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 日本群読教育の会 会報 21号     2003 .1.21
 日本群読教育の会HP http://www.try-net.or.jp/~seico/gundokutop.htm
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 ●目次●
    編集前記
    坂尾 知宏先生の原稿
     卒業式の群読/元気会のホームページから
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 <編集前記>
 宮崎の坂尾知宏先生の原稿が届きました。坂尾先生は2月8日の宮崎群読集会の責任者
としてとりくんでいます。そういうお忙しい中、脱稿していただきました。ありがとうございました。
 原稿3月末が締切りです。執筆者の皆さん。ぽつぽつとお書きになることをおすすめします。

 ◆坂尾 知宏先生の原稿◆
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 宮崎の坂尾です。群読の原稿、書いてみました。
 地引あみは全国大会の資料そのままです。また、どっちの学校いい学校はCDブックその
ままの資料を用いました。メールでは、罫線等が書きにくいので、上の2つについては資
料をメールには載せていませんがよろしいでしょうか。

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 参観日に初めて出会う群読               坂尾 知宏
<解説>
「小学校高学年の児童に、参観日で群読の楽しさを伝えるにはどうしたらよいか」という
テーマで1時間の授業の流れを組み立ててみた。教材を選択する際、
ア 群読の楽しさにふれることができる教材
イ 群読の技法やしくみについて知ることができる教材
ウ 保護者と児童のふれ合いが図れる教材 という3つの視点を考慮した。
授業の流れは以下の通りである。

(1) 「地引あみ」を教材として、群読の技法やしくみについて知る。
 斉読→バックコーラス付き→掛け合い付きという順番で読み進めていくことで、声の厚
みが増し、リズム感が出てくるという楽しさを実感することができる。また、「ヨイショ
コショイ」というセリフを最初無声音で練習させ、「少しずつ大きな声で」と呼びかける
ことで、音量の調節の仕方を覚えさせるのにも効果的な教材である。
(2) 「どっちの学校いい学校」を教材として、群読の楽しさに触れる。
 次に、子どもたちにアレンジする楽しさを感じてもらうため、「どっちの学校 いい学
校」をクラス全員で群読した。この教材は、群読が初めての子ども達でも簡単に取り組め、
声の調子や身振り等を工夫することで十分楽しめるというよさがある。ソロを教師が担当
し、クラスをA〜Eの5グループに分け児童がコーラスを担当する。グループごとに読み
方と身振りを考えさせた後、群読する。
(3) 「はやく はやく」を教材として、保護者と児童のふれあいを図る。
 この教材は、家庭での日常生活でよくありそうな場面をテーマにしており、参観日には
もってこいの教材と言える。男子全員、女子全員の2つのグループに分け、最初Aを男子、
Bを女子で群読し、次にAを女子、Bを男子と立場をかえて群読する。Aを子ども全員、
Bを保護者で群読し、最後にその逆をやってみるとさらにおもしろいのではないだろうか。

<読み手・演出ノート (1)−ア 地引あみ(斉読)>
クラス全員と保護者、大きな声で

<読み手・演出ノート (1)−イ 地引あみ(バックコーラス付き)>
ソロ(1名:教師)、コーラス(クラス全員と保護者)
最初は、大きな声で。無声音の練習後、ソロとの声の大きさを考えながらコーラスする

<読み手・演出ノート (1)−ウ 地引あみ(掛け合い付き)>
ソロ(1名:教師)、コーラス(クラス全員と保護者)
掛け合いのリズムを楽しみながら

<読み手・演出ノート (2) どっちの学校 いい学校>
ソロ(1名:教師)、コーラス(クラスをA〜Eの5グループに分ける)泣き方、怒り方、
笑い方の声と身振りを各グループで工夫する

<読み手・演出ノート (3) はやく はやく>
クラスを半分ずつA、Bの2グループに分ける。
(Aを男子、Bを女子。またはその逆。)
(Aを児童全員 Bを保護者。またはその逆。)など。
A、B2つのグループが向かい合って読む。

<シナリオ>
 (1)「地引あみ」は、夏の全国大会の資料そのままです。
 (2)「どっちの学校 いい学校」は「CDブック家本芳郎と楽しむ群読」のシナリオその
   ままです。
 (3)「はやく はやく」

