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 日本群読教育の会 会報  13号    2002.7.16
  発行責任者 家本芳郎
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   ●目次●
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     総会を開きます
   夏の研究会の準備がすすむ
   音読は脳を活性化する
   群読脚本ノート 20号
   わたしの実践報告
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   ◆総会を開きます◆
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 日本群読の会には難しい規則もなく、会費もとっていません。アバウトな会です。
 しかし、年に一度はみんなで集まって研究しようという趣旨で、夏の研究会を開きまし
た。そのなかで短い時間ですが、総会を開いて、3つのことをきめたいと思います。
 1 世話人というか、役員です。
 2 次の研究会をどこで開こうかということです。
 3 会員からの提出議題です。

 以上のことから、会員の皆さんに4つお願いします。
 1つ。総会に出席をお願いします。参加できない場合は、そのむね、事務局長に「出席
者に委任」というメールを送ってください。
 2つ。総会に提出したい議題があれば、議長の 姫野賢一先生に申し込んでください。
 姫野 賢一 aken-h@d6.dion.ne.jp
 3つ。役員と事務局員になってくださる方は申し出てください。定数なし。申し出た方
は全員、役員になっていただきます。役員は世話人で、主な仕事は相談相手と研究会の係
活動、事務局員は事務的な仕事をします。申出先は事務局長まで。
 重水健介  sigemizu@winter.try-net.or.jp
 4つ。次回の夏の研究会の開催希望をお知らせください。
 事務局長まで。

 ◆夏の研究会の準備がすすむ◆
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 重水事務局長の連絡によると、ぽつぽつと参加申し込みが寄せられているそうです。会
場の規模が小さく、3人がけのテーブル席で、定員135人です。
 現在、110名くら いの申し込みがあるそうです。まだ少し余裕がありますので、お早く申し込んでください。

 ◆音読は脳を活性化する◆
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 この見出しの言葉は「本当の学力をつける本」(陰山英男著・文芸春秋社)の一節にあります。
 この本は「百ます計算」でテレビでも紹介された実践家の著作です。このなかに、著者
が川島隆太教授のことばを引いています。

 ありとあらゆる人間の活動のなかで、もっとも脳が活性化している学習は音読であると
いうことがわかったそうです。たしかに、音読や暗唱に習熟してくると、子どもの記憶力
は飛躍的に高まるという感触があります。

 陰山先生は6年生を担任すると特別に古文を暗唱させたそうです。また、歴史の授業で
も音読から入るそうです。「音読」について再検討したいものですね。

 もともと日本の言語文化の中核は中国と異なっていて「文字」ではなく、「音声」でした。
「古事記」の成立を見れば明らかです。文字が登場するのはごく近年です。したがって日
本語は「声に出す」ことによってその役割を果たし、そのため、話言葉は極限まで磨かれ
美しい日本語が成立しました。音にしてみると、よくわかります。
 だから、日本人の脳が、「音声」によって活性化するのは当然のことといえます。
 その「音声文化」をみんなで楽しもうというのが群読です。みんなで集まって群読し、
それぞれの脳を活性化すれば、教室での子どもたちの活性化につながるでしょう。

  ◆脚本集 第20号◆
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【Click!】  http://www07.u-page.so-net.ne.jp/pg7/iemoto/gundoku/no-20.html
 目次
  伝統芸能文化を支える「唱歌」
  群読による学校CM大会
  群読とパフォーマンスによる表現活動
  声を合わせて願いごとをかなえよう

 ◆わたしの実践報告◆
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 わたしは現場を去りましたから、わたしの実践はもっぱら「講演」や「講座」の活動
になります。
 そのなかから公民館の教養講座の実践を紹介します。
 ある公民館から「詩歌・文章を声に出して読もう」という2回の講座を依頼されました。
 以下はそのレジメです。

