∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
 日本群読教育の会 会報 23 号     2003 .2.7

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ●目次●
    宮崎の先生方から「明日はよろしく」
    実践記録の解説
    実践記録「群読の楽しさを地域高齢者の皆さんと一緒に」
    会員より
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

◆宮崎の先生方から「明日はよろしく」◆                   
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
宮崎の坂尾です。  昨日現在で、参加予定申し込みが80名に達しました。
 本当に、実行委員の先生方の呼びかけが熱心で、うれしい限りです。
 重水先生より、インフルエンザにより欠席という連絡が入りました。来ていただけると
いうことを心強く思っていましたので、今回は残念ですが、宮崎の実行委員で何とかがん
ばって運営してみたいと思います。  明日は、どうぞよろしくお願いします。

   群読講座の案内ありがとうございます。いよいよ明後日となりました。雨の予報がでて
いるのが残念ですが、次の日は晴れそうです。せっかく準備しているので、みなさんが楽
しく群読でき、気持ちよく参加してくださるといいなあと思います。
 先生、遠い所を本当にありがとうございます。
 私が新採の年に、同じ学校の先生が、「読んでみてごらん。」と先生のご本を何冊も貸
してくださいました。すること、なすこと悩みっぱなしだった私は、何度も読み返したも
のです。その先生にお会いできるなんて。
 それでは、明後日お待ちしています。お気をつけて起こしくださいね。
とっても楽しみです。誘った友だちもとても楽しみにしてます。   川崎 瑞枝

 こんばんは。宮崎の川澤です。東京の群読の集会では,お世話になり、有難うござい
ました。明日は,宮崎で又,お世話になります。私ともう1人で、空港までお迎えに上がり
ます。よろしくお願いいたします。

  ◆実践記録の解説◆
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 原稿が届きました。新田茂子さんという主婦の方の原稿です。わたしが公民館の依頼で
群読講座を開いたときにご夫婦で参加された方です。とても積極的な方で、つい昨日も
「ハーメルンの笛吹き男」の群読でナレーターの役をご夫妻で分担され、とても上手に表
現されました。新田さんは、この群読講座でヒントをつかみ、地域の老人会の文化活動に
とりこみ、成功させました。ユニークな活動なので、その様子をレポートしていただき、
本書に紹介することにしました。発表中の一葉の写真を添えて掲載する予定でいます。

 ◆ 実践記録「群読の楽しさを地域高齢者の皆さんと一緒に」◆
                           新田  茂子
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
                  
★横須賀逸見公民館の群読講座に参加★
 平成十四年七月から逸見公民館で、家本芳郎先生のご指導による群読講座が開催される
ことを知ったわたしは、往復はがきを投函、多数の応募者の中から幸運にも参加権を得る
ことが出来た。
 毎回の講座は、穏やかな人間味あふれる先生のご指導のもと、早口言葉から始まり、古
典、現代、民話など多種多様な題材に加え、折に触れた適切な解説と作者のプロフィール
の紹介は、わたしたちの知識欲を擽り、講座の楽しさは回を重ねるごとに膨らんでいった。
 参加者全員で行う朗読、特に群読での一瞬の緊張と読み終えたあとの安堵感、満足感は
大きく心の感動を覚えることもたびたびである。このことは次回への期待を膨らませ、家
での練習にもおのずと力が入ることになる。
 こうして、回を重ね群読の楽しさを味わったわたしは、この楽しさを地域高齢者者の皆
さんと共有することが出来ればとの思いを強く抱くようになった。

