∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
 日本群読教育の会 会報 22号     2003 .1.31
 日本群読教育の会HP http://www.try-net.or.jp/~seico/gundokutop.htm
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ●目次●
    編集前記
    姫野 賢一先生の原稿
     朗読・群読の資料紹介 1 1970代
  ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
 <編集前記>  姫野先生の実践記録を紹介します。「発展」の子どもたちの感想文を読んでみてくださ
い。「すごい実践をしたなあ」と感嘆します。群読教育のひとつの成果だと思います。また、「おむすび型」
に並んだところも、グッド・アイデアですね。
 坂尾先生の原稿に継ぐ、いい原稿が届きました。姫野先生は今年の由布院での全国大会
の実行委員長です。そういうお忙しい中、書いていただきました。ありがとうございました。
 執筆者の皆さん。原稿3月末が締切りです。ぽつぽつとお書きになることをおすすめします。
なお、まだ紙面に余裕がありますので、とどんどん名乗りをあげてください。
   ―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ◆姫野 賢一先生の原稿◆
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 おはようございます。大分の姫野です。
 運動会ニュ−スやメ−ルマガジン,保護者ニュ−スとたくさん送っていただきありがと
うございます。連絡が遅れて申し訳ありません。それぞれについて,また,改めて意見・
感想をお送りします。
 さて,今回は,群読(物語)の原稿をお送りします。家本先生の原稿を活用させていた
だいた取り組みですが,子どもたちは群読に対してとてもやる気まんまんでいます。
 これから,2年生のまとめ群読に挑戦しようと思っています。シナリオができましたら
お送りします。

…………………………………………………………………………………
 ★第1章 授業における群読 a.小学校低 物語★
      おむすびころりん                    大分   姫野賢一
…………………………………………………………………………………
  <解説>
 2002年4月より,週5日制が導入され,行事削減の中,なかなか学年集会の時間が
とれにくい。教科外の活動が困難になった今,授業の中で,学級間のつながりを必要に感
じていた。そして,2年生83名の子どもたちとともに,「群読でつながる」活動に入った。
 運動会も終わった10月。いよいよ,「バス遠足」や「がんばり遠足」の季節になってきた。
目的地へ向かう子どもたちのリュクサックの中には,家族がつくってくれたお弁
当。その中には,色とりどりのおかずに,必ず,主役の「おむすび」が入っている。野外
に出て食べるおむすびは,格別な味わいがある。また,家庭生活でも,子どもたちは,行
楽シ−ズンを迎え,おむすびがいつも携帯食として馴染み深いものになっている。
 こんな時期の昔話「おむすびころりん」は,おむすび一つで始まるドラマに,子どもた
ちは,興味や関心を抱く。また,子どもたちは,この昔話については、紙芝居や人形劇,
読み聞かせなどで,小さい頃より聞き覚えのある事が多い。そして,長文の物語を読みづ
らい低学年の子どもたちにとっても,群読のように,短い呼びかけやリズミカルな擬態語
の繰り返しを,みんなでいっせいに声を出すことで,読む楽しさを味わい,短い時間で一
読した気分になれると考えている。

<読み手>
A・B・Cの3つのグル−プ
 Aグル−プは,6人で,全員ソロ(abcdef)
Bグル−プは,アンサンブル。5人ずつの3グル−プができる。(B1,B2,B3)
Cグル−プは,60人のコ−ラス。

<演出ノ−ト>
Cグル−プから見て,前方左右斜めにA,Bグル−プが並ぶ。(上から見たら三角形。
おむすびの形)Cグル−プは多数の子どもたちがいるので,無声音に近い形で読ませ,B
GM効果を使う。

