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日本群読教育の会 会報 31号 2003.
4.7
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●目次●
会員よりのうれしいお便り
大会記念号の実践記録
「ヨーシコーイ!」学習発表会で全校群読 澤野 郁文
学級群読(ことば遊び) 集会
深沢 英雄
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◆会員よりのうれしいお便り◆
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後7時間で始業式。今年は持ち上がりの2年生11名の担任です。明日は子どもたちが
入学式で歓迎の言葉を言います。ひとり一言ずつのソロです。さぞドキドキしているでし
ょう。ピアノでBGMを付ける私もドキドキです。今年はかさこじぞうの群読をやってみ
たいです。メールが来るたびに刺激されています。
4月7日から新学期の始まりです。昨日は、高知市教祖の方から「学級開き」の講座を
頼まれ行ってきました。私は、今年から学校がかわり(一昨年、夏休みの学校研修で話し
に行った学校なんですよ、どうしてこの学校に行ったのかが疑問ですが)自分の学級開き
の計画ができていたので、その案を持って行ってきました。前に重水先生から送っていた
だいた由布院大会の要綱を持って行きました。計画の中にも詩の群読を入れていたので、
ちょっとは宣伝できたかなあ、と思っています。これからもたくさんのチャンスを使い宣
伝するつもりです。
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◆大会記念号の原稿◆
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★「ヨーシコーイ!」学習発表会で全校群読 澤野郁文★
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<解説>
各学年・各学級毎にテーマを決め,地域の調べ学習を進め,学習したことをひとつの創
作劇にまとめ上げてみようという発想が教師の中から生まれ,新しい学習発表会を創りあ
げようという取り組みが児童会と共に進められていった。「総合的な学習」が世に出るず
っと以前の話である。
校庭の片隅に「ゆりのき」という大木が立っていた。50年以上前に近所のお寺から地
域の人々が移植したもの。その「ゆりのき」の木が,地域の歴史を語っていくという設定
で全校創作劇を構成していった。そのアイディアを出したのが当時の校長先生。合わせて
子どもたちの取材に合わせた構成詩も創作してくれた。
「ゆりのき」役の子のナレーション,構成詩の朗読,各クラスの創作劇と内容の質がなか
なか文化的に高まってきた時,オープニングをどうしようかと悩んだ末,教師集団で創作
した群読がこの「ヨーシコーイ!」である。
「ゆりのき」の木を地域の人々が移植するために運び校庭に植えてくれたシーンを想像し
て,新たな出発にふさわしい元気で力強いかけ声を中心に創作した。
<読み手>
ソロ 1名 オーディションで選考
アンサンブルサンブル 12名 オーディションで選考
コーラス 全校
<演出ノート>
学習発表会のオープニングである。全体を暗転にし,お客さんを囲むようにして全校の
コーラスが立つ。ソロは,木を運ぶリーダーで,アンサンブルは運び手である。それなり
の衣装を着て,はりぼての木を囲んで会場の後ろの方に立ち,スポットをあびて群読をス
タートさせる。
Aの部分は出発するときのかけ声と,木を持ち上げるまでのシーン。Bは全校のかけ声
に励まされながら木をステージ脇まで運んでいく。Cは,ステージまで運んで一休み。体
勢を整えて,Dから全校のかけ声と共に木をステージ脇に立ち上げていく。だんだん速く
だんだん強く。Eで最高潮に達し,木は直立する。
ヤッターの声にかぶってテーマ曲のイントロのドラムが鳴り出し,全校合唱へと進む。
<シナリオ>
A ソ ロ ヨーシコーイ!
コーラス ヨーシコーイ!
ソ ロ ヨーシコーイ!
コーラス ヨーシコーイ!
ソ ロ ヨーイドッコイ
アンサンブル ヨーイドッコイ
ソ ロ ヨーイドッコイ
アンサンブル ヨーイドッコイ
ソ ロ ヨーイドッコイ
アンサンブル ヨーイドッコイ
ソ ロ ヨーイドッコイセー
B ソ ロ ヨイサッ!
コーラス ヨイサッ!
ソ ロ ヨイサッ!
コーラス ヨイサッ!(何回か繰り返す)
C ソ ロ ヨーイドッコイセー
D ソ ロ ソライクゾ!
アンサンブル オー!
ソ ロ おとーちゃんのためなら
アンサンブル エーンヤコーラ
ソ ロ おかーちゃんのためなら
アンサンブル エーンヤコーラ
ソ ロ もひとつおまけに
コーラス エーンヤコーラ
ソ ロ ヨイサッ!
