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 日本群読教育の会 会報 29 号     2003. 4.1

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 ●目次●
   編集前記
   会員よりのうれしいお便り
   大会記念号の実践記録
       「おおきくなあれ」      長塚 松美
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 <編集前記>
  原稿集めも 後、数人に迫りました。先が見えてきました。
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 ◆会員よりのうれしいお便り◆
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群読の会会報28号ありがとうございました。山口さんの実践、いいですね。みんなで文
化活動に取り組める教師集団って、安心できます。山口さんのように、自分の思いを押し
つけがましくなく、さわやかに淡々と伝えつづけることのできるひとになりたいなあと思
います。

 昨日の名古屋での「群読実習講座」楽しく参加させて頂きました。ありがとうございま
した。 声を出す、ということがとっても気持ちよく、学生時代を思い出してしまいまし
た。(高校、大学と演劇部に所属していました。)私は中学で英語を教えています。
あの楽しさを何とか英語の授業でも使えないかな・・・と思ってしまいました。
新年度は中学一年生を学級担任することになりそうです。教えて頂いた群読を使って、
楽しい学級開きをしたいと思っています。 昨日デジカメで撮った写真、娘に頼んで
(自分で出来なくて)送らせていただきました。家本先生とご一緒に
撮してもらえるなんて夢にも思いませんでした。とってもうれしかったです。一生の宝物
です。(先生には、もう少し、いえ、もっと若くて美しい方が良かったとは思いますが・・
私でスミマセン!) どうかお身体に気をつけ、これからも、私たち教師に、先生の理論
と経験に基づいた素晴らしいアイデアや情報を送り続けてください。
昨日パワーをいただいて元気を取り戻した岐阜県のKより。

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 大会記念号の原稿
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 ◆「おおきくなあれ」 長塚 松美◆          
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  「おおきくなあれ」  さかた ひろお 作

〈解説〉
 教科書にある教材を、楽しんで読めるように群読に脚色した。子どもたちは、「ぷるん
ぷるんちゅるん」の部分が特にお気に入り。自然にほころんだ顔で詩を読む。そこで、も
っとおもしろく、もっと楽しく、しかもみんなで声を合わせて読んでみようということに
なった。全部を全員で声を合わせてもおもしろみがない。もちろん一人よりグループで、
あるいは学級全員で読むことはすてきなことだと感覚的にはわかっていても、どのように
アレンジしたらよいか、わたしも子どもたちも未経験であった。
 以前、経験した、班ごとに読む箇所を換えたり全員で読む箇所を設けたりした『かえる
のぴょん』形式がよいか、学級全体を2つのグループに分けてかけ合いで読む『おがわの
マーチ』形式がよいか、この詩の持ち味を生かす形式を考えてみた。
 どうやら、「あめのつぶつぶ」と読むと、また「あめのつぶつぶ」と、自然に繰り返し
たくなる詩には、後者の形式がよいように思われた。そこで、早速脚色して子どもたちに
提示してみた。皆、目を輝かせて、その脚色に酔いしれてくれた。早速読んでみる。原文
どおり読むよりずっと生きた詩になる。自然に声も元気になる。楽しんで読もうとする意
欲がどんどん高まるのを実感した。

〈読み手・演出ノート〉
 A・Bふたつのグループのかけあい。人数に制限はなく、学級を2分すればよい。(わ
たしの学級は6班編制なので、奇数班と偶数班に分かれたり、1〜3班と4〜6班に分か
れたり、班を2分割したりと、いろいろアレンジしてみた。)

〈脚本〉 ぐん読  『おおきくなあれ』     さかた ひろお


〈発展〉
 子どもたちは、みんな大喜び。「先生、ほかの果物でも作ろうよ」と、のりのり。
 あめの つぶつぶ
              あめのつぶつぶ
 ミカンにはいれ
                はいれ はいれ
と、次々に詩が湧いてくる。しかも、もうすでにもとの詩の形ではなく、脚色した形で読
み始める。際限なく作りたがったし、実際にいくつも出来上がったが、その内の4種類を
採用した。
 ミカン …きいろくなれ
 ピーチ …まるくなれ
 チェリー…まっかになれ
 イチゴ …おいしくなれ
と、本物の詩に続けて読んで楽しんだ。
 「ぷるん ぷるん ちゅるん」を2度繰り返すより、ちょっと工夫して「ちゅるん ち
ゅるん ぷるん」としたところは、わずかなアイディアで詩が豊かになることを実感した。
また、最初脚色してみた時、「ブドウにはいれ」とAグループが読んでいる裏でBグルー
プが「あめの つぶつぶ」と読んだらどうかなと思ったが、アドバイスを受けて、声を重
ねずに「はいれ はいれ」としたところ、いちだんと声が大きくなり、生き生きとした張
りのある声が響いたことから、脚色のおもしろさを実感した。
 その後、学年合同で集会を開いた時に、この群読を紹介したところ、どのクラスももと
の詩は授業で扱っていたので、より楽しい読み方に感銘を受けてくれた。そして、学年全
体を2グループに分けて群読を楽しんでみた。
 学年の先生方や子どもたちに群読を広めるのに、まったく初めての詩の群読ではなく、
自分たちも学習したことがある詩が、アレンジの仕方でこんなに楽しいものに変身するの
かという実感をもたせるこの紹介の仕方は、成功だったと思う。このことがきっかけとな
り、卒業期に行う6年生を送る会の出し物には、ぜひ群読を取り入れようという気運が高
まったのである。