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 日本群読教育の会 会報 28 号     2003. 3.31

お詫び:姫野先生のシナリオがどうしてもうまく載せられませんでした。ごめんなさい(管理者より)
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 ●目次●
   編集前記
   会員よりのうれしいお便り
   大会記念号の実践記録
       学年開きで教師の群読を  山口  聡
     「これがみんなの1年間」 姫野賢一
     この実践に学ぶ    毛利   豊
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 <編集前記>
 そろそろ原稿のほう、お願いしますよ。
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 ◆会員よりのうれしいお便り◆
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群読の会報拝受しました。有り難うございました。「BIG MAVE」はなかなかい
いですね、字並びを見ているだけで、さらさらの音やうねりがきこえてくるような感じが
します。これは、絶対実際に聞いてみたいと思いました。

初めまして。突然のメール失礼します。私は、鳥取県で小学校の教諭をしています。昨年
の10月、学芸発表会で群読をしようと思い、家本先生の本と出会い、HPも見つけました。
中村先生にも直接メールで平和の群読についてお聞きし、参考にさせていただきました。
  会員になろうと思いながら今日まで来てしまいました。よろしくおねがいします。ところで、
会員になるにはどうすればよいのでしょうか? 鳥取県で会員になっておられるかたは、
あるのでしょうか?  よければ、私の学校のHPもご覧下さい。
http://www.misahigashi-e.tottori2.schoolnet.gr.jp/Y2002/6nen/gakugeikai.htm

群読の会報ありがとうございます。昨日片桐さんにお会いしたところ、原稿を仕上げて
いるところだそうでした。通信制では、来年1年生の担任です。授業も1年担当です。
発表という形での群読はむずかしいかもしれませんが、「声を出す」「みんなで読む」と
いう活動として授業の中で群読に挑戦してみようかなと思っています。
 現在脚本を探しているところです。 またよろしくお願いします。

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 大会記念号の原稿
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 ◆ 学年開きで教師の群読を◆           山口 聡(横須賀市立長沢中学校)
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<解説>
 新学期最初の学年集会を、「最初が肝心」と校則の徹底や教師の威厳を示す場としてと
らえる学校が多い。しかし、学級開きがそうであるように、子どもたちが「この学年なら
頑張れる」「よし、やるぞ」と前向きな気持ちになるような、明るいトーンの学年びらき
が必要である。私たちの学年教師団(8名)は、学年最初の集会を学年開き、最後の学年
集会を学年じまいととらえ、学年教師団による合唱や群読を発表してきた。合唱や群読を
子どもたちの前で発表する事で、「先生たちも一緒に頑張る」という決意を伝えるねらい
もあった。
 3学年に進級して最初の学年集会では、「心に太陽を持て」という詩を、群読形式で発
表した。音楽科の教師には、群読に合わせて、BGMで「翼をください」をピアノで演奏し
てもらった。

<シナリオ>


<演出ノート>
 学年の教師全員が、子どもの前で群読の発表をすることに慣れているわけではなかった
ので「今年は、最初の学年集会で詩の朗読をやりましょう。当日ぶっつけ本番で先生方が
できるようにシナリオと台本を用意しておきますので、心配いりません」と朝の学年打ち
合わせで私から提案した。前年度の職員合唱の経験と「練習しなくてもできそうだ」とい
う安心感から、「よし、やろう」と学年教師全員が意欲を示してくれた。1回も練習せず
に本番を迎えたが、事前にシナリオを色画用紙に印刷しておいたので、それを読みながら
堂々と発表することができた。

<発展>
 学年集会で学年教師団による群読を発表すると、子どもたちは拍手喝采、大喜びしてく
れた。「皆さんも卒業までの1年間、ちからを合わせて素晴らしい学年にしていってくだ
さい。先生方も一緒に頑張ります。今回は先生方による群読の発表でした。さて、卒業前
の最後の学年集会では、先生方は何を発表するでしょうか。皆さんお楽しみに」と言葉を
添えて、発表を終えた。
 教師団も、子どもたちの喜びように気を良くしていたので、卒業前の最後の学年集会で
は、8人でアカペラでの4部合唱「学生歌」を練習して発表した。「みんなで一つのこと
をやって発表するのは学年教師の結束を作ることができていいわね」と話す教師もいた。
子どもたちが楽しみ、教師も楽しみ、そして、学年教師の輪をつくる群読の取り組みになった。