コーラス ヨイサッ!
ソ ロ ヨイサッ!
コーラス ヨイサッ!(だんだんはやく繰り返し)
E ソ ロ ヤッター!
コーラス ヤッター!
<発展>
全校創作の学習発表会は大好評で,その後も子どもたちの取材活動とともに内容がどん
どん深化・発展し,次の年もその次の年も続けられていった。
その中で「ヨーシコーイ」の群読もすっかり定着し,エンディングの「お祭り」
の群読 とともに,ソロは全校リーダーのステイタス性を併せ持つようになった。「5年生の学習
発表会で「ヨーシコーイ」のソロを務め,その後児童会長に立候補し,6年生の学習発表
会は「お祭り」のソロを務めることが目標」という次の年のオーディションに参加した子
どもは語ってくれた。
他校に転勤になってからもこのシナリオはよく使わせていただいた。全校での群読入門
期練習にとても効果的だった。特にDの部分の盛り上がりは,何度やっても子どもたちも
あきない。 「総合的な学習」が進められて,地域を取り上げた学習が盛んになってきた。発表会のオ
ープニングに元気のいいスタートのために,ぜひ活用していただきたい。各地の言葉を使
って少々アレンジしていただければ,「鉱山の労働」「漁」「開拓」等,様々な表現がで
きると思う。
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★学級群読(ことば遊び) 集会 深沢 英雄★
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<解説>
教室に入ってやさしく「おしゃべりをやめなさい」と言ってもなかなか静かにならない。
ほっておくと、年柄年中、ぺちゃぺちゃとおしゃべりばかりする子が多くなってきた。ち
ょっとした隙間があると、しゃべりはじめる子もいる。そのくせ、教科書を読ませると暗
い、小さな声でしか読めない。話し合い活動になると、「シ−ン」として発言ができない
のだ。みんなの前で自分の意見を言えない、みんなに聞こえるように話せない子が増えて
きている。
私的な空間では自分を出せるが、学級というやや広い集団になると、自分を出せないの
である。しゃべるということは、社会と集団に対する自己表現であって、相手に通じなけ
ればならないのに、高学年になっても自己中心の世界から抜け出さないのである。子ども
の「からだ」や「こころ」が閉じてきているのである。
新しい班になった時も同じ班になった友だちの様子をうかがっている。この状況を拓く
たために「群読」に取り組んだ。
新しい班になった時に、学級活動として「群読(ことば遊び)集会」を開いた。
ねらいは2つ
@ 群読を通じて新しい班員と一緒に声を出すことで、理解し合う。
A ことばあそびをつうじて、声を出すことの楽しさを知る。
班は6つあったので、教師が「ことば遊び」の詩としてふさわしいものをいくつか紹介
した。詩の本も用意して、その中から選んでもよいことにした。
班員の数は6人で男女混合班である。選んだ詩は下記のとおりである。
「お経」「寿限無」「そうだ村の村長さん」「早口ことばのうた」「きりなしうた」「いるか」
班ごとに6人いる。それぞれの班で、ソロ、アンサンブル、コーラスを決めた。
<シナリオ>
☆一斑の群読 「お経」 阪田寛夫
<演出ノ−ト>
お経の節回しのように、同じリズムであまり高低の変化をつけずに読む。1回目は、ソ
ロで読み、2回目の読みで人数を増やしていく。木魚の代わりに、音楽室から借りて、
ウ ッドブロックをたたいてリスムをつけ、いい終わったあと、トライアングルで「チーン」
とたたくとおもしろい。
全員 空腹帰宅晩御飯 (ばんごはん・・・・)とのばす。最後に「チン」と
音をならす。
☆二斑の群読 「寿限無」
<演出ノ−ト>
「寿限無」の名前を言うところをアンサンブルで、あとはソロで読ませる。「寿限無」
の名前は3回でてくるが、1回目はゆっくりと、2回目はすこしスピードをあげて、3回
目はかなり速いスピードで読む。
1 あらまあ、金ちゃん、すまなかったねえ。
2 じゃあなにかい、うちの
コー・・寿限無寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う寝
ラス・ るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシ
・ ュ−リンガン、シュ−リンガンのグ−リンダイ、グ−リンダイのポンポコピ−の
・・ポンポコナの長久命の長助
3 が、おまえのあたまにこぶをこしらえたって、まあ、とんでもない子じゃあない
か。
4 ちょいと、おまえさん、聞いたかい? うちの