  <シナリオ>
a  おむすび ころりん

B1 ころころ ころりん すっとんとん
C  ころころ ころりん すっとんとん

a  むかし むかしの はなしだよ
a  やまの はたけを たがやして
a  おなかが すいた おじいさん

a  そろそろ おむすび たべようか
a  つつみを ひろげた そのとたん
a  おむすび ひとつ  ころがって
a  ころころ ころりん かけだした
B1 ころころ ころりん こんころりん
C  ころころ ころりん こんころりん

b  まて まて まてと おじいさん(C ころころ ころりん すっとんとん)
b  おいかけて いったら おむすびは(C ころころ ころりん すっとんとん)
b  はたけの すみの あなの なか(C ころころ ころりん すっとんとん)
b  すっとんとんと とびこんだ
C  すっとんと−ん すっとんと−ん
b  のぞいて みたが まっくらで
b  みみを あてたら きこえたよ
B1 おむすび ころりん すっとんとん
B1 ころころ ころりん すっとんとん

c  これは これは おもしろい
c  ふたつめ ころんと ころがすと
c  きこえる きこえる おなじ うた
B1 おむすび ころりん すっとんとん
B1 ころころ ころりん すっとんとん
c  おなかが すいてる ことなんか(C ころころ ころりん すっとんとん)
c  わすれて しまった おじいさん(C ころころ ころりん すっとんとん)
c  うたに あわせて おどりだす(C ころころ ころりん すっとんとん)
B1 おむすび ころりん すっとんとん(C おむすび ころりん すっとんとん)
B1 ころころ ころりん すっとんとん(C ころころ ころりん すっとんとん)

d  とうとう あしを すべらせて
d  じぶんも あなへ すっとんとん
d  ねずみの おうちに とびこんだ
B2 おじいさん ころりん すっとんとん
B2 おむすび たくさん ありがとう
B2 おいしい ごちそう さぁ どうぞ
B2 ねずみの おうちを みてください
B2 おれいに こづちを あげましょう
C  ころころ ころりん すっとんとん

d  おれいの こづちを てにもって
d  おうちに かえって おばあさんと
d  おどった おどった すっとんとん(C すっとんと−ん すっとんと−ん)
d  こづちを ふり ふり すっとんとん(C すっとんと−ん すっとんと−ん)
B2 ころころ ころりん すっとんとん(C すっとんと−ん すっとんと−ん)

e  すると どうした ことだろう
e  こづちを ふる たび あれ あれ あれ
C  あ−れあれの あ−れあれ
e  しろい おこめが ざぁらざら
C  ざぁらざらの  ざぁらざら
e  きんの こばんが ざっくざく
C  ざっくざくの ざっくざく
B3 ざぁらざらの ざっくざく
B3 ざぁらざらの ざっくざく(ざぁらざらの ざっくざく)

f  それから ふたりは いつまでも
f  なかよく たのしく くらしたよ B3 おむすび ころりん すっとんとん
C  ころころ ころりん すっとんとん
f  ころころ ころりん すっとんとん(↓だんだんちいさく)
f+B3 ころころ ころりん すっとんとん(↓↓だんだんちいさく)
全員 ころころ ころりん すっとんとん (↓↓↓だんだんちいさく)