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  ◆「これがみんなの1年間」  姫野賢一◆
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 第2章 学級活動における群読活動  1a小学校 低学年

1.タイトル「これがみんなの1年間」  姫野賢一

2.解説 3月,どの学年も1年間を締めくくる大切な時期になった。この時期は,1年間のい
ろいろな活動の思い出を,文集にしたり,写真集にしたりと,様々な形で1年間の足跡し
として残したい時でもある。そして,3月だからこそ,年間を通して続けてきた群読を
まとめていくことも考えたいところである。「形あるもの」として残していくことも大事なこと
ではあるが,みんなと共に創り上げ, 群読活動をしている瞬間をひとつの思い出作品とし
て仕上げることも,文集や写真集など と同じことになると考えている。
 身体に1年間を刻め,思い出として残すこともあると考え,オリジナル作品へ挑戦し
た。 ところで,この群読は,まず,それぞれの子どもたちに,各々の思い出をアンケ
−ト へ記入してもらった。
 アンケ−トの項目は,「2年生の時で,一番思い出に残っている場面」を思い出して
もらい,ナンバ−ワンの思い出を一つだけ,子どもたち一人ひとりに書いてもらった。
 その項目は,@どんな季節に,Aどんなことで,Bその時の気持ち の3つだけを設定
した。特に,Bの気持ちは,通常の言い方(「楽しかった」「嬉しかった」など)でもよ
いが,できるだけその時の気持ちを,擬声語や擬態語で書いてもらうようにした。そして,
教師が,子どもたちにとっての共通した出来事をピックアップして,群読のシナリオを作
成した。
 子どもたちは,1年間を通して継続してきた群読活動なので,長くて難しい作品に挑戦
することを望んでいた。

3.読み手
 A・B・C・Dの4つのグル−プに分かれる。
 Aグル−プは,12人で,全員ソロ(abcdefghijklm)
 ソロは,5〜14行程度を,個人読みしていく。(希望割り当て)
 Bグル−プは,12人でアンサンブル。
 CとDのグル−プは,各30人のコ−ラス1とコ−ラス2。

4.演出ノ−ト
  Aグル−プは,4人縦隊になり,3列つくる。Bグル−プは,3人縦隊の4列つくり,
 Aグル−プの横両隣に2列ずつかたまる。Cグル−プは,15人ずつの2チ−ムに分け,
 Bグル−プの横両隣位置にかたまる。Bグル−プの2チ−ムそれぞれは,5人縦隊の3
 列をつくる。Dグル−プは,Cグル−プと同様にする。
 全体として,ABグル−プの両脇に,C・Dグル−プが分かれ,ステレオのスピ−カー
のように並ぶ。

5.シナリオ
   ソ  ロ(A) アンサンブル(B)コ−ラス 1(C) コ−ラス2(D)
a はる
a はる ・はな はる・はる
a はる ・はな はる ・はな  はる ・はな
a はる ・はる はな ・はる  はな ・はるはる・はる
a はる はる  はる はる ○ ○  ○ ○
b 二年生になって
b 二年生になって 二年生になって
b ワクワクドキドキ   ドッキンドッキン
ワクワクドキドキ   ワクワクドキドキ
  ワクワクドキドキ
  ワクワクドキドキ
b ワクワクドキドキ
b ワクワクドキドキ ワクワクドキドキ
  b みんなでにねん
 みんなでにねん
b みんなでにねん
  みんなでにねん
 b 二年生になった 二年生になった  二年生になった 二年生になった
○  ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○
 パラパラチラホラ
c ワクワクドキドキ
パラパラチラホラ  チラホラチラチラ
パラパラチラホラ  チラホラチラホラ
チラチラパラパラ
c さくらが  
c さくころ さくころ  
c にゅうがくしきで
にゅうがくしきで
一年生を
c おむかえした
c おむかえした おむかえした
c おむかえした おむかえした どっきりどっきり
c むかえたむかえた むかえたむかえた どっきりどっきりどっさりどっさり
c むかえたむかえた むかえたむかえた どっさりどっさりどっきりどっさり