コー・・寿限無寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う寝
ラス・ るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシ
・ ュ−リンガン、シュ−リンガンのグ−リンダイ、グ−リンダイのポンポコピ−の
・・ポンポコナの長久命の長助
5 が、金ちゃんのあたまへこぶをこしらえたんだとさ
6 じゃあなにか、うちの
コー・・寿限無寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う寝
ラス・ るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシ
・ ュ−リンガン、シュ−リンガンのグ−リンダイ、グ−リンダイのポンポコピ−の
・・ポンポコナの長久命の長助
1 が、金坊のあたまへこぶをこしらえたっていうのか。
2 金坊、どれ、みせてみな、あたまを・・・な−んだ、こぶなんざあねえじゃあね
えか 全員 あまり長い名前だから、こぶがひっこんじゃった
☆二斑の群読 「そうだ村の村長さん」 阪田寛夫
<演出ノ−ト>
手拍子しながら読むとリズムがつく。「ウッソーだって」の所は、転調して言い方を変
えると変化がつく。動作もつける。最後の「とろけるゆめみてねたそうだ」はゆっくりと
読み、寝る動作を全員でする。
アンサンブル@(1〜3)
アンサンブルA(4〜6)
☆三斑の群読「早口ことばのうた」 藤田 圭雄
<演出ノ−ト>
緩急を大きくつけて読むと効果的である。「早口ことばをしってるかい」から「あたま
をひやしてしゃべるんだ」までは、これ以上ゆっくり読めないほどゆっくり読み、「生麦、
生米、生卵」になったら徐々にスピードをあげていく。
最初の「交響曲 歌曲 協奏曲」ではわざとまちがう。最後はもうこれ以上はやくで
きないぐらいのスピードで読む。失敗しないようにぴたっと決まるとかっこいい。
☆四斑の群読「きりなしうた」 谷川俊太郎 「わらべうた」より
<演出ノ−ト>
ソロとアンサンブルの繰り返しで読んでいく。「しゅくだいはやくやりなさい」の後、
「おなかがすいてできないよ」と答える表現で、動作を入れるといい。「おなか」をおさ
えたり、歯をおさえて「むしば」を表すなど工夫をしていく。
☆五斑の群読 「いるか」 谷川 俊太郎
<演出ノ−ト>
1連は、唱導方式でソロの後に、コーラスがつづくようにする。2連は、「追いかけ」
読み「いるかいないか」をアンサンブル@のグループが読んだあとにアンサンブルAが
「いるかいないか」と追いかけて読んでいく。歌の輪唱ように読んでいく。最後のくりか
えし2行は、全員で読む。
ソロ アンサンブル @3人 A3人 コーラス(ソロ以外)
<発展>
学級群読大会当日は、どの班も緊張したおももちだった。最初の班は「お経」の班だっ
た。聞いている班から思わず、笑いがこぼれた。1番の班が終わったあと、2番目に発表
する班から1番の班への批評をする。3つほめるようにしている。「お経のような読み方
がよかった。ウッドブロックとトライアングルの音もよくあっていました」「全員、すわ
ってきちんと礼ができていました」「大きな声で発表ができていました」と感想が出され
た。すべての班の発表が終わったあと、「先生。お経の班をもう一度聞きたいです」とア
ンコ−ルが起こった。すこし照れながら「お経」の班の2回目の発表がはじまった。
群読大会の日の掃除の時間には、「そうだ村の村長さん」や「早口ことばのうた」を口
ずさみながら、ほうきを動かす子の姿も見られた。
お経を読んだ班にY君という子がいた。背はわたしと同じくらいあった。声がわりをし
ていて、低音の声である。4月の頃ほとんど声をださない。本読みが回ってきても、蚊の
なくような声の子である。教師に話がある時も、耳元まで口を近付けて「先生。○○して
いいですか。」と言いにくる子だった。「お経」という詩を読むのに低音の声はぴったり
であった。この「お経」の群読をしてから声を出すことに抵抗が少しずつなくなっていっ
た。6年生の冬季野外活動では実行委員に立候補し、あいさつするまでになった。
また、群読を班で経験することが、話し合い活動の準備以前の基礎作業にも役立ってく
る。なかなか発言できない子もいる。その時、日々の授業の中で声を出させていく。教材
を一人読みでなく、グル−プで斉読させる。一種の群読である。答えを言う時にも、いっ
せいに声をださせる。ソロ(一人)だけでなく、アンサンブル(班の人)、コ−ラス(ク
ラス全員)で表現させることで、学級の文化活動としての群読が授業にもからんでくる。