<発展>
 子どもたちは,初めての長い作品に戸惑いがあったようだが,練習を重ねていくうち
に,自分やまわりの子どもたちの変化を確かめながら,達成感を得ていたようだった。
☆子どもたちの感想−抜粋−☆)
○さいしょ,むずかしかったけど,あとからどんどんおもしろくなって,うまくなってい
 きました。おにぎりがおちたら,ねずみたちが「おむすびころりん,すっとんとん。」
 とうたったのが,とてもすきだったです。おもしろくて,たのしくて,がんばりがいが
 あってうれしかったです。なので,「おむすびころりん」は,すきです。作った人あり
 がとうございます。
○おむすびころりんで,おにぎりの形になって,とてもおもしろくて,心の中でいっぱい
 わらってわらって心がはじけそうで,たまんなかったです。それと,みんな,とても
「おむすびころりん」をがんばっていました。
○おむすびころりんで,うれしかったことは,ぜんいんソロ・アンサンブル・コ−ラスが
 がんばって,声を大きく出していました。「これは,これはおもしろい」「ふたつめこ
 ろんところがすと,きこえるきこえるおなじうた」というところが,とってもむかしっ
 ぽかったです。
○「おむすびころりん」のぐんどくで,わたしはアンサンブルをしました。あまりむずか
 しくありませんでした。ソロやアンサンブルをきめる時,ソロは一人で言うから,アン
 サンブルにしました。わたしのアンサンブルは,いうところがとってもたのしいところ
 でした。
○みんなとたのしくやったら,こころがぽかぽかしました。
 1学期より詩や短い作品を中心に取り組んでいたので,たくさんの時間をかけなくて,
物語群読を実施することができた。そして,この群読から,今までは教師が選んでいた群
読の作品を,子どもたちに選ばせる活動に入っていった。実行委員会のような代表者会で
あったが,時間の設定や内容の読み合いをして,作品の選定活動をした。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ◆朗読・群読の資料紹介 1   1970代◆
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 朗読というと、「ああ、それは国語の教師のしごとだ」と考えられがちである。たしか
に国語教師は子どもの朗読の指導をするのであるから、そのしごとであることはまちがい
ない。国語の教師はまず自らが朗読の技量をもたねばならぬことはいうまでもない。しか
し、そうした技量はすべての教師にとって必要な力量である。
 教師ほど〈しゃべる〉職業はない。しゃべることをぬいたら教師の職業は成立しない。
子どもたちにむかってたえずしゃべっている。だからしゃべることの苦手な教師・へたな
教師は職業人としては失格である。生徒からバカにされたりするのはたいがいそういった
教師である。声が小さい、くぐもっている、弱々しい。はっきりしない、説明がくどくど
している。なにを言おうとしているのかよくわからない――それでバカにされるのである
いやそんなことはどうでもよい、問題はなかみだ。誠意だ、愛情だなどという人もいるが、
相手に通じなければ誠意も愛情も空に浮いてしまう。
 しかし、教師の資格としてしゃべる力を要求されることはない。これほどしゃべること
が要求される職業なのに不問に付されていることも不思議である。教師についでよくしゃ
べる職業としてアナウンサーがあるが、これなど専門的訓練をうけている。教師はそれ以
上に専門的訓練をうける必要があると思う。
「けれども、朗読としゃべることとはちがうのではないか」と思うかもしれない。たしか
にちがう。しかしそのちがいはそれほど大きいものではない。むしろ音声表現として同領
域と考えたほうがいい。朗読の話のなかにしゃべる話をだしたのは生徒にむかってしゃべ
ることのへたな教師は、まず朗読からはじめることをすすめたいからである。生徒にむか
ってしゃべるときには、しゃべろうとする主題にそってことばをさがさなくてはならないが、
朗読はすでに書かれたものを読むのであるからずっとやりやすい。しかも朗読は、こ
とばを音声に造型するのであるから、それを通してしゃべる能力へ転化する力量を生みだ
すことができる。
 以上のような趣旨で以下紹介したいと思う。

   朗読の指導を国語教育固有の任務から解きはなし、すべての教師の教育活動にとって必
要な力量であることを標榜し実践しているのは日本演劇教育連盟であろう。その会員であ
る菅吉信(かん・よしのぶ)氏が、晩成書房から『朗読指導の実践』(1300円)という書
をだした。ただし、「国語科の授業の中で」という副題がついているから、国語の授業の
なかで朗読をどう生かすか、準備・展開・評価について詳述してある。だが〈付〉として
著者・木下順二・富田博之の三氏による鼎談「朗読と教育をめぐって」が収録されていて、
朗読の指導はじつは教育総体にかかわることが明らかにされる構成になっている。目次だ
けあげてみる。

一 国語指導に朗読は必要か
 @音声言語の指導について A朗読とは何か B朗読の教育的意義をまとめると C文章読解の方法として朗読をとらえる
二 授業の中で朗読をどう生かすか  @朗読をさせるための準備 A朗読を中心にした授業の展開 (1)詩(2)小説・随筆
(3)古典(4)論理的教材
三 朗読の評価をどうするか  @評価の問題について A朗読の評価の実践
付〉朗読と教育をめぐって〈鼎談〉
(1)「言葉の教育」は「人間の教育」(2)標準語の問題(3) 古典の朗読(4)朗読と
暗誦のすすめ(5)朗読を突破口として(6)朗読について

