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 日本群読教育の会 会報  15号    2002.8.3
  発行責任者 家本芳郎
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   ●目次●
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      夏の研究集会、大成功
    会員再登録してください
    群読の会の「掲示板」設置
    新役員がきまりました
    加藤恭子先生のレポートの紹介
    会員便り
    インターネット上の「群読」サーチ
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  ◆夏の研究集会 大成功◆
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 暑中、お見舞い申し上げます。7月30日に開いた夏の群読研究集会は、教育研究運動の冬の時代
にあって、まれにみる成功をおさめることができました。204名が参加し(有料参加者196名)成功裡
に終了することができました。これも会員のみなさんのご尽力のおかげと深く感謝するしだいです。
 ただし、残念なことに 当初の参加予定数をはるかに上回り、会場規模の関係から、百名くらいの
方々の申し込みをお断りしました。深くお詫びします。 来年の大会は大分に決定しました。
 現状に満足することなく、さらに、次の段階をめざして踏み出していこうと考えています。今後と
も、ご協力くださるようお願いします。

 ★参加者の感想より★
 参加された方のメールから、その感想の一端を紹介させてもらいます。
    ☆  第一回全国大会大成功おめでとうございます。お疲れさまでした。第二回からの発展が目に見える
       ようです。
    ☆  群読教育の会の全国研究集会に参加させてもらいました。本やwebページを読むだけでは分から
        かったことがいろいろと分かってとてもよかったです。
    ☆  全国のいろいろな先生方とお会いすることができ、何か元気をもらったような気がしています。今
       回勉強させていただいたことをぜひ子ども達に還元できたらと考えています。また、本県で、少しで
       も群読の輪を広げていけたらと考えています。
    ☆   昨日は、ほんとうにありがとうございました。帰宅し、床についてからも、「コンコンチキチ、コ
       ンチキチ」「すっとんとん、すっとんとん」「わっしょい、わっしょい」といったかけ声が、頭のな
       かをかけめぐり、興奮がなかなかさめませんでした。私の場合、このところ元気のない日がつづいて
       いただけに、たくさんの元気をもらえたありがたい集まりでした。入門講座で実際に声を出してみて、
       群読教育の魅力と奥深さを実感しました。ワークショップもとてもいい体験でした。多くの参加者の
       方々にとっても満足度の高い会だったのではないでしょうか。
    ☆  すばらしい会に参加できたこと、嬉しくて嬉しくて、まだ眠れないと思います。学習したことはも
        ちろんですが、単に学習だけでなく、仕事をさせていただけましたこと、動くことの大好きな私にとって、
       更なる充実感となっています。
 
なお、研究集会の様子は、後日 画像にてお届けできると思います。

   ◆今年度の会員 再登録をお願いします◆
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 日本群読教育の会の会員登録をお願いします。継続希望者は下記へ「群読会員継続」とメールして
ください。引き続き会報や脚本の送付、その他の連絡をします。返信なき方は退会とします。
  家本 芳郎   http://www007.upp.so-net.ne.jp/iemoto/

 ◆群読の会の「掲示板」設置◆
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 本会の事務局の中村聖子先生(長崎)が日本群読の会の掲示板をつくってくださいました。下記を
クリックしてください。そして、なにか一言、言葉をお願いします。
 アドレスは   http://www3.azaq.net/bbs/500/seico/

 ◆新役員がきまりました◆
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   ★役員募集★
 当会の役員は、やる気のある会員ならばだれでもできます。どうぞ、「やります」と申し出てください。

 ◆実践報告「子どもたちと群読をやってきて」◆
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 日本群読の会の全国大会で報告された実践です。
北海道北檜山町立北檜山小学校 加藤恭子先生のレポートです。

 ★1.学習発表会で何をしよう★
  私が、初めて群読を知ったのは、教師人生1年目の学習発表会だった。その学校では1,3,5
年が遊戯、2,4、6年が劇と決まっていた。何しろ1年目、私自身がそういったものでの発表とい
うと劇の経験しかなく、財産といえるものは何もなかった。(どうしよう、何をすればいいんだろう。)
子どもたちは3年生、16名。元気のよい、まとまりのよいクラスだった。(今思うと、あまりに
も頼りない担任で、子どもたちがしっかりせざるを得なかったのだが。)
  そんな時に、手にしたのが群読の本だった。踊りの指導は自信がないし、他には何も思い浮かば
ない。子ども1人1人を主役にしたい、まとまりのよさもみせていきたい。「よし、群読だ!」と思った。
そして、選んだのは「あめ」(山田今次)。その時は、その詩の持つ意味をじっくり考えることもなく、
ただ、「言葉(音)がおもしろい」「じっくりやっても子どもたちがあきないだろう」「元気よくやれそう」と
いうことで、この詩を選んだのだった。