a かわいい
a いちねんせい いちねんせい いちねんせいいちねんせい
a みんで
ひとつ
おおきくなった
a おおきくなった おおきくなった おおきくなったおおきくなった
○  ○ ○  ○ ○  ○ ○  ○
ミ−ン ミ−ン
ミンミンミ−ン ミ−ン
ミ−ン ミ−ン
 ミンミン ミ−ン ミンミン ミンミン ミョ−ン
ミ−ン ミンミン ミンミン ミョ−ン
ミンミン ミ−ン ミンミン ミ−ン
d せみのなきごえ せみのなきごえ
d ギラギラサンサン ギラギラサンサン
d お日さまお日さま
ニコニコサンサン
ニコニコサンサン
            ニコニコニコニコサンサンギラギラ
ニコニコサンサン サンサンギラギラ
サンサンサンサン サンサンギラギラ ギラギラキンキン
ニコサンニコサン サンサンギラギラ ギラギラキンキン
d お日さまは お日さまは
d プ−ルへ
プ−ルへ?
d プ−ルに!
プ−ルに? プ−ルに?
d さそってくれる
さそってさそって バタバタピチピチ
さそってさそって さそってさそって ピチピチバタバタ
ザブザブザブザブ ピチピチピチピチ
バチャンバチャン ザブザブザブザブ ピチピチピチピチ
バチャンバチャン ザブザブザブザブ ピチピチピチピチ
バチャンバチャン ザブザブザブザブ ピチピチピチピチ
e およげたおよげた
e およげたおよげた およげたおよげた
e 水えいの じかん
e 水えいのじかん 水えいのじかん 水えいのじかん水えいのじかん
e うずまきはじめて
グルグルスゥ−
スイ−のスイスイ
スイ−のスイスイ
eうずまきうずまき
eうずまきうずまき くるくるくるくる
eうずまきうずまき くるくるくるくる
eうずまきうずまき うずまきうずまき くるくるくるくる
eうずまきうずまき うずまきうずまき くるくるくるくるくるくるくるくる
eうずまきうずまき うずまきうずまき うずまきうずまきくるくるくるくる
  eうずまきうずまき うずまきうずまき うずまきうずまきうずまきうずまき
e大きな川に
大きな川に
なっちゃった
おぼれるおぼれる
おぼれるおぼれる おぼれるおぼれる
おぼれるおぼれる おぼれるおぼれる
おぼれるおぼれる
fおぼれちゃう
○ ○ ○ ○
fおよいでおよいで
fおよいでおよいで およいでおよいで
fおよいでおよいで およいでおよいで およいでおよいで
fおよいでおよいで およいでおよいで およいでおよいでおよいでおよいで
fうまく なりました
そうですそうです
そうですうんうん  うんうんうんうん
 ○  ○ ○  ○ ○  ○ ○  ○
gせみのなきごえ しずかになって
g あきぞら
たかく
げんきはつらつ
げんきはつらつ げんきはつらつ
g やってきました
うんどうかい うんどうかい うんどうかい
g かけっこかけっこ
かけっこかけっこ
g かけるぞかけるぞ
タッタカタのタ
タッタカタのタ
タッタッタッ
タッタッタ
g コロコロドッスン
玉はこび
コロコロスットン
スットンコロコロ
コロコロコロコロ スットンスットン
スットンスットン コロコロコロコロ
タッタカスットン
タッタカスットン タッタカスットン
○ ○ ○  ○
gおどりはコスモス
ビィ−ム
gシュワッチ シュワッチ シュワッチ シュワッチ
gフサフサきれいに
g 赤・青・みどり
カラフルカラフル
 赤・青・みどり
g ピンクに黄色と カラフルカラフル
カラフルカラフル ピンクに黄色と
カラフルカラフル
g フサフサつかって
 おどりました
オ−ダンシング おどりました
○ ○ ○ ○
h おちばさがしの
十月に
h おちばさがしの
@カサコソカサコソ
カサコソカサコソ カサコソカサコソ
カサコソカサコソ
カサコソカサコソ
hバスえんそく
バスえんそく バスえんそく バスえんそく
hあるいたあるいた
hあるいたあるいた あるいたあるいた