読み方 Aは男子、Bは女子のふたりで読む。
Aが女子でもよい。Aが女子だったら「ぼく」のところを「わたし」と読む。



<発展> (授業後の児童・保護者の感想)
○ なぜか今日の授業は楽しかったです。今までは、みんなで合わせて読むのがあまり好
きじゃなかったけど、今日みたいに読むと楽しく読めました。
○ 「地引あみ」は、昔の詩みたいな感じで、ハモリみたいで、楽しい歌でした。
○ 「どっちの学校 いい学校」は、おもしろく、お母さん達にもうけていました。私も
これが1番大好きでした。特に笑う時の振り付けがおもしろかったです。振り付けを作る
時は、「やっぱりこれ」「やっぱり、こっちの方がいい」「いやだ。やりたくない」ともめていましたが、
何とかうまくいきました。
○ (「どっちの学校 いい学校」で)笑ったり泣いたりする時、とてもはずかしかった
です。だけどやっているうちにおもしろくなりました。今度やる時は、もっとおもしろく
なるようにしたいです。
○ 「はやく はやく」もおもしろく、私のお気に入りです。みんな、Bを読む時は、お
母さんのマネをして、一生けん命やって、すごいはく力でした。
○ みんな元気いっぱい、5の1さんらしい授業でした。1人1人の表情がとても良かっ
たですね。

(参観日後の取り組み)
2学期から、クラスの中に「詩」の係というのがスタートした。1学期中にいろいろな詩
を紹介してきていたので、興味をもつ児童が増えてきていた。2学期はやる気のある子ど
もが自分から希望して「詩」の係になった。
 そして、朝の会の時間に、「詩」の係を中心として、毎朝群読をすることになった。
「おむすびころりん」「どいてんか」などの教材が子ども達には人気があった。子ども達
の好きな教材から、月に1つずつ程度の教材に取り組んでいった。
 また、2月の学習発表会では、練習してきた詩を全校の前で発表した。普段の声の小さ
い子どもも、みんなと声を合わせることで、堂々と発表できたようであった。
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坂尾 知宏(Tomohiro Sakao)
  sakao@mnet.ne.jp sakao@e3.ezweb.ne.jp
 http://www.mnet.ne.jp/~sakao/
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 ◆卒業式の群読/元気会のホームページから◆
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   横須賀市に「元気会」という教師・市民の研究会があります。元気会にはHPがあり、
当会の役員の山口聡先生が管理人になっています。 下記の卒業式での群読3例は
、その元気会のHPから転載させてもらいました。卒業式のなかで表現された群読です
。合唱とセットになって構成されています。
 <元気会のHP> http://www5b.biglobe.ne.jp/~genkikai

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   ★A中学校 2000年度卒業式 卒業生の群読★
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全員 僕の前に道はない、僕の後ろに道はできる(高村光太郎 道程より)

合唱「旅立ちの日に」
ソロ いつもと変わらないはずの校舎が今日は何かを語りかけているような気がする
ソロ いつもと同じはずのこの場所が今日は何だかかけがいのないもののようで、
   とても切なく感じる
ソロ全 この1年僕らは走り続けた
ソロ 秒刻みに動いていく時間に追われながら
ソロ でもその1秒1秒が
全員 今の僕らを作っていた

ソロ 1年前の今日、僕らは今とは全く違う立場でこの舞台に立っていた
ソロ じきに来るだろう今を予想しながら
ソロ さわやかな自然と昔ながらの文化に触れ
ソロ 3日間という時間がとても早くすぎていった
男全 会津の地
ソロ 大きな舞台で仲間と作ってきたものを完成させた瞬間
ソロ 僕らは熱いライトの中
ソロ その喜びと達成感にひたっていた
ソロ ぐっとステージを踏みしめながら
ソロ カラーの先頭に立たなければならないプレッシャーの中
ソロ みんなのエールが波のように重なりあい
ソロ その衝動は僕らの目に
1、4組 熱く燃え上がったライオンのようにも
2、3組 全てを包み込む壮大な宇宙のようにも写っていた
ソロ 弱音も吐いたし、涙も見せたけど
ソロ 本番でのみんなの最高の笑顔は
ソロ 全てを輝かしい思い出にしてくれた
S,T 僕らはそのときもみんな同じ大地に立っていた
ソロ全 どんな時も仲間と共にしっかりと大地を踏みしめていた
ソロ 仲間と学びあったこの地を
全員 僕らは絶対忘れない