 ★2.みんなで作ろう★
 最初の日、みんなで「あめ」の詩をふつうに読んだ。そして、どこがおもしろいかを子どもたち
に出させた。「『ざかざん』とか『ざんざか』とか、いっぱい雨の音があるところ。」「繰り返しが
いっぱいあっておもしろい。」予想通り、子どもたちの食いつきはよかった。本当は、詩の意味もし
っかり考えさせなければいけなかったのだろうが、私の頭の中には「元気のよい3年生にふさわしい
群読」という図しかなかったので、ひたすら「元気よくやろう」としか考えていなかった。そこで、
シチュエーションも「学校帰りの子どもたちが雨に遭う」というように設定し、登場人物も「学校帰
りの子ども」と「あめの子」ということにした。
  「みんなが主役になれるよう、先生が脚本作るから。でも、やっていく中でこうした方がいいっ
てところはみんなで変えていこうね。」私自身、群読のことをたいして知らなかったのだが、16人
に合わせて群読を作ればいいと思い、こう子どもたちに提案した。そして、「16人の誰かが欠けて
も『あめ』はできないし、自分を信じて、友だちを信じて声を合わせていこうね。」ということを、
練習の中で繰り返し言っていった。
  
              「あめ」   山田 今次                    
                  配役  学校帰りの子ども@〜G、
                 あめの子 @〜G
                チャイムの音、子どもたちが舞台そでから出てくる。舞台中央で固まっておしゃべり。
              その背後をあめの子たちがこっそりと取り囲む。
        
                あめ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
               子ども● ● ● ● ● ● ● ●


    ★3.子どもたちの感想とその後★
 『あめ』すごくきんちょうしてかっちかちになったよ。終わって、ばっちゃんが『うまがったな。』
って言ってくれてとてもうれしかったよ。」
「ぼくたちの出し物は『ぐんどく』っていって、歌みたいでとてもおもしろかったよ。」
「すわってスポットがあたって、あっというまにおわった気がした。この学習発表会はわすれないと思います。」
「16人で全校で一番すくないけど、うまくできたとおもうよ。家に帰ったらほめられたよ。」
「いつもやってるようにやったらきんちょうしなかったよ。家に帰ってお父さん、お母さんにほめら
れてうれしかったよ。来年は何をやるのか楽しみ。」
「一番どきどきしたのが『あめ』だったの。わたしがんばったんだけど、やっぱり声があんまし出な
かったの。でも、みんなでがんばったんだよ。来年の学習発表会もみんなといっしょにやりたいけど、
ひっこすからできないかな。また楽しい学習発表会にしたいな。」

 この取り組みで、子どもたちは「声を合わせる楽しさ」を体得したようだった。もともと歌や音読
が好きな子どもたちだったが、合唱では輪唱や二部合唱に意欲的に取り組み、国語の授業だけでなく、
日直や学級会、お楽しみ会の司会なども声をそろえたり、群読形式で行ったりするようになった。声
の小さい人がいればそろえて言うことで助ける、1つのことをみんなで言うことで一体感が味わえる、
びしっと決まったあとの達成感・・・そういったものが子どもたちをまとめていった。

 ★4.「ぞうれっしゃ」をやりたい★
 「ぞうれっしゃがやってきた」という合唱曲がある。これを学習発表会で、4年生22名の子ども
たちと取り組んだ。全部の歌を歌えるほどの人数もおらず、持ち時間も足りない。それでもやりたい
と思った。私も子どもも「ぞうれっしゃ」にほれこんでいた。そして、子どもの歌の部分だけを残し、
劇の脚本に直した。合唱曲から脚本を起こすので、劇全体に弾むようなリズムがでてくる。セリフの
部分は群読にした。

 最初、脚本を作ったときは、たいして何も考えずに、もともとの原作が持つリズムや迫力を壊さな
いように、ということで群読を取り入れたが、歌は盛り上がる部分に入ってくるので、そこへ雰囲気
を高めるように持っていくのにも群読はちょうどよかった。脚本も、最初は私がおおまかに作ったが、
練習の中で子どもたちと「どうやっていくのがいいか」を相談しながら完成させていった。