 ★わたしのボランティア活動と朗読★
   わたしはこの十数年個人ボランティアとして、老人ホームや地域の老人会で、リズム音
楽や体操、歌の指導、時には本の読み聞かせなどを続けてきた。
 わたしがこの活動の中で自分なりに配慮をしてきたことがある。それは言葉の持つ響き
を大切にすることであり、「優しい、美しい、明るい、そして元気な言葉」も、それを伝
えようとする相手に(特に高齢者)対する配慮がなければならないということである。
 これらの活動を進めるときは、押し付けではなく、美しい響きを持った言葉で接するこ
とによって、参加者からおのずと喜びや満足感、そして笑顔が生まれてくることを実感し
てきた。わたしはこうした経験から昨年四月以来プログラムに朗読を加えることにした。
 ここで、わたしが深く関わっているグループを紹介したい。グループ名は「すえひろ会」、
年齢は七十六歳から九十歳、会員数数五十三名である。わたしはこの会の年間十二ヶ月
のプログラム作りから意欲的に参加し、皆さんと共に活動を楽しんでいる。
 活動プログラムに朗読を取り入れた目的の一つには、高齢に伴い「話すこと、聞くこと、
読み取ること」などの能力の衰えを、仲間とともに楽しみながら予防することが出来たら
と、そんな思いもあったからである。
 わたしが取り入れた方法は、美しい日本語教育の中ですごされた会員の皆さんに「歌舞
伎、狂言、落語、小説、短歌、詩」などの一部を朗読し楽しむことである。
 最初の朗読の日、「初恋」を読まれた女性の方は、”なんだか恥ずかしいわ”とつぶや
きながら昔を懐かしむかのように優しく読まれた。「白波五人男」を読まれた男性は、両
足を踏ん張り大きな声を張り上げ堂々と読まれ拍手喝采を受けた。
 わたしは皆さんの朗読を聞きながら、ぎこちなさの中にも読み手によって,作品の味に
違いが生まれることにも気付いた。こうしてわたしは会員の熱心さと楽しむ様を見て、も
っと皆さんが楽しみ満足できるような朗読のあり方について、技術的に学びたいと思い始
め探す中で、家本先生の講座にたどり着くことが出来たのである。

     ★「まつりだワッショイ」に取り組む★
 七月講座の題材で「まつりだワッショイ」の群読指導を受けた。活気があり祭りの雰囲
気そのままで読み応えのある作品だと思った。そして、この作品こそ多くの祭りを楽しん
でこられた「すえひろ会」の皆さんに適した題材だと思い、これをプログラムに取り入れ
ることにした。
 二回三回練習を繰り返しているうちに、さすが多くの祭りを見たり楽しんだりしてこら
れた皆さん、神輿をかつぐ足踏みそのまま体を左右に揺らし、こぶしを握り力強い活気の
ある「ワッショイ」が集会場いっぱいに響くようになった。そしてまた読み終えた皆さん
の表情からは、心地よい疲労感と満足感を読み取ることが出来たような気がし、群読の最
初に「まつりだワッショイ」を選んで良かったとの思いを強く抱いた。
 わたしはこのことに意を強くし、もっと多くの皆さんと一緒に「まつりだワッショイ」
を楽しむことが出来たらと一つの企画を考えた。それはグリーンハイツ連合自治会の敬老
祝賀会に参加する皆さん全員で、この群読を楽しむことである。
 わたしなりに考えたことは、
 @ すえひろ会の男性十名が声を揃えてソロを担当。
 A 「アンサンブルとコーラス」は参加者全員で
 B 群読を祝賀会プログラムの殿に据え、百余名による「まつりだワッショイ」の声を
  会場いっぱいに響かせ祝賀会を締めくくる。
 わたしは自治会長にこのプログラムとわたしの意図を説明し、敬老祝賀会への参加を申
し出た。自治会長はわたしの申し出をすべて受け入れて下さったばかりでなく、他の自治
会役員と一緒に応援をするとの申し出でを受けることになった。
 わたしは自分が描いていた当日の演出に必要な準備に取り掛かった。
   @ 拍子木を、開始、合いの手、終了の合図に使う。祭りの縁起物として最初と最後に
  切り火を打つ。
 A ソロの服装、豆絞りの手ぬぐいと団扇を揃える
 B 群読のプリントを百三十名の参加者全員配布する
 C 群読終了後後の余韻を楽しむため「おまつりマンボ」の曲を流し、ソロの歌に続き
  「ワッショイ」の合いの手をみんなで入れる。
 D ソロの練習に合わせ、コーラス・アンサンブルをリードするため二十名の会員で三
  回の練習を行う。
 九月に入り暑い中を二十名の皆さんが熱心に練習に参加、回を重ねる毎に声の出し方
アクセント、間の取り方など相手の声を意識して読み合わせることが出来るようになって
くる。毎回二時間の練習は合間に冷たいお茶でのどを潤しながら続けられた。
 練習には自治会役員の応援も加わり、当日の「拍子木」や「切り火」の打ち手、最後の
「お祭りマンボ」のソロの歌手は女性役員が引き受けて下さるなどで、練習にも力が入っ
てくる。
 当日使う団扇の絵柄、参加者が読みやすいプリントの作成など、工夫を凝らしてくださ
る自治会役員の協力を得て、「おまつりワッショイ」はいよいよ本番を迎えることになった。