 教養講座 詩歌・文章を声に出して読もう   逸見公民館主催  定員 50名

 一 学習計画
  1 学習の目的 「声に出して読むことの大切さ」
   a 美しい日本語をさらに美しく磨きます。
   b 美しい日本語を後世に伝えます。
   c 観賞したり理解を深めたりすることができます。
   d「声に出すと」身体機能が活性化し、学力も向上し、文化的ボディをつくります。
   e 人の輪をつくることができます。
  2 日程
   1回 7月 5日(金)詩歌を詠む
   2回 7月12日(金)古典・文章を読む
  3 教材はすべて小・中・高の教科書に掲載されたものです。
 二 第1回「詩歌を詠む」本日の学習計画
  1 発声練習
   a 母音の練習
   b 拗音の練習
  2 詩を読む
   a 気分のおもむくまま感情をこめて読む。「山のあなた」
   b 詩の朗読に必要な技法。明瞭・大小・強弱・間・意連・抑揚・息つぎ・緩急。
   c 詩を読む
    「らいおん」……声の大小・強弱を意識して読む 音のものさしをつくる。
    「小諸なる古城のほとり」(記号づけ資料)…文語体の定型詩を読む。リズムを
                 生かして読む。
      「落葉松」(「間」の種類/1)
    「君死にたまふことなかれ」(「間」の種類/2)
    「小景異情」………文語体の自由詩を読む。内在律を生かして読む。
    「あどけない話」………口語体の自由詩を読む。
    「わたしと小鳥と鈴と」
    「むかしむかしのおかしな話」オノマトペ(擬声語・擬態語)を読む。
  3 短歌・俳句を読む
   a 短歌・俳句の読み方
    俳句 575のリズムを生かして読む。「意連」でつなぐ
       切れ字(や、なり、けりなど)は意識して、少し詠嘆的に読む。
       2度読む 1回目 観賞しながら読む。2回目 強調表現して読む。
    短歌 57577のリズムを生かして読むが、上の句と下の句の間に少し間をお
       く。 文意の上から切って読む。
       2度読む。1回目 観賞しながら読む。2回目 高らかに読む。
   b 短歌・俳句を読む
  4 詩を群読する
   a 群読について説明
   b 二人読み
      「きのうのあしたはなんだっけ」「早く 早く」「秋の夜の会話」
   c みんなで群読
     鑑賞「戦時中の群読」旗
    「山かつぎ」「祭りだ、わっしょい」
  5 まとめ
   a 第2回の予告
   b 自分の好きな詩歌や文章を朗読発表する時間をとりますので、希望者は用意し
     てきてください。

    第2回 古典・文章を読む

  1 「声の文化」
   a 言葉への恐れ。信仰と迷信と
   b 総合された「声明」
  2 滑舌練習 早口言葉
  3  希望朗読
  4 中国の古典
   a 漢詩を読む………朗読と朗詠の間・くりかえし
    春暁・春望
    鑑賞「詩吟」春望………大ゆり・大回し
   b 論語を読む
    子白く 2編
  5 日本の古典を読む………曲節・ソフト読み
   a 竹取り物語・源氏物語・枕の草子
   b 戦記物………高出し・修羅場読み・気取り、固有名詞・数詞の読み方
    源平盛衰記より衣笠の合戦
    平家物語より
    鑑賞「平曲琵琶」扇の的より
   c 曽根崎心中・高砂・鶴亀
  6 小説を読む………冒頭部の暗唱
   夏目漱石の小説から
  7 民衆の文化を読む
   がまのあぶら・つけ足しの掛け言葉・寿限無より
  8 まとめ

 参加者のほとんどはお年寄りでしたが、「戦時中の群読/旗」の説明に「この群読を読
んでいる丸山定夫さんをご存知ですか」と聞くと、10人くらいの方が懐かしそうに「知
ってます」と言われました。丸山定夫さんは当時の新劇の名俳優でしたが、広島に巡行中
に原爆にあって、亡くなった方です。その方をよく知っている方がいてびっくりしました。
 なかなかの人たちが集まっていたのです。読んでもらうと、みんなとても上手に表現し
ていました。昔の人は子ども時代に「読み」の訓練をきちんと受けていたことがわかりま
す。夕方の辻々から子どもたちの教科書を読む声の聞こえた時代の方々でした。