 菅吉信氏が朗読を授業にとり入れたのは文字言語偏重の国語教育の欠陥を克服しようと
したこと、また、朗読を芸術活動の一分野としてとらえているところなど著者の高い見識
をうかがうことができる。
 内容は演劇を専門とするだけあって、純度の叙述であり、同時に実践的な入門書ともな
っている。菅吉信氏は中学校の教師であるが、本書は小・高にも共通する内容を提起して
いる。

 朗読に関した書物はいろいろ出版されている。しかし、本格的に朗読を自学しようとす
るには、『演劇と教育』誌(日本演劇教育連盟発行・晩成書房月刊誌定価350円)雑誌
見本は〈東京都新宿区山吹町81〉(直接請求すれば送ってくれる)を系統的に購読すると
よいだろう。学級・学校文化活動の資料としても役にたつ。また理論として学ぶには、
『日本語の発見』『きくとよむ』(山本安英の会編・未来社)がすぐれている。
 朗読は、「声」のことだから書物を読んでもなかなか理解できないことが多い。わたし
自身しろうと劇団をつくって演劇にこった一時期があって、千田是也の『近代俳優術』
(上・下二巻・早川書房)を買ってきて、物いう術の訓練をしたことがあった。しかし、
そういう学習には限度があって、実際の芝居をみることがなによりの糧になった。
 そういう意味で、朗読・群読に関するレコードのいくつかを紹介したいと思う。
 群読とはなにかは「『平家物語』による群読・知識」(風濤社・2400円)を一聴すると
すぐにわかると思う。25センチLP三枚と解説書(シナリオ付)がついている。木下順二
の構成で山本安英・野村万作などが出演している。シナリオだけほしい人は「古典を訳す」
(木下順二・福音館)にも収録されている。
 知盛・群読のなかで一人異彩なのは野村万作である。新劇人にまじっての狂言師の登用
とあって、最初はオヤと思う。
 知盛を素材にして木下順二が群読劇「子午線の祀り」という戯曲を書いた。これは昨年
度読売文学賞授賞作で、木下順二・宇野重吉らの演出によって国立小劇場で上演された。
ここでもキャストに野村万作が判官義経に起用されたが、「野村万作はあれではまるで児
童劇」と末木利文(レコ芸六月号)に酷評された。群読についても「群読と称して大勢の
俳優が正面を切ったまま科白を喋ってみてもこれでは言葉を音声化しただけで活字に肉体
を与えたことにはなるまい。もっと有機的な表現方法があるはずだ」(上掲)
 群読劇は一種のカンタータだと思うが、日本の風土にはまだ充分になじみきっていない
一面をあらわしている。そのなかで野村万作の造形的な声が「児童劇」とうつったのであ
ろうか。しかし、野村万作が一人で朗読した「中島敦作『山月記』『名人伝』」(風濤社・
LP25センチ二枚組・解説書付・2400円)は野村の朗読が中島敦の文体にあって一聴に
あたいする。

 群読を古典だけでなく民話・昔話にまでひろげようとする木下順二が『竜が見える時』
(三月書房・1700円)に民話を題材にした標題のほかに「おもん藤太」「花若」「でれす
けほうほう」を〈群読のために〉かきおろしている。
 民話の朗読では風濤社から、木下順二の「山のせいくらべ」(25センチソノシート四
枚・山本安英朗読)松谷みよ子作「日本の民話」(25センチソノシート四枚・朗読宇野
重吉)いずれも1200円ででている。日本語の美しさが二人のたんたんとした語り口によっ
てあますことなく表現されている。同じ風濤社が今回、土地のことばによる民話を採集し
てカセットテープで売りだした。第一回は「新庄の昔話」(カセット2000円)で十一月二
十四日付の読売新聞、編集手帳欄にとりあげられ「方言のなんと美しいことか」と絶賛さ
れている。これなど地域文化の再発見をすすめようとするわたしたちの参考になろう。
 ほかに芥川の監修で「実践演劇術」(カセット三本10000円エンドレス・エコーKK)が
ある。基礎・実践ドラマ・応用とあって応用編「語りのパターン」には、ことばあそび
(岸田今日子)万丈記(中村伴郎)羅生門(神山繁)が収録されている〈03・(404)4373〉電話
で申し込むようになっている。