   ★「まつりだワッショイ」いよいよ本番★
 敬老祝賀会のプログラムの最後は「まつりだワッショイ」だ。わたしはひとこと祝賀挨
拶を述べた後、みんなで楽しむ群読の趣旨と演出の流れについて説明をし、参加者全員の
練習に入った。
 開始の合図の拍子木がカーンと鳴る。ってましたとばかり「まつりだぞー」のばして引
く発声による力強い十名のソロ集団の掛け声にアンサンブルの声が続く。拍子木の合いの
手が入り、ぎごちなくバラバラだった百三十名の声が、終わり近くなって一つになり力強
くなってきた。
 最後の「おまつりだ″」そして終わりを告げる拍子木の音、皆さんのほっとした表情が
わたしに向けられる。わたしは思わず拍手をし,「とても素晴らしかった。どうぞ本番も
この調子で楽しんで下さい」と告げる。
 本番に入り大きく心地よい拍子木の音が響く。十名のソロは両足を踏ん張りお互いの団
扇で合図をし、「まつりだぞー!」元気な声で踏み出す。アンサンブルが続く。リズムが
揃い「ワショイ!ワショイ!」の掛け声が一つになって会場いっぱいに響きわたる。神田
の祭り、浅草の祭り、汐入の祭りなど、どっしりとした神輿を、意気の合った掛け声と共
に軽やかな足取りでかつぎ、通り過ぎていく……そんな情景がふとわたしの目に浮かん
で きた。
 最後を告げる拍子木の音で一瞬の静寂が会場を支配する。続いて「お祭りマンボ」のの
静かな前奏に続き、女性のソロによる「わたしの隣のおじさんは…」の歌声が流れはじめ、
やがて参加者全員による「ワショイ!ワショイ!」の掛け声が再び会場に響きわたり、敬
老祝賀会は最高潮に達し、大きくゆったりとした拍子木が本番終了を告げた。
 ソロの皆さんの少し興奮気味な顔、ふだん出したことのない大きな声でアンサンブルを
担当した皆さんの満足げな顔。
 こうして、百三十名の群読「まつりだワッショイ」は感動の余韻を残して終わった。
 わたしは、多くの皆さんが同じ目的をもって集い、練習を重ねて作り上げた「まつりだ
ワッショイ」によって、「笑い喜び」合った中から「やり遂げた”」という達成感を共有
できたことに心から感謝したい気持ちと、言葉のもつ力を改めて知らされた一日であった
ことを実感した。
 わたしはこの経験から、みんなでつくり上げることが出来るこの群読を、もっと多くの
高齢者と一緒に楽しめる場を広げるようにしていければと、ふとそんなことを考えた。

 ★すえひろ会平成十五年群読のスタート★
 今年一月の群読のスタートは「信濃の一茶」を題材に選んだ。四十名の声が揃い、静か
なリズムを刻みながら一茶の生涯を読み進む、聞き覚えのある俳句のところでは、期せず
して間がそろい、西条八十の作品に何か深みが加わるような気がし、群読の魅力を新たに
味わった思いである。
 出来るなら、わたしはこれからも家本先生の指導を受け、群読の魅力をさらに深められ
るよう努力し、高齢者の皆さんと共に楽しむ場を少しでも多く持つことが出来るようにし
ていきたいとの思いを強くしているこの頃である。

 ◆会員より◆
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
群読の会の会報ありがとうございました。昨日、電車の中で人が読んでいる産経新聞を
横から盗み読みしたのですが、「読み芝居」というのがあって、日本の古典を原文のまま
朗読しながらそれに芝居をつけるとかいう劇団があるらしいですね。ぜひ観てみたいとい
うほど食指が動いたわけではないのですが、ちょっと興味を持ちました。
今回姫野先生が取り組まれた「おむすびころりん」は、前にもお話ししましたが、4年
前に子どもの小学校の学芸会にPTAでも参加したいということで、家本先生の本からシ
ナリオを拝借し、私がちょっとアレンジして影絵劇と組み合わせて学芸会で上演しました。
影絵と組み合わせたのは、できるだけ多くの人が自分の得意で楽しめる分野で参加できる
ようにということでした。初めての経験でしたが、楽しかったことを思い出しました。
18日、どうぞよろしくお願い申し上げます。