 ★5.「ぞうれっしゃ」から広がる世界★
   本番直前、子どもたちは「観ている人たちを感動させたい」と口々に言った。それくらい、自分た
ちの「ぞうれっしゃ」に自信と愛着を持っていた。劇の最中に、そでに戻ってきた子どもたちが報告
する。「お客さん、静かだね。」「泣いてる人いたよ。」子どもたちは落ち着いて、そして、持てる
力を出し切った。
 学習発表会が終わって、教室はちょっとした「ぞうれっしゃ」ブームとなった。「おばさんが、東
山動物園のパンフレットくれたよ。」「『かわいそうなゾウ』の絵本があったよ。」「TVで、戦争
中のことやっててビデオにとってきたよ。」などなど。子どもたちの世界が「ぞうれっしゃ」を通し
て広がっていくのを感じた。また、お母さん方からの強い要望があり、再演も行った。「ぞうれっしゃ」
は子どもたちと私の宝物となった。

 ★6.群読をやってみて★
 私が感じた群読のよさ、それは「一人はみんなのために、みんなは一人のために」を、身を持って
体験させられるということだ。もちろん、何をやるにしても全員の力を合わせることでいいものは作
れるのだが、群読は1人の出番と仲間との出番があり、誰かが欠けては成り立たない。そこを明確に
子どもに体験させられる。
 今の子どもたちは、仲間と力を合わせる経験が少なく、また、集団行動が苦手である。今、私が担
任している子どもたちも、あいさつでさえ声がそろうことがない。とにかく目立ちたくて、ずらした
バカでかい声を出す男子と、静かにしていても聞き取れないほどの小さな声で話す女子。最初、全員
で1つの詩の群読に挑戦してみたが失敗した。待っていられない、説明を聞けない、声を合わせられ
ないでめちゃくちゃに終わった。最初から全員が無理なら小さいグループから。まずは楽しむという
ところを大切にやっていきたい。
 その後、言語不明瞭で口数の少ないM子を中心に、有志数名で放課後に取り組んでいる。短めの詩
をゆっくりとしたペースでみんなで声を出して読む。誰かが読んでM子が続けて読む。M子が読んで
誰かが続ける。声を出すことすらあまりないM子が楽しんで声を出せるように、そんな取り組みを、
群読を通して行っている。M子のしゃべり声がだんだんと大きくなってきた。そんな変化がうれしい。
学級全員で大きく1つのものに取り組む群読もあるが、2人以上いれば群読は充分にできる。声を出
す楽しさ、仲間と力を合わせる楽しさ、そういったものを今後も群読を通して子どもたちに伝えてい
きたいと思う。

 ◆会員便り◆
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 群読の会の会報14号ありがとうございました。いよいよ初めての全国大会が近づいてきましたね。
楽しみです。私は30日の午前中くらいしか参加できそうもありませんが、枯れ木も山の賑わいで、皆
さんのお顔を拝見しにまいります。お手伝いできなくて申し訳ありません。「三年とうげ」には個人的
な思い出があります。いま中2の息子が小3のとき、グループごとに「三年とうげ」を劇化して親も招
いた発表会が行われました。  グループの人数の都合で役を増やす必要があったらしく、原作には
ないカラスが峠を飛び回るとい うことになっていました。
 あるグループの、おじいさんが峠で転んでしまうクライマックスで、おじいさんより一瞬先にカラ
ス役になって「カアカア」などと言いながら走り回っていた少年がドタッと転んでしまい、「痛い!
 ワアーッ」 とものすごい声で泣き出したのです。
 主役は完全に食われてしまいました。息子との数少ない共有する学校でのエピソードで、いまも笑
い話として語り種になっています。
 教科書の教材にはいろいろあるのでしょうが、同じ作品、同じ授業について地域や年齢を超えて共
有できるものがあるのはいいところですね。

 ◆インターネット上の「群読」サーチ情報◆
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   インターネット上で「群読」をキーワードに検索すると、意外にたくさんヒットします。みなさん
もインターネットで検索遊びをしてみてください。
 検索では yahoo!が有名ですが、Lycosのほうが、はるかにたくさんの情報を早く見つけてきてくれます。
 「群読」関係はどうでしょうか。

キーワード「群読教育の会」Lycosで3、249件ヒット。
   http://wisenut.lycos.co.jp/all/?q=%8CQ%93%C7%8B%B3%88%E7&ie=shift-jis

キーワード「群読」Lycosで15、822件ヒット。中にはどうかなと思われるものもありますが。
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 キーワード「群読」 yahoo!で5件ヒット。ほとんど小学校のHPです。
 http://search.yahoo.co.jp/bin/search?p=%B7%B2%C6%C9

 いろいろ遊んでみて、情報を入手しましょう。なにかおもしろいのがありましたらお知らせください。