 朗読のレコードは、ちゃちな教材用でなく専門家によるものがよいと思う。「日本近代
詩大系」(日本コロンビア・「G-Z7008-12」30センチLP五枚組 10000円)がある。藤村
の初恋から丸山薫まで31名の詩人の二百三十の詩を、市原悦子・岸田今日子・日下武史・
茶川比呂志・中谷昇・小池朝雄・北村和夫・江守徹など十五人の新劇俳優が読んでいる。
この評価はさまざまにわかれよう。しかし情的でない現代の一つの朗読のありかたを示す
ものである。そのなかで小池朝雄朗読による高橋新吉の「皿」「こっけい」がもうひとつ
の朗読方法を提示してすぐれている。一万円は高すぎるという人のために「高村光太郎知
恵子抄」(日本フォノグラム、PL、1017 30センチLP一枚1000円)朗読は加藤剛である。
抑制した表現できかせる。

 朗読・群読もそうだが、そうした読みかたの基礎となる朗誦術はいまだ確立されていな
い。木下順二氏および山本安英の会が日本語のデクラメイションを確立しようとしている
が、その話によると朗誦術は日本の古典芸術・大衆芸能に源流を見出すことができるそう
である。たとえば大衆芸能の説教節・紙芝居・門付芸といった中に埋もれている。
 俳優の小沢昭一が全国行脚してそうした大衆芸能を「日本の放浪芸」(ビクター・S
J2051-7M30センチLP七枚組14000円)としてまとめた。このなかには、「祝う芸・商う芸・
説く芸・話す芸・語る芸・流す芸」が(ドキュメントで収録してある。バナナのたたき売り、
のぞきからくり、金色夜叉などあって日本語の味、大衆の芸の力強さがよくわかる。
これは続編があって「又日本の放浪芸」(SJX2058〜62 30センチLP五枚組 10000円))
には渡世芸術がおさめられている。さらに「また又……」があるが、まだきいていない。
 なお、レコードはいいやという人には『日本の放浪芸』(小沢昭一・番町書房・880円)
をすすめたい。日本の話芸が雑学的に述べられている。

 特異な朗読のレコードとしては紫式部「源氏物語」(コロンビア・JX・29 30センチLP 一枚
 2000円)がある。これは、「平安朝日本語復元による朗読」と題するレコードで、
「夕顔」「須磨」の一部が収録されている。このレコードはきわ物ではない。金田一京助・
池田弥三郎の監修で学問的な成果を反映したものである。読み手は関弘子である。ふつう
古典を読むとき、歴史的かなづかいを現代かなづかいの発音にかえてしまうが、歴史的か
なづかいのまま読ませようとする実践では、たいへん参考になると思う。
 また口説節祭文松阪「山椒太夫」を収録した「杉本キタエ越後ごぜの唄」(クラウン
SW5071-71 30センチLP二枚組3000円)がある。山椒太夫の授業に利用したい。
 世に「百聞は一見にしかず」ということわざがあるが、朗読はきくことが最短距離であ
る。サークルなどでもたまには朗読しあってききあう会をもったり、朗読の実践のテープ
を交換しあってききくらべてみるのもよいだろう。自分の朗読は自分では評価しにくいも
のである。
 わが会としても、国語授業での朗読はむろんのこと学級文化活動・儀式・行事での朗読、
総会の提案、生徒会役員の立候補演説といったものまでふくめて実践資料ライブラリーを
もちたいものである。

※本書に紹介した資料のほとんどは現在入手できません。わたしが持っていたものですが、
紛失したものもあります。