合唱「大地讃頌」
ソロ 聞こえる
ソロ まだ真新しい頃の足音が
ソロ たった一歩を踏み出すのに信じられないくらいの勇気が必要だったあの頃
ソロ 新しい制服に気を使いながら歩いた登下校の道
ソロ 何もかもが新鮮で大きく見えた
ソロ たくさんの友達とふれあって
ソロ たくさんの先輩に囲まれて
A,B 新しい世界を知った
ソロ 緊張した初めてのテストに、班行動の鎌倉ウォーク
ソロ 活発だったボランティア活動
ソロ キャンプに文化祭
ソロ 全てが一つになって思い出される
ソロ だんだん大きくなる、だんだん今に近づいてくる
ソロ 今までの足音が、夢に向かって歩み出そうとしている
ソロ 未来への足音が
全員 足音が聞こえる

合唱「聞こえる」
ソロ 今、とうとう3年間に終止符を打つ
ソロ 1、2年生の皆さん
ソロ 私たちは卒業します
ソロ 皆さんがじきに私たちから離れていってしまうのは寂しいけれど
ソロ 期待しています
全員 この○○中を必ず向上させてください
ソロ 先生方
ソロ 私たちは巣立ちます
ソロ 先生方の話を聞いて、姿を見て学んだこと
1、4組 きっと忘れません
ソロ いつでも私たちの力を信じて見守ってくださったこと
2、3組 本当に感謝しています
ソロ そして 全員 お父さん、お母さん
ソロ 私たちはまた一つ課程を踏みます
ソロ まだまだ子どもに見えるかもしれないけど
全員 私たちはひとつ大人になります
ソロ 僕らは不安だった
ソロ 孤独を感じることもあった
ソロ いつでも自信があったわけじゃない
ソロ 未来に向かって今何ができるか分からない
ソロ 自分にどれだけの力があるのかも分からない
全員 でも前を向いていたい
ソロ 人に泣きつくこともあると思う
ソロ ひとりで悩むこともあると思う
全員 でも僕らは一人じゃない
ソロ 今ここにたくさんの仲間がいること
ソロ 3年間見守ってくださった先生方がいること
ソロ そして今までもまたこれからも共に支えあってくれる家族がいること
ソロ 僕らは全てのもの、全ての人に感謝しています

全員 3年間本当にありがとうございました

ソロ 旅立つという言葉だけでは表せない
ソロ 僕らはまだ登り続けている
ソロ 今日を限りに二度と125人全員が集うことはない
ソロ けれど、これからも僕らは自分の足で
男全 自分の未来に向かって
女全 夢に向かって登り続ける
ソロ全 全ての道の上で
全員 全ての山の頂上をめざして

合唱「すべての山に登れ」

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★B中学校 1997年度卒業式 在校生の群読★
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 谷川俊太郎「みみをすます」をモチーフに


合唱 「遠い日の歌」

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 ★C中学校 2000年度 卒業式の群読★
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ソロ 1998年 春
ソロ 私たちは○○中学校へ入学した
ソロ 期待と不安で迎えた 雨の入学式
ソロ 目に映るもの全てが 新鮮だった
ソロ 初めのうちは 先生や先輩についていくので 精一杯
ソロ そんな中 いろいろな人との出会いがあった
ソロ わくわくした気持ちでいっぱいだった
2人 初めての 合唱コンクール
ソロ クラスごとに
全員 個性が光った
ソロ 月日がたつにつれて 学校に慣れる反面
ソロ 徐々に ルーズになってきた
ソロ だけど 問題はみんなで考え解決していった
ソロ 困った時 助けてくれる友達が いつもそばにいた
ソロ 僕らは そんな時間を旅する
全員 時の旅人