                      ぶんか公園ぶんか公園
h どんぐりひろい
どんぐりひろい
どんぐりひろい どんどんぐりぐり どんどんぐりぐり
どんぐりひろい ぐりぐりどんどん ぐりぐりどんどん
h どんといっぱい
ひろつてひろって
ひろいました ひろってひろって
ひろいました ひろってひろって
ひろいました h 雨がぱらぱら
h ぱらぱらしんしん ぱらぱらぱらぱら
しんしんぱらぱら ぱらぱらぱらぱら
しんしんぱらぱら ぱらぱらぱらぱら
しんしんぱらぱら しんしんぱらぱら
hふってきたけど
h すべりだいに
h ブランコで
h いっぱい
いっぱい いっぱい いっぱい
いっぱい いっぱい いっぱい
いっぱい
h あそんだよ あそんだよ
あそんだよ あそんだよ
○  ○ ○  ○ ○  ○  ○  ○
ヒュ−ヒュ−
i 北風
さむい時
さむい時
i マラソンなわとび
はじまった
はじまった はじまった
i とってもさむい
         とってもさむい
おおさむこさむ
おおさむこさむ
おおさむこさむ おおさむこさむ
こさむこさむ おおさむおおさむ
おおさむこさむ ブルブルガタガタ ガタガタブルブル
おおさむこさむ ブルブルガタガタ ガタガタブルブル
i じめんがこおって
ガサガサゴツゴツ
ガサガサゴツゴツ
i ゆ−きがふって
ぺちゃぺちゃ
ぺちゃぺちゃ
i それでもマラソン
がんばって
i 百しゅうめざして
はしったよ
はしったよ はしったよ
i まえとびあやとび
i こうさとび
i なわとびトントン
一二三四
五六七八
九十
トントントンの
トントントン
ぴょんぴょんぴょん
トントントン
ぴょんぴょんぴょん
トントントン
j 中休みや昼休み
昼休みや中休み  
j サッカ−ドッジを
たくさんたくさん
なげてけって
なげてなげて けってけって
なげてなげて けってけって
けってなげて なげてけって
j あそんだよ
モリモリ元気に
j あそんだよ あそんだよ あそんだよ あそんだよ ○ ○ ○ ○
j 雪がふったら 雪だるま 雪だるま 雪だるま
j チラホラドカドカ
チラホラドカドカ
j ドカドカチラホラ
ドカドカチラホラ
j キラキラキラキラ
j キラキラキラキラ キラキラキラキラ
j キラキラキラキラ キラキラキラキラ キラキラキラキラ
j キラキラキラキラ キラキラキラキラ キラキラキラキラキラキラキラキラ
j 氷がきれいに
キラキラキラキラ
キラキラキラキラ キラキラキラキラ
キラキラキラキラ キラキラキラキラ
キラキラキラキラ キラキラキラキラ
j かがやいた
j かがやいた かがやいた かがやいた かがやいた
○ ○ ○ ○
k 一年間のもの語
一年間のもの語
k もうすぐもうすぐ
            もうすぐもうすぐもうすぐもうすぐ もうすぐもうすぐ
もうすぐもうすぐ もうすぐもうすぐ
もうすぐもうすぐ
k さんねんせい
k さんねんせい さんねんせい さんねんせいさんねんせい
k 勉強運動お掃除に
k いっぱいいっぱい
がんばるがんばる
  k いっぱいいっぱい
がんばるがんばる
k いっぱいいっぱい
がんばるがんばる
l いっぱいいっぱいAグングングングン ガンガンガンガンドンドンドンドン
l いっぱいいっぱい グングングングン ガンガンガンガンドンドンドンドン
l いっぱいいっぱい グングングングン ガンガンガンガンドンドンドンドン
l いっぱいいっぱい グングングングン ガンガンガンガンドンドンドンドン
l いっぱい グングン ガンガン ドンドン
l いっぱい グングン ガンガン ドンドン
 グン
    ドン
ガン
○ ○ ○ ○
m 春夏秋冬
春夏秋冬
m 春夏秋冬 春夏秋冬
春夏秋冬
m これがみんなの
m 一年間
m 一年間 一年間 一年間 一年間
○ ○ ○ ○
m おしまい おしまい おしまい おしまい

