうと思われます。

 学生のころ平家物語を読んでいて、馬と的の間(あわい)が何間ほ
どとか出てきて、富山の老人が使う「あわい」と同じだと、感動した
のを思い出しました。

  方言は 昔の言の葉 忘れ草

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 ◆第4回 日本群読教育の会全国大会 の準備状況◆  
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★とき・ところ
 2005年7月30日(土)に、日本群読教育の会全国大会を、
富山市の富山県民共生センター「サンフォルテ」(〒 930-0805 
富山市湊入船町6−7 TEL:076-432-4500 FAX:076-432-5525
e-mail:kyosei@sunforte.or.jp )にて開催します。

★大会ビラ(参加申込書)は1月中に
 現在、大会日程や活動内容について調整中です。1月中には大
会ビラを作成します。会員のみなさんには、本会のホームページ
に掲載しますので、それをご覧いただき、メールまたはFAXで
参加申し込みをしてください。
 また、役員のみなさんには、大会ビラを1月中に郵送します。
 お近くの会員の方や職場の方、サークルの仲間にお配りいただ
き、大いに宣伝してください。

★初心者大歓迎です
 全国大会は、群読活動・群読教育に関心をもつ方々であればどな
たでも参加できます。群読の理論・実践・実技を楽しく学ぶ会です。
 はじめて群読にふれる方大歓迎です。実技を通して楽しみながら、
群読の意味を学び、技術を身につけることができるように学習計画
をつくります。ぜひご参加ください。

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◆事務局員に伏見かおり先生 ◆ 
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 伏見かおり先生に日本群読教育の会の事務局員にご就任いただく
ことになりました。伏見先生は、群読はもちろんのこと、文化活動
学級活動にすぐれた実践をしていらっしゃいます。正式には、夏の
全国大会で新役員としてご紹介し、みなさんに承認していただく運
びになります。どうぞ、よろしくお願いします。

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会員のみなさん,はじめまして。神奈川県で小学校教諭をしてい
ます,伏見かおりと申します。この度ご縁があって,事務局員をさ
せていただくことになりました。どうぞよろしくお願いします。
 わたしは今年度,2年生の担任なのですが,先月から準備をすす
めてきた学習発表会をようやく学期末に終え,ほっと2学期を振り
返っているところです。「2年生のおまつりだ!ワッショイ!ワッ
ショイ!」と題した学習発表会には,1年生と保護者の方をお招き
し,体育館で「大お店やさんごっこ」を行いました。オープニング
には,おみこしや山車,手作り楽器隊,皿回し隊が入場するパフォ
ーマンスとともに,学年全員で元気いっぱい「おまつり」の群読を
しました。
 生き生きとした表情で声を出している子どもたち,そしてその笑
顔がみられるのが,群読の楽しさですね。日々小さな実践を試行錯
誤しながらの毎日ですが,これからみなさんとごいっしょに,群読
のことについて学び,子どもたちと群読を楽しんでいきたいと思い
ます。よろしくお願いします。

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 ◆会員の近況報告◆
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★村末 勇介先生

「会報」読者のみなさん,初めまして。わたしは,鹿児島の小学校
教諭・村末(むらすえ)です。一応,肩書きだけは「鹿児島群読教
育の会の代表」をいただいているのですが,理論と実践研究共に、
これから積み重ね,力をつけていかなければならない初心者です。

 さて,勤務している学校が,昨年度から2年間「学力向上フロン
ティアスクール」の研究指定を受け,つい先日研究公開を終えまし
た。本校では,基本的に「子どもを振り分ける習熟度別授業に反対」
というスタンスで,「すべての子どもに楽しく,わかる授業を!」
を目標に研究を続けてきました。その一環として,昨年度は家本先
生を特別講師にお迎えし,群読の校内研修会を実施することができ
ました。おかげで,「学力向上」のとりくみを,味気ない機械的な
ドリル中心ではなく,子どもたちが生き生きと楽しめるような内容
にすることができたと思っています。水曜日と金曜日の1時間目は,
どの教室からも子どもたちの群読の声が響いています。

 また,夏休みに鹿児島大学で開催された司書教諭の認定講習会で
は,ゲストとして2時間ほど講義を行ったのですが,その約3分の
1を群読の実技でやってみました。受講者の感想文は,わたしの話
の中味より,群読の方に集中。高校の国語の先生は,「授業で早速
やってみます」と語ってくれました。鹿児島でも,群読の楽しさを
もっともっと広げられたら…と思っているところです。

★ホーク・アイさん

 みなさん、初めまして。愛知で、知的障害児学級を担任しており
ます、ホーク・アイと申します。筆名で失礼します。目の前のお子
さんのために少しでも前進しようと思っております。いろいろ勉強
させてください。昨年度は「きりなしうた」に取り組みました。今
年は群読と言えるものには取り組んでいません。声を出す音読は、
国語の時間の準備運動にやっています。早口言葉、百人一首、金子
みすずの「大漁」、風の又三郎の一部、李白の静夜思などです。斉
藤孝さんの著書をたね本にすることが多いです。毎日やっているう
ちに覚えるのが苦手な本学級のお子さんたちも、だんだん暗唱でき
るようになってきます。声をそろえて読むと、元気が出るようです。
お仲間にいれていただいたのをきっかけに3学期は群読に取り組も
うと考えています。(以上公的な近況)
 ある事情で、最近お経を読む機会がありました。般若心経などで
す。和尚さん・家族・親戚で声をそろえて読んでいると、玄関で飼
っているうちのうさぎが、急に暴れ出しました。「声をそろえて読
む」ということはやはり何か「場」みたいなものを作ることに通じ
ているのかなあと思った体験でした。
 ところで、この23日から10日間、ずっと夢だったペルーに行
っています。この号が出る25日には、インカ帝国の都クスコにい
る予定です。(以上私的な近況)
 みなさんも、よいお年をお迎え下さい。

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 ◆書籍紹介◆
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「群読をつくる −脚本つくりから発声・表現・演出まで」
        (家本 芳郎著 高文研 2500円+税)
 本会の会長である家本芳郎先生の著作です。
 群読の意味、声をあわせる楽しさ、群読つくりの手順、脚本のつ
くりかた、さまざまな場における群読の活用、といった群読の世界
が、豊富な脚本や具体的な例をあげて、詳細にわたって解説されて
います。群読をこれからはじめようと思っている方、また、さらに
深く群読を研究しようとする方に、絶好の本だといえるでしょう。
 群読に関心をもつ方々の座右の書として、みなさんに読んでいた
だきたい本です。               (重水 健介)

★おすすめの本やCDをお知らせください
 このコーナーでは、群読・朗読にかんする、書籍やCD・ビデオ
などの紹介をしていきます。「こんな本がよかったよ」「このCD
ブックは○○の行事に役に立ちました」等、会員のみなさんご推薦
の本や資料を事務局までお知らせください。幅広く情報交換をして
いきましょう。

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 ◆事務局より◆
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 この会報では、会員のみなさんの声をなるべく多く紹介していき
たいと思います。

★メールをください。

・会報の感想をお送りください。
・こんな群読実践をやってみたという情報をお教えください。
・「最近は、このように過ごしています」という近況をお知らせく
 ださい。
・群読・朗読にかんする、書物やCDなどの資料をご紹介ください。

★宛先は、本会事務局 重水 健介 sakunayo@ngs2.cncm.ne.jp
までお願いします。なお、匿名をご希望のときは「匿名希望」また
は「ペンネーム希望」とお知らせください。

 それではみなさん、よいお年をお迎えください。