合唱「時の旅人」

ソロ 「先輩、おはようございます」
ソロ 後輩からの声
ソロ 初めて先輩と呼ばれることに 喜びを感じた
ソロ 寝ないで過ごした 宿泊体験
ソロ ○○先生のバンバン踊り
ソロ 2回目の体育祭
ソロ 練習も取り組みもいいかげん
ソロ 私たちは 現実から目を背け ただ楽な方へと流され始めた
ソロ 自分自身に甘え 我慢を知らなかった
ソロ これでは いけない
ソロ 「こんな 難しい曲できないよ」
ソロ 「いい曲じゃん 頑張ってみようよ」
ソロ 賛否両論の中で始めた「消えた八月」「山のいぶき」
ソロ 厳しい練習
ソロ しかしそのなかで知った歌う楽しさ
ソロ 歌い上げた達成感があふれた
ソロ 在校生を代表して 出席した卒業式
ソロ 自慢の合唱で 卒業生を送りだした
ソロ 学年がひとつになれた気がした
ソロ そして 最上級生になった
ソロ 自分達が一番だと思いこんでいた
2人 だらしない服装
2人 止まらないおしゃべり
ソロ 何もかもが許されると 甘えていた
ソロ みんなの力が試された 修学旅行
ソプラノ 計画を立てて実行すること
男子   ルールを守ること
アルト  班で協力すること
全員 やればできることを学んだ
5人 そして 最後の体育祭
ソロ 下級生を引っ張ることで 3年生としての自覚が芽生えた
ソロ 声を枯らした 一生懸命の応援
ソロ 団結を見せた 憧れのムカデ
ソロ 雨にも負けず 泥まみれになりながら
ソロ 一歩一歩 踏みしめて走った
ソロ 私たちは知った
ソロ リーダーの辛さ 6人 団結することの素晴らしさ
ソロ そして
5人 勝ち負けが全てじゃないことを
ソロ いよいよ 人生最初の峠
ソロ それは 自分達の進路
ソロ 悩みに悩んだ
ソロ もっと 勉強すればよかった
ソロ 私は何がしたいのか
ソロ 何ができるのか
ソロ 自分と 向き合うことによって
ソロ 私たちは 成長していった
ソロ 仲間と一つのものを 造り上げる 素晴らしさ
ソロ 力を合わせることで 大きなものを得る喜び
ソロ 一人ではできないことも
ソロ みんながいれば 可能になる
ソロ いろいろなことを学び
ソロ 私たちは卒業する
ソロ 今 私たちは在校生へ
5人 受け継いできた ○中のバトンを渡す
ソロ これからは君たちがこの○中を 全員 引っ張っていってください

二年生 合唱と言葉

ソロ お父さん 女全 お父さん
ソロ お母さん 男全 お母さん
ソロ 今まで 見守ってきてくれて
全員 ありがとう
ソロ いろいろ わがままを言ったりして
ソロ 迷惑も かけたけど
ソロ 私たちは 今日
ソロ 新しい世界へ
全員 旅立ちます
ソロ 3年間お世話になった
全員 先生
ソロ 私たちを 心配して
ソロ 厳しいことを言ったり
ソロ バックアップしてくれたこと
ソロ 本当に 感謝しています。

(先生についての言葉)

ソロ その他 たくさんの先生方
ソロ そして暖かく見守ってくださった地域のみなさんに
ソロ 支えられてきました
ソロ 本当に 全員 ありがとうございました

合唱「大地讃頌」

職員合唱「ふるさと」

ソロ ○○中学校で過ごした3年間
ソロ それは 人それぞれで
女全 つらくもあり
男全 楽しくもあった
ソロ 他の人からみれば ちっぽけなことでも
ソロ 私たちにとっては 大事なことで
ソロ 何も考えていないように見えても
ソロ みんな 何かしらを
  全員 背負って生きている
ソロ その重みに耐えられず
ソロ 時には 道草をくうこともあるけれど
ソロ いつも
全員 未来を見つめていたい
ソロ これから私たちを待つ社会
ソロ どんな出会いがあるのだろう
4人 しなやかに
2人 強く
4人 優しい心を持って進んでいこう
ソロ 今日の旅立ちを忘れずに
ソロ 私たちは
全員 それぞれの道を 歩いていきます

合唱「河口」