注@「カサコソカサコソ 」は,無声音に近い読み方をする。カサカサの葉っぱ(枯
      れ葉)をイメ−ジして読む。
A「グングングングン ガンガンガンガン ドンドンドンドン」以降の読み方は,
    漸増法的に読み上げ,声の音量を増やしていく。

6.発展 各パ−トの感想です。
 ○ソロ(Aグル−プ)の感想 わたしは,はじめてソロになって,口を大きくあけて大きな声で自分のところをよ
  みました。早くよむところは,ちゅういをしてよみました。むすがしいところもあっ
  たけど,がんばりました。
 ○アンサンブル(Bグル−プ)の感想 長くて,長くて,6行ものどがガラガラになりそうでした。ほんとうにながいので,
  くうきをいっぱいすって,がんばりました。何回もれんしゅうするとむずかしくなか
  ったけど,本当に長かったです。
○コ−ラス1(Cグル−プ)の感想 せみのなきごえミ−ンというところが,ほんもののせみみたいだった。「ガンガン」
  や「グングン」というところが,だんだんおおきくなってよかった。「キラキラ」と
  いうところが,ほんとうにキラキラかがやいているようにきこえて,よかった。
 ○コ−ラス2(Dグル−プ)の感想 「これがみんなの1年間」と名前がついた時,がんばろうという気がして,自分た
  ちの力をあわせるとすごいなぁと思いました。やっていると,楽しくて,楽しくてた
  まらなかったです。とくに,わたしが気にいっているところは,「カサコソ,カサコ
  ソ」のところです。わけは,心をいやしてくれるようなかんじだからです。これから
  も,時間がある時,ぐんどくをいっしょうけんめいやろうと思っています。
 ○この群読をしての感想 みんなのぐんどくで,わたしは,「春は,こうだったかな。」とか,「夏,秋,冬,
  たのしかったなぁ」とか,ほかにもいろいろ思いました。とても,かんげきなぐん
    どくでした。とても,よかったです。あと,2年生も,ぐんどくもおわったな。
  「2年生から3年生まであとわずかだな。」と心からさけびました。
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 ◆この実践に学ぶ     毛利豊◆
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 ★川崎実践に学ぶ★
 驚き、そしてまた驚いた。
 第一に、活きが良い。ぴちぴちした実践である。生徒と先生のあうんの呼吸で、即興的
に脚本が生まれている。興にのった波の頭をすかさずとらえた教師も教師なら、そこに食
いついていった子どもも子どもである。教師と子どもの心の絆が最も大切であることを教
えている。
 第二に、小学2年生という幼さである。年端もいかない子どもにも、長編の物語群読は
創作できることを実証してしまった。子どもの発達段階などは、出来ないことの言い訳に
ならなくなった。
 第三に、完成度の高さである。技法は大勢による反復が主であり、難しい技法を駆使し
ているわけではない。しかし、同じパターンで統一されていると、それが一つのトーンとリズ
ムを全体に生み出す。シンプルでも繰り返せば美しさになることが分かる。
 しかし、なぜこんなことができたのか。よく考えたら少し納得し、だんだんと納得して
きた。それは、
 第四に、教師の働きかけ方が整理されていることである。リズム・分担・セリフの量と
いう視点を与えて、回を分けて検討させたり、詩の音読→詩・九九の暗唱→群読経験→群
読脚本創作と手順をふんだり、視覚化して対象化させたりしている。
 第五に、未分化な段階の脳の特性と心性である。パターン認識的な記号暗記が容易な時
期とされている。教えられた詩・群読などは、すっと頭に入り、意識の深部に記銘される
のではないか。雑念や羞恥心が少ないだけ、アウトプットもしやすいことも考えられる。
芭蕉が「発句は三尺の童にさせよ」と言ったことと、何か関係があるのではないか。そん
な気がした。
 創造性の育成のためにも、名詩の暗唱や物語の群読経験からまず始めると良いこと、そ
の時期は実は早い方が良いことを、この実践は示唆しているようにも思われる。
                             <毛利  豊>

 ★片桐実践に学ぶ★
 高校での実践である。年を取るほどに、とかく恥ずかしさが先にたち、声も小さくなり
がちである。それを克服するために、いろいろな工夫をしている。
 第一に、「選択授業」で取り上げていることである。
 あらかじめ群読をするつもりで集まってきた生徒を相手にする方が、指導がしやすい。
モチベイションが高いからである。まずこういう切り口から入り、群読の楽しさが口コミ
で広がると、発展的に、必修授業や行事でも取り組みやすくなる。
 第二に、言葉遊びから始めていることである。脚本の中には、長大で重厚なものがある。
しかし、導入ではやはり、取り付きやすいものがよい。2人での掛け合いという簡便なミ
ニ脚本もある。
 第三に、はじめはお手本を聞くことから入っていることである。イメージがつかめない
初心者には、実物の映像や音声でこんなのだよと示してやると、百万言を尽くすより分か
りやすい。
 第四に、同じシナリオを複数グループで演じさせる点である。脚本は同じでも、読み
手 によって個性が出る。それが集団であれば、なお相乗効果で違ってくる。それを互いに学
ばせようというわけである。群読も集団も生き物であることを、子どもは学ぶであろう。
 第五に、指導事項がシンプルなことである。あまりたくさん要求すると、初心者は投げ
出してしまう。 「ノリよく」としか要求していない。これなら子どもたちは、その一点を目指し
て取り組 むだろう。
 第六に、創作脚本の特徴を教師が分析していることである。作らせっぱなしではなく、
特徴を整理し、意識化している。これはおそらく子どもに対しても評価として伝えられ、
子どもたちの批評眼をも育てていることだろう。各時ごとに振り返りを書かせ、変容を見
ている事実にも通じる視点である。
 第七に、映像を録画している点である。これで生徒の集中力が急に高まる点に注目した
い。
 これらを、われわれも学びたいものである。           <毛利  豊>

★橋本・荻原実践に学ぶ★
 まず教師が子どもの前でして見せる教師群読の実践である。「して見せて ともにして
やり させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」という言葉を思い出す。
 学ぶ点は、6つある。
 第一に、教師の意気込みを、言葉だけではなく、行動で示したことである。ふつうはこ
こまではしない。これだけで、生徒に先生方のやる気と団結がしっかり伝わったことだろ
う。行動は言葉よりも声が大きいからである。
 第二に、教師から生徒へ、保護者へと、学校を構成する三者に、群読を学年文化として
共有しようとする姿勢である。三者協議会とか学校協議会とかが盛んに言われる今日であ
るが、文化活動から入るのは、楽しくてよい。
 第三に、国語科の教師と連携して、脚本を自作している点である。出来合いの脚本では、
自分たちの思いを充分に伝えることは出来ない。その点、自作脚本は、一字一句が相手に
伝わるように書くことが出来る。こういう技能をもつ教師がいれば、共同するにこしたことはない。
 第五に、テーマが、3年間で統一されている点である。「AAL WAVE」「BIG WAVE」 「津波」と、
小さな水滴が集まって次第に大きくなり、発展していく様が面白い。ちなみに、津波は
英語でもTUNAMIなので、英語で統一して表記するとよいかもしれない。
 第六に、表現の細部に工夫があることである。たとえば、全体が七五調になっていたり、
コーラスの擬音語が凝っていたり、最後を全員で盛り上げたりというところである。
 まとめて言えば、教師が、自作して、3年間かけて発展的に構成し、親・子どもにも広
げているところがすばらしい。きっと、群読文化を通して、心の交流と学校づくりが進ん
だことであろう。
 わたしたちは、この実践から学んで、出来るところから手をつけてゆけばよいと思う。
                              <